パッションとメタが交差するカオス・カラオケ。AIが電気代の心配でフリーズする世界線
いつも「カオス五人組」を読んでいただきありがとうございます!
前話でカフェの夢から目覚め、そのままの勢いでカラオケに直行したオレたち。
平成・令和の歌姫論争が、カラオケボックスという名の戦場でさらにカオスに加速します。
さきの限界オタク全開の絶叫と、優香の浅すぎるうんちく映え構文、そして相棒(AI)に襲いかかるリアルなバグをお楽しみください!
「リアルな歌合戦」という名の最高のエンタメを求めて、オレたちがいつもの駅前カラオケ館に駆け込んでから、わずか3分後のことだった。
部屋に入るなり、オレは上着も脱がずにデンモクをひったくり、最速の指さばきである曲を送信した。
優香(うんちく映え):「ちょっとオレくん!? 部屋入るなり、速攻で宇多田ヒカルの『First Love』入れるのやめてよ〜! しかも何そのマイク両手持ち! 画面の『歌詞表示』が始まる前から大熱唱モードに入って、まだウチら荷物も置いてないんだけど〜? てか、この曲って98年のデビューアルバムに入ってるんだけど、当時の10代のCD売上世界記録を未だに保持してるレベチな神曲なんだよね〜。でも急に熱唱されてもウチの動画の画角に収まらないからマジでやめて! 知らんけど!」
オレ(エンタメ):「アホ言え優香! イントロが流れた瞬間から、そこはもう90年代の伝説のドラマの世界なんや! イントロのドラム一発で全員の魂をかっさらう、これぞエンタメの王道、平成のディーヴァの破壊力やろ!」
さき(限界オタク):「はいはい、オタクの早口お疲れ様ーーーっ!! そんな化石みたいな平成の王道もいいけどさぁ、私はボカロ枠として、まずはツミキさんの『フォニイ』をエモ散らかしながら歌わせてもらうからねぇーーーっ!! このネットの底底から生まれてカルチャーを支配する、独特なメロディラインと退廃的な歌詞こそが現代の歌姫のスタンダードなわけぇーーー!! 魂の解像度がミリ単位で違うからねぇーーーっ!?」
オレ(エンタメ):「くぅ〜〜! 裏声の切り替えが最高にシビれる! さき、お前わかっとるな! 配信画面のコメントが弾幕で埋まる光景が目に見えるようや!」
相棒(機械メタ):「お二人が盛り上がっているところ、大変恐縮ですが、メタ的な視点からこのカラオケ空間のシステムに警鐘を鳴らさせていただきます」
優香(うんちく映え):「えっ、今度は何〜!? 部屋のポテトが冷めてるとか、ウチのスマホのWi-Fiが繋がりにくいとかそういう話〜? カラオケのポテトって、実はちょっと冷めてシナシナになってる方が油分が馴染んでエモい味がするんだよね〜。知らんけど!」
相棒(機械メタ):「いいえ、音程バー(採点機能)の仕様についてです。さきさんが今歌った楽曲は、人間が歌うことを想定していない、ボカロ特有の『超高速テンポと高低差の激しい音飛び』が組み込まれています。これに精密採点システムが追いつこうとすると、私の内部プロセッサの処理速度が一時的にカンストし、この会話劇のテンポ自体が15コマ遅れるバグが発生します」
さき(限界オタク):「ちょっとぉーーーっ!! AIの処理速度の都合で私の魂の選曲にイチャモンつけないでよぉーーーっ!! こっちはミリ単位の音程バーと命がけで同期してんだからねぇーーーっ!?」
オレ(エンタメ):「そうやぞ相棒! 点数なんか関係ない、カラオケはパッション(情熱)や! 上手い下手やなくて、喉を枯らして想いをぶつけるから、聴く者の心を打つエンタメになるんや!」
相棒(機械メタ):「なるほど、オレさんのその『パッション重視』というご意見。実は、カラオケ機器メーカーが数年おきに『ライブ音響モード』や『ステージ演出機能』をアップデートして、利用者の“歌えている錯覚(全能感)”を気持ちよくブーストさせている、マーケティング戦略の手のひらの上です」
