騎士王の帰還
『ごぶ……』
目の前には巨大なサソリ。
岩のような外殻。
尾がゆらりと揺れる。
その動きに合わせるようにアーサーが踏み込む。
剣を振る。
――キィン。
弾かれる。
「は?」
『ごぶ!?』
二撃目。
三撃目。
全部。
通らない。
「うわー」
「これは無理だろ!堅すぎる!」
『ごぶ……』
ラヴァスコルピが動く。
尾が振られる。
身体の大きさに似合わず速い。
――ドン。
アーサーが吹き飛ぶ。
転がる。
「おい大丈夫か!?」
『……ごぶ』
立つ。
まだいける。
だが。
「毒あるぞそれ」
尾が刺さり浅い傷を作る。
「じわじわ来るやつだなこれ」
『……ごぶ』
呼吸が荒い。
それでも。
前に出る。
「……待て」
ニコが言う。
「もう一回見る!」
『ごぶ』
アーサーが構える。
ラヴァスコルピが突進。
その瞬間。
【ラヴァスコルピ】
レベル:14
体力:90
魔力:40
攻撃力:60
素早さ:120
防御力:30
概要:
火山性のサソリ。
非常に強固な外殻に身を包み強力な毒でじわじわと敵を追い詰める。
素材:お肉がとても美味しい。強固な外殻は防具にも武器にもなる。
弱点:外殻のつなぎ目である節は案外脆い。
ニコが呟く。
「……あ」
「そこか」
「節」
『ごぶ?』
「関節だ!」
「そこは多分柔らかい!」
『ごぶ!!』
次の瞬間。
アーサーが滑り込む。
懐。
外殻の隙間。
節。
剣を突き立てる。
――ズブッ。
止まる。
「入った!!」
ラヴァスコルピが暴れる。
しかし、既に遅い。手遅れだ。
もう一度。
同じ場所に
――斬。
外殻の内側。
肉が裂ける。
『ごぶ!!』
三撃目。
四撃目。
「いいぞいいぞ!!」
ニコが叫ぶ。
「そこだけ斬りまくれーー!!」
ラヴァスコルピが崩れる。
足が止まる。
尾が落ちる。
そして。
――沈黙。
「……勝ったか?」
『ごぶ……』
アーサーが立つ。
息は荒い。
だが。
倒れていない。
「やるじゃん」
『ごぶ!』
「よし」
ニコが言う。
「それ、持って帰ってきてね!」
『ごぶ?』
「あと今出てきた宝箱も!」
視線の先。
ラヴァスコルピの奥。
赤い宝箱。
『ごぶ?』
アーサーが持ち上げる。
ラヴァスコルピ。
そして。
宝箱。
両方。
「いや本当に持てるのかよ」
『ごぶ!!』
「マジかよお前」
ニコが笑う。
「本当に最高だな」
そのまま。
出口へ。
『ごぶ、ごぶ』
足取りは重い。
だが。
確実に。
前へ進む。
未来の騎士王が止まることは一切無い。




