第43話 ユダ
「・・どういうことでしょうか?」
その時。
これまで静観していた佐藤が
遠慮がちに口を開いた。
西岡は佐藤の方を見て、
「くっくっく」
と笑った。
「あくまで。
このゲームのルールに基づいて
考えた場合、
そういう可能性もある
と言ってるんだ。
思い出してみろ。
【市民】の報酬は
”生き延びた人数に応じて、
均等に分配される”
だったよな?
つまり。
このゲームでは
自分以外の【市民】が
死ねば死ぬほど、
ゲーム終了時の報酬が
増えるんだよ」
西岡はそう言って、
周りを見回すと、
ふたたび
「くっくっく」
と笑った。
西岡の言葉は、
この場に改めて静寂をもたらした。
宮崎は、
手にしたマティーニのグラスを
ゆっくりとカウンターに置いた。
菅野の表情からは笑みが消えていた。
彼女は腕を組んで、
西岡を見つめていた。
六条は、
俯いたまま、
手錠の掛けられた両手を
膝の上で強く握り締めていた。
佐藤は、
何かを考え込むように、
天井を見上げていた。
遊戯室の柱時計が
コツコツコツと時を刻んでいた。
「わかったか?
【市民】の敵は
【犯人】だけじゃない。
【市民】の中にだって、
裏切者の『ユダ』が
潜んでいる可能性があるんだぜ」
窓のない部屋の中で、
冷たい空気が
僕の背中を撫でるのを感じた。




