jは邪神のj
「……腹減った」
村に戻って。
第一声がそれだった。
「ニコ様!!どちらにいらしたのっですか!!!」
トイプードルの顔をした女?が駆け寄る。
後ろでは。
村人たちがざわついている。
「神が帰還された……!」
「あれは?ゴブリン?ゴブリンを従えているぞ……!」
やめろ。
ハードルを上げるな。
「……」
とりあえず。
落ち着こう。
今、やるべきこと。
それは――
「パーフェクトジャッジ」
小さく呟く。
発動。
「……なるほど」
見える。全てが。
まずは。
一番近くにいた男。
【アカ・イロデス】
レベル:6
体力:35
魔力:0
攻撃力:9
素早さ:8
防御力:7
賢さ:6
「……弱い」
次。
【アオ・イロデス】
レベル:6
体力:33
魔力:0
攻撃力:8
素早さ:9
防御力:7
賢さ:5
「……ほぼ同じ」
双子なのか?顔もそっくりだ。
いやそれより。
問題はそこじゃない。
ゴブリンを見る。
【ゴブリン】
レベル:8
体力:40
魔力:0
攻撃力:15
素早さ:10
防御力:8
賢さ:5
「……ここにいる奴ら...ゴブリンと同じか、それ以下なのか」
村人たちを見る。
もう一度。
ぐるっと。
見渡す。
「……」
弱い。
全体的に。
弱すぎる。
「……」
俺は少しだけ真顔になった。
ここ。
森の中。
変な宗教村。
周囲に敵。
普通に考えて。
「……いつ潰されてもおかしくない」
口には出さない。
でも。
思った。
はっきりと。
「……」
このままだと。
「……十字架にかけられて馬に引きずられながら、町中をわっしょいわっしょい。」
でも。
その前に。
「ニコ様!」
アトラスが覗き込む。
「いかがなさいました?」
「……いや」
俺は少し考えて。
そして。
言った。
「……腹減った」
「はい!!」
即答。
「宴の準備をしますからね!!」
「え、そんなノリ?」
「当然です!!」
村人たちが動き出す。
一斉に。
「神に食事を!!」
「捧げ物を用意しろ!!」
いや。
そんな大層なやつじゃなくて。
普通に飯なんだけど。
「ニコ様」
キノッツォが近づく。
「本日の御命令、確かに承りました」
「いや、命令っていうか……」
「全員!!」
振り向く。
声が響く。
「本日は!!」
「ニコ様の御降臨を祝う宴とする!!」
「おおおおおおお!!」
盛り上がる。
めっちゃ盛り上がる。
「……」
なんか。
すごいことになってる。
「……まあいいか」
正直。
悪くない。
むしろ。
ちょっと楽しい。
「ニコ様!!」
アトラスが皿を持ってくる。
「こちら、スライムジェルです!!」
「……え」
「ほんのり甘くて美味しいですよ!!」
「……マジか」
食べる。
「……うま」
普通にうまい。
「でしょ!!」
アトラスが嬉しそうに笑う。
その周りで。
村人たちが笑っている。
酒を飲んで。
肉を焼いて。
騒いでいる。
「……」
俺はそれを見て。
少しだけ思った。
「……悪くないな」
この世界。
この立場。
「……」
でも。
同時に。
もう一つ。
はっきりと理解した。
「……弱い」
この村は。
まだ。
圧倒的に。
弱い。
「……」
だから。
次にやることは。
決まっている。
「……どうにか強くするか」
小さく呟いた。
誰にも聞こえないように。
でも。
その言葉は。
確実に。
未来を変える。
そんな気がした。




