未来の騎士王ダンジョンを征く。
――暗い。そして熱い。
『ごぶ』
アーサーは一歩、踏み込んだ。
足元の岩は鈍く赤い光を放っている。
暑さのせいか、満ちる魔力のせいか、空気が重い。
ここが――
ダンジョン。
「おお……」
頭の中で声がする。
ニコだ。
「いいなこれ……雰囲気あるな……」
『ごぶ』
「いやお前、ちゃんと警戒しろよ?」
『ごぶ!』
前方。
何かが動く。
赤黒い体。
四足。
牙。
「止まれ」
ニコの声。
「パーフェクトジャッジ」
――視界に文字が走る。
――――――――――
【ヴォルガルド】
レベル:12
体力:120
魔力:20
攻撃力:80
素早さ:50
防御力:60
概要:
火属性の魔獣。
牙と突進による攻撃が主体。
素材:炎獣の牙・灼熱核
――――――――――
「雑魚だな」
『ごぶ』
次の瞬間。
アーサーは走った。
地面を蹴る。
距離が一瞬で詰まる。
ヴォルガルドが吠える。
だが。
遅い。
剣が振り下ろされる。
――断。
一撃。
ヴォルガルドは崩れ落ちた。
「うわ、強っ」
『ごぶ!』
「レベル上がったな」
――――――
アーサー:Lv8 → Lv9
――――――
「は?」
ニコが固まる。
「いやちょっと待て」
「上がるの早くね?」
『ごぶ?』
そのとき。
村。
アトラスがぽつり。
「……おかしいです」
「ゴブリンのレベルは……上位種になっても10が限界のはずです。ましてやただのゴブリンが...」
「……あ?」
ニコの思考が止まる。
「……あー」
「俺の付与か」
「上限解放してるかも。なんかそんな感じする。」
「え?」
「え?」
沈黙。
そして。
「……神様ってずるいんですね」
「今さら?」
――視界を再びダンジョンへ戻す。
天井の影がゆらめく。
「上だ」
『ごぶ!』
落下。
黒い影。
「パーフェクトジャッジ」
――――――――――
【スコリアバット】
レベル:14
体力:90
魔力:40
攻撃力:60
素早さ:120
防御力:30
概要:
火山性コウモリ。
高速飛行と奇襲が特徴。
素材:炎翼膜
――――――――――
「速いだけだな」
『ごぶ!!』
盾を構える。
衝撃を弾く。
そのまま。斬る。
「いいねいいね」
「装備も想ったよりちゃんとしてるじゃん!」
『ごぶ!』
「あとで強化してやるよ」
『ごぶ!!』
アーサーの動きが軽い。
速い。
そして。
止まらない。
――――――
Lv9 → Lv10
――――――
「来たな」
「普通ならここで止まるはずだが……」
一瞬の静寂。
そして。
――――――
Lv10 → Lv11
――――――
「はは」
ニコが笑う。
「ぶっ壊れてるなこれ」
『ごぶ!!』
進む。
進む。
敵を斬る。
砕く。
踏み潰す。
そして。
止まる。
「……ん?」
空気が変わる。
重い。
熱い。
「……おい」
ニコの声が低くなる。
「来るぞ」
暗闇の奥。
巨大な影。
ゆっくりと。
現れる。
八本の足。そしてはさみ状の巨大な触肢。
岩のような体。
溶岩のような目。
「パーフェクトジャッジ」
――――――――――
【ラヴァスコルピ】
レベル:25
体力:600
魔力:50
攻撃力:120
素早さ:100
防御力:500
概要:
火山性のサソリ。
非常に強固な外殻に身を包み強力な毒でじわじわと敵を追い詰める。
素材:お肉がとても美味しい。強固な外殻は防具にも武器にもなる。
――――――――――
「……は?」
「堅い!」
「これ」
「ヤバいやつだろ」
『……ごぶ』
アーサーが構える。
剣を握る。
盾を上げる。
引く気はないようだ。
「……あー。わかったよ。よし」
ニコが笑う。
「やってみろ」
「俺の騎士」
炎が揺れた。