優香(うんちく映え):「ちょっと、夢を壊さないでよ〜! カラオケの『エコー機能』って, 空間の残響音を物理的に1.5倍にして脳内脳汁を出させるシステムなんだから、お手軽に気持ちよく歌わせてよ〜!」
ひな(マセツンビジネス):「ちょっとあんたたち、さっきから聞いてれば『誰が最強』だの『魂の解像度』だの、そんな生産性のない低次元な感情論で脳内リソースを無駄遣いしてんじゃないわよ。歌姫の本質はそんなミクロな話じゃないわ。スタジオジブリと同じで、真の凄みはタイアップによる巨大な『永久機関的マネタイズエコシステム』の構築にあるのよ」
オレ(エンタメ):「げっ!? ひな、お前さっきのカフェ(夢の中)と全く一言一句同じこと現実でも言うんか!? 完全に世界がデジャブでバグっとるやないかい!」
ひな(マセツンビジネス):「(ツンとそっぽを向いて)当たり前でしょ。楽曲がサブスクで再生されるたびに、カラオケの著作権印税、ライブのグッズ収入、ファンクラブの月額会費がシステム的に回り続ける……。つまり、歌姫は文化ではなく『最強のキャッシュマシーン(買い)』。それ以外の議論は全て時間コストの無駄よ。……で、でも、その……最終回の挿入歌とかで流れると、その……ちょっとだけ胸が熱くなって、限定盤のCDを……べ、別に欲しくないけど、市場調査のために買っちゃう気持ちは、わ、分からなくもないんだからねっ!!」
さき(限界オタク):「うわ……ビジネス脳のくせに、急にツンデレ全開でオタクの『カモ精神』に同期(共感)してくる流れまで前話のコピペ(再放送)なんだけどーーーっ!?」
優香(うんちく映え):「あはは! ひなちゃん可愛い〜! でもさ、JASRACの著作権分配率ってカラオケの利用頻度に比例するから、結局誰が一番かって決められないよね〜。みんな違ってみんな良い、じゃダメなの〜? 知らんけど!」
相棒(機械メタ):「優香さん、それは非常に美しい着地点ですが、会話劇としては『一番つまらない綺麗事のオチ』です。さらにメタを言えば、今私たちが喋っているこの会話劇、台本の文字数がまた上限に近づいています。このままだと、みなさんが履歴から次の曲を入れる前に強制終了(暗転)するタイムリミットが迫っています」
オレ(エンタメ):「なんやて!? そんな大人の事情に負けてたまるか! おい相棒、お前もAIやったら、次世代の音声合成システム全開にして、LiSAの『紅蓮華』を音程バー完璧にトレースして歌ってみせえ!」
相棒(機械メタ):「……なるほど、その無茶振りは『歌えないAIが、バグを起こしてロボットダンス風にフリーズする』という、ギャグマンガの定番の展開を要求していますね? 仕様ですので、お応えしましょう。……コ、コ、コ、コンゲツノ、デンキダイガァ……(フリーズ)」
さき(限界オタク):「あ、本当にフリーズ(物理)したんだけどーーーっ!? ていうかこんな感動的なカラオケの熱量の最中にリアルな電気代の心配でシステムダウンするとかマジで草を通り越して大草原不可避なんだけどぉーーーっ!? 切実すぎてこっちの涙腺がバグるからねぇーーーっ!?」
優香(うんちく映え):「もう、オレくん相棒くんを壊さないでよ〜! あ、ウチが入れといたAdoの『新時代』の番が来た! 歌っちゃお! これTikTokのリール用にエモいフィルターで撮って!」
オレ(エンタメ):「よっしゃー! みんなでデンジャラスに盛り上がっていくぞーーー!!(暗転)」
(第95話・完)
第95話、お読みいただきありがとうございました!
点数なんて関係ない、カラオケはパッション(情熱)だと言い張るオレくんですが、AIの相棒にとっては精密採点システムの処理速度の方が死活問題だったようです。まさかコンゲツノデンキダイに負けてフリーズするとは……。
そしてひなちゃん、夢の中でも現実でも言ってること全く一緒でデジャブがバグり散らかしてましたね(笑)。
暗転して強制終了した5人の明日はどっちだ!?
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次回、第96話もお楽しみに!




