第85話 車椅子探偵の推理
遊戯室の柱時計が
コツコツコツと時を刻んでいた。
「西岡さん・・。
貴方は頭の切れる人です。
本当は、
『クラブの2』を発見した時、
【犯人】が六条さんであることに、
気付いていたのではないですか?」
美しき車椅子探偵が
真っ直ぐに西岡を見つめた。
「・・だから。
貴方は【犯人】である
六条さんを殺した。
違いますか?」
「な、何だと・・?
あのおばさんが殺されただと!」
西岡にしては珍しく、
大きな声だった。
「今更。
驚いたフリをする必要は
ありません。
貴方は遊戯室の前で、
鈴木さんと別れた後、
2階の郷田さんの部屋へは
向かわずに、
六条さんの部屋へ引き返した。
そして。
包丁で刺し殺した・・。
貴方はかなり前から、
『クラブの2』の存在を
知っていたのではないですか?」
僕は西岡の方を見た。
西岡は先ほどの大声を発した時とは
打って変わって、
静かにジンジャーエールの瓶を
ゆらゆらと揺らしていた。
その口元は微かに緩んでいた。
「貴方は。
【犯人】である
六条さんを泳がせて、
【市民】の数を
減らすことを目論んだ。
そうですよね?
つまり。
手錠で拘束された六条さんは、
これ以上役に立たない。
だから殺した。
違いますか?」
美しき車椅子探偵は、
もう一度グラスに口をつけた。
その顔が
ほんのり赤く染まっていた。
遊戯室の柱時計が
コツコツコツと時を刻んでいた。
ふいに西岡が
「くっくっく」
と笑った。
「お嬢ちゃんの推理は
なかなか面白い。
だが。
それは的外れだ。
役に立たなくなったから
殺しただと?
笑わせるな。
あのおばさんが【犯人】なら。
牢屋に入れれば済む話だろ?
殺す必要はない」
「・・貴方は
牢屋は一度しか使えないという
ゲームのルールを遵守したんです。
つまり。
菅野さんが牢屋に入っている以上、
【犯人】である六条さんには、
死んでもらうしかない」
美しき車椅子探偵が、
不気味に笑う死神を
じっと見つめていた。




