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残春はさ迷える子羊達のコンチェルト  作者: Mr.M
第5楽章 そして誰もいなくなった

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第50話 木の葉を隠すなら森の中

遊戯室の柱時計が

コツコツコツと時を刻んでいた。


「・・どういうことだ?」

宮崎が西岡の方に向き直った。

「ゲームは24時間経過後に終了する。

 そして。

 その時に生き残っていた者が、

 その役職に従って報酬を受け取る。

 ただし。

 報酬を受け取ることができるのは、

 1つの役職だけ。

 そうだったよな?」

「だから。

 それがどうしたんだ?」

宮崎が大きく煙を吐き出した。

「その優先順位は、

 まず【犯人】、

 次に【探偵】、

 そして最後が【市民】」

西岡はそこで一度、

言葉を切った。

そして。

皆の反応を楽しむように、

ゆっくりと室内を見回した。


「・・そういうことね」

ふいに。

菅野が呟いた。

「どういうことだ?」

宮崎が今度は菅野の方へ顔を向けた。

「まだわからないの?

 【犯人】は、

 無理に全員を殺す必要はないの。

 ある程度の金が手に入れば、

 身を隠した方が安全なのよ」

菅野はそう言って、

グラスをクイッと呷った。

「その通り。

 【市民】を殺せば、

 確かに【犯人】の報酬は増える。

 しかし。

 その分特定されるリスクが高まる。

 つまり。

 ただ闇雲に殺しまくればいい。

 というわけではない。

 大事なのはバランスだ」

そして西岡は

「くっくっく」

と笑った。


もし。

【犯人】が【市民】を殺し続けて、

最後に2人だけが残った場合。

この場合は当然、

相手に自分が【犯人】と特定される。

恐らく。

これは生存者が3人の場合でも

同じだろう。

計画性のない殺人は、

必ずどこかにボロが出る。

つまり。

生存者の人数が多ければ多いほど、

【犯人】はその中に

身を隠すことができる。

『木の葉を隠すなら森の中』

とはよく言ったものだ。


「現状、

 死者は2人。

 【犯人】は、

 このままゲーム終了まで

 隠れることができれば、

 最低でも6000万円の報酬を

 受け取ることができる。

 ここで注目すべき点は。

 ルールには

 ”死者1人につき”

 と書かれていたことだ。

 つまり。

 2番目の毒殺に関しては、

 そこのおばさんの

 犯行だったとしても、

 ゲームの報酬は

 【犯人】が受け取ることができる。

 そう解釈できる。

 さらに。

 もし死者のどちらかが

 【探偵】だった場合、

 その報酬は8000万円だ。

 俺が【犯人】なら、

 これ以上は【市民】を殺さない」

そこまで話すと、

西岡はふたたび

「くっくっく」

と笑った。

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