第26話 疑わしき者と信ずべき者
女性陣が食事の用意をするために
応接室を出ていくと、
宮崎と西岡も
一旦部屋で休むと言って、
応接室を後にした。
1人になった僕は
ソファに身を沈めた。
応接室の柱時計が
ボーンボーンと17時を告げた。
僕は深い溜息を吐いた。
どっと疲れを感じた。
まさか。
こんなことに巻き込まれるなんて。
本当にツイてない。
最悪だ。
後悔先に立たず。
僕はポケットから
『クラブの6』
を取り出した。
これを皆に見せるべきだったのか。
しかし。
『クラブの8』を出した六条は、
カードを破棄しなかったことで、
逆に怪しまれていた。
ならば。
迂闊なことはできない。
兎に角。
冷静にならなくては。
僕はもう一度溜息を吐いてから、
ゆっくりと頭を振った。
そして。
現状について、
改めて思考を巡らせた。
まず【市民】について。
六条は『クラブの8』を持っていた。
そして。
カードは破棄したものの、
平原は『クラブの5』
西岡は『クラブの3』
菅野は『クラブの4』
と告白していた。
宮崎と佐藤の2人は
カードのことには触れていない。
あと1人。
殺された郷田は、
当然【市民】だろう。
以上のことを踏まえて。
単純に考えるのなら。
宮崎と佐藤の
どちらかが【犯人】
どちらかが【探偵】
ということになる。
個人的には佐藤が
【探偵】であって欲しいのだが。
どちらにせよ。
車椅子である佐藤は
2階には上れないので、
【犯人】は宮崎・・。
ここに到着した順番から考えても、
宮崎は怪しい。
恐らく。
誰もがそう考えるに違いない。
しかし・・。
気になったことと言えば他にもある。
1つは菅野あかりについて。
彼女は25歳と言っていたが、
にわかには信じられなかった。
実際、
僕が同い年だとわかった時、
彼女は一瞬だけ、
「しまった」
というような表情を浮かべた。
女性が年齢を偽ることなど、
些細なことで、
目くじらを立てるようなことでは
ないのかもしれない。
だが。
嘘を吐けば、
人はその嘘を隠すために
別の嘘を重ねる。
彼女の言葉を
今後、
完全に信用することは
できないだろう。
そして。
宮崎清一。
あの男が時折、
車椅子の少女に
醜い欲望を孕んだ視線を
向けていることに、
僕は気付いていた。
それはあくまでも。
僕の主観にすぎない。
だが。
当たらずとも遠からず。
奴は小児性愛者の可能性がある。
そう考えると。
菅野に寄り添われた時の
あの男の拒絶反応も
納得できる。
兎に角。
娼婦と老豚の動向には注意が必要だ。
それに加えて。
魔女と死神。
この2人の対立関係は色々と
面倒なことになりそうだ。
さらに。
すぐに感情的になる未亡人も厄介だ。
結局。
信用できそうなのは、
車椅子の堕天使だけだが。
問題は若すぎるということか。
経験不足は否めない。
「はぁ」
気が付けば。
僕は3度目の溜息を漏らしていた。




