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残春はさ迷える子羊達のコンチェルト  作者: Mr.M
第5楽章 そして誰もいなくなった

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第49話 娼婦と老豚、そして死神

『郷田か平原の

 どちらかが【探偵】だった』


確かに。

西岡に指摘されるまで

僕達はその可能性を見落としていた。

しかし・・。

「そんなに都合よく【探偵】が

 死んでくれるかしら?」

まるで

僕の考えを代弁するかのような

菅野の発言だった。

「まあ。

 あくまで可能性の話だ。

 俺だってそう都合よく、

 【犯人】が【探偵】を

 殺せたとは思ってねえよ」

西岡は前髪をかき上げると、

「くっくっく」

と笑った。

それはまさに。

死神の微笑みのようだった。


遊戯室の柱時計が

コツコツコツと時を刻んでいた。


「どうしてそんなに【探偵】を

 炙り出したいんだ?」

その時。

宮崎の濁声が静かな室内に響いた。

「確か・・。

 【犯人】の報酬にだが。

 【市民】を殺した場合は、

 3000万円。

 【探偵】を殺した場合は、

 5000万円。

 だったな?」

そう言って、

宮崎はこの場にいる全員の顔を

ゆっくりと見回した。

「【犯人】にとっては、

 【探偵】を見つけ出すことが、

 報酬の面でも、

 自分の身を守る上でも、

 最優先事項・・。

 ということになるな?」

宮崎の視線が、

隣の菅野の所で止まった。

「何よ?

 まさか私が

 【犯人】って言いたいの?」

「いやいや。

 深い意味はない。

 ただ・・。

 郷田を殺す機会は、

 2階を調べに行った

 お前さん達3人にもあった。

 その内。

 1人は殺されて、

 もう1人は

 【市民】が確定している。

 となると・・なぁ?」

宮崎が口を大きく歪めて、

鼻息を荒くした。

老豚が

「ブヒブヒ」

と鳴いていた。

「くだらない。

 そもそも。

 あれはアタシとお婆ちゃんが、

 手前の部屋から調べようとしたら、

 そこのオバサンが、

 分かれた方が

 効率が良いからって、

 1人で奥の部屋に向かったのよ。

 わかった?」

菅野の強気な反論に、

宮崎は

「チッ」

と舌打ちをすると、

葉巻をくわえて、

パッパっと煙を吐き出した。


「あまり【犯人】を

 刺激するような話は

 止めた方がいいぜ。

 【犯人】はこれ以上、

 犯行を重ねるつもりは

 ないかもしれないんだからな」

その時。

老豚と娼婦のやり取りを

傍観していた死神が口を挟んだ。

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