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残春はさ迷える子羊達のコンチェルト  作者: Mr.M
第3楽章 ゲーム

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25/114

第25話 鍵のかからない部屋

応接室の柱時計が

コツコツコツと時を刻んでいた。


六条がおろおろと視線を左右に

動かしていた。

「落ち着いてください・・六条さん。

 鍵がかからないとは、

 どういうことですか?」

佐藤が優しく声を掛けると、

六条は2回ほど大きく深呼吸をした。

「と、兎に角!

 ノブには鍵穴もなければ、

 サムターンもないんです!」

六条はそう叫んだ。

皆が一斉に怪訝な表情を浮かべる中、

西岡だけが薄ら笑いを浮かべていた。

「な、何がおかしいんですかっ!」

西岡に気付いた六条が、

ヒステリックに声を荒げた。


「・・もしかして。

 君は知ってたのか?」

僕は西岡の方を見た。

「ああ。

 最初に建物を調べた時にな。

 その時に思ったんだ。

 ペンションにしては、

 随分変な建物だなってな。

 窓の類は一切なく、

 廊下や部屋には

 昼間でも明々と電気が点いてる。

 テレビも無いし、

 どういうわけか建物内では、

 ネットにも繋がらない。

 それも・・ゲームのことを聞いて、

 ようやく腑に落ちた。

 兎に角。

 これで明日の朝まで

 部屋に閉じ籠る作戦は使えないな」

西岡はそう言って、

「くっくっく」

と笑った。


応接室の柱時計が

コツコツコツと時を刻んでいた。


重苦しい沈黙が

この場を支配していた。

皆それぞれが

何かを考えているようだった。

ふいに。

佐藤がパンッと手を叩いた。

「焦っても仕方がないですよね。

 荷物を部屋に置いてから、

 食事の準備をしましょう」

少女は自らを奮い立たせるように、

そう菅野と平原に提案した。

2人は大人としての矜持からか、

力強く頷いてソファから立ち上がった。

その時。

「わ、私もお手伝いをします!」

六条が手を挙げた。

「な、何かしていないと・・。

 気が紛れないので・・」

そして慌てて、

そう付け加えた。

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