ダンジョンってワクワクするよね。
「で?」
ニコは腕を組んだ。
「なんでお前ら来たの?」
目の前。
正座する元・冒険者たち。
「はっ」
ベンジャミンが頭を下げる。
「我々はダンジョン攻略拠点であるこの村を奪還するために派遣されました」
「……ダンジョン?」
ニコの眉が跳ねる。
「はい」
クレアが続ける。
「最近、この近辺に、火属性のダンジョンが発見されまして」
「へえ」
ニコの目が。
キラッと光る。
「ダンジョン……」
反芻する。
「ダンジョン……!?」
顔が上がる。
「ちょっと待てそれ!!」
立ち上がる。
「マジのやつ!?あの!?」
「魔物出てくるやつ!?」
「宝箱あるやつ!?」
「でっかいドラゴンのボスとかいるやつ!?」
「……はい。おそらくそのダンジョンです。」
「うおおおおおおおお!!!!」
テンション爆発。
「行く!!」
即答。
「今すぐ行く!!」
「ダメです」
アトラスが即座に否定する。
「むー!本当に!ダメですからね!」
「えー!?」
ニコが振り返る。
「なんでだよ!」
「危ないです!!」
「いやワレ神ぞ!?」
「神様でも危ないです!!」
「理不尽!!」
食い下がる。
だが。
「ダメなものはダメです!」
ぴしゃり。
「ぐぬぬ……」
ニコは唸る。
完全に。
止められている。
「……」
だが。
諦めない。
「……なあ」
そっと。
声を潜める。
アトラスに。
「頼む」
「むー?」
「一回だけ行っ...」
「ダメです」
即答。
「まだ全部言ってない!」
「どうせダンジョン行きたいって言うんですよね!?」
「言うけど!!」
「ダメです!!」
完全に読まれている。
「……くっ」
ニコは膝をつく。
そして。
――土下座。
「頼むアトラス様ぁぁぁぁぁ!!!」
「ええええええ!?」
周囲がざわつく。
「神様が土下座してる!?」
「やめてくださいぃぃぃ!!」
アトラスが慌てる。
「顔を上げてください!!」
「行かせてくれぇぇぇ!!」
「ダメですってば!!」
「じゃあせめて!!」
顔を上げる。
「アーサー行かせて!!」
「……へ?アーサー?」
「俺、みんなと視界共有できるから!!」
「それで見るだけ!!」
「絶対自分では行かない!!」
「……」
アトラスが黙る。
考える。
「……ほんとに?」
「ほんと!!」
「絶対?」
「絶対!!」
「……むー……」
しばらく悩み。
そして。
「……今回だけですよ?」
「っしゃあああああ!!」
ガッツポーズ。
「アーサー!!」
振り返る。
「お前、ダンジョン行ってこい!!」
『ごぶごーぶごぶごぶごぶーごぶごぶごーーーぶ!!』
「よし!!」
ニコは目を閉じる。
意識を繋ぐ。
視界が切り替わる。
森。
足音。
そして。
その先。
ぽっかりと開いた。
巨大な洞窟。まだ入り口なのに、溶岩が流れている。
そして中二の心を持つ神としての直感が言っている。
「……っっっっっ!」
ニコが呟く。
「……マジでダンジョンだ……」
口元が。
歪む。
「最高かよ」




