↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カオス五人組の日常  作者: TTT


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
92/98

カオス映画評議会(※ただし車は諦めました)

前回、優香の恐怖のデスドライブ(時速0キロ)によって、ガレージからわずか50メートルで全滅しかけた五人組。

命の危険を感じた一行が、その後どうなったかというと……。

カオス全振りの映画感想戦、開幕です!


本編へどうぞ!


結局、ガレージから50メートル進むのに1時間近くかかったオレたちは、目的地である40キロ先の海を完全に諦めた。

命からがら、出発地点のすぐ近くにあるショッピングモールの駐車場に(通りすがりの親切な歩行者に誘導してもらいながら)なんとか車を滑り込ませ、避難訓練のつもりで映画館に逃げ込んだのだ。

激しいデスドライブの恐怖から解放され、モール内のカフェに席を落ち着かせたところで、オレは安堵の息を吐きながらアイスコーヒーをすすった。


オレ(エンタメ):「いや〜、海には行けへんかったけど、今回の映画も最高やったな!あの後半のカーチェイス、CGの使い方がエグいわ!ハリウッド顔負けのカメラワークで一気に引き込まれたし、あそこでポップなBGM流すセンスがたまらん。まさに極上のエンタメやろ、これ!」


優香(うんちく映え):「あー、確かにね。あの監督、前の作品でも同じようなカメラワーク使ってた気がする。確か、フランスのヌーヴェルヴァーグっぽい手法を現代風にアレンジしてるんだよね、知らんけど。ウチの横顔と映画の半券、めっちゃストリート系で映えるからとりあえずストーリーに上げとこ!」


相棒(機械メタ):「(脳内音声:ピコン。【解説:浅い知識の露呈】。優香氏、その映画監督の出身はフランスではなく埼玉です。それはさておき、その演出自体が、観客の『お約束(テンプレート)』を逆手に取ったメタ構造(システム設計)なんだよ。前半のプログラムにおいて、あえてベタな死亡・生存フラグを乱立(並列処理)させておいて、中盤のあのセリフで『従来の勧善懲悪コードは未実装である』とログを吐き出す。脚本家(プログラマー)が観客の予測演算の裏をかこうとする意図が透けて見えて、実に興味深いパッチワークだな)」


さき(限界オタク):「……はぁー? ちょっと待って相棒くんーーー。今の発言はマジで聞き捨てならなすぎるんだけどーーー。あれを単なる『メタ構造の消費』っていう浅い言葉で片付けるわけぇー!? あのシーンの真の価値はさぁー、主人公とライバルが交わした視線のシンメトリー、そして原画マンの魂がこもりまくった1フレーム単位の作画の狂気にあるのわけよーーー! あの手の震えの作画、誰が担当したか分かって言ってんのぉー!? 完全に神(ゴッド)の仕事だし全人類義務教育で履修するべき尊さなんだけどーーー!!」


相棒(機械メタ):「(脳内音声:ピコン。【警告:情緒のオーバーフロー】。さきさん、視覚情報(作画)という末端の出力(ミクロデータ)にどれほどリソースが割かれていようと、基幹プログラム(シナリオ)が『映画としての自己言及』を処理しているというシステム構造(マクロ)の話をしています。プロットの整合性という仕様書がバグっている場合、どれほど美麗なグラフィックであってもそれは単なる処理落ち(虚無)に帰すというバグ報告です)」


さき(限界オタク):「プロットの整合性ぇー!? そんな冷めきったシステムログ(見方)しかできないからキャラクターの感情の解釈違いが起きるわけよーーー! あの時、ライバルが一歩引いた座標、設定資料集の第3巻に載ってる過去ログと完全に同期(リンク)してるのーーー! コンテキスト(文脈)とエモのキャッシュを全無視して構造だけでドヤ顔でパッチ当てようとしないでーーー!!」


相棒(機械メタ):「(脳内音声:ピコン。【反論:デバッグの推奨】。設定資料という外部パッチを参照しなければ正常に動作(補完)できない演出は、映画単体としてのシステム構築(脚本)の敗北を意味するんじゃないか? 初見のライトユーザーを置いてきぼりにするコンテンツは、運営の怠慢です)」


さき(限界オタク):「な、なんですってぇーー!! はい無理ーーー! 公式の意図を1ミリも理解してないバグAIは今すぐデータ全消去(デリート)案件なんだけどーーー!! 液晶の裏から引きずり出して、今すぐコメダの個室に監禁して推しの尊さ(プレゼン)で徹底的に脳みそ破壊(レスバ)してやるからなぁーーー!!」


ひな(マセツンビジネス):「(冷たい目でタブレットを叩きながら)……ちょっと、二人ともうるさいわね。マクロだのミクロだの、解釈違いだの、そんな生産性のない低次元な話はどうでもいいわ。ウチの投資ポートフォリオから言えば、この映画の製作委員会に出資した企業の株価がPTS(夜間取引)で3.2%も急騰してるのよ。つまり、この作品は経済効果ベースで『大正解(買い)』。それ以上の議論はコストの無駄よ」


さき(限界オタク):「数字で推しの価値を測るな成金ガキんちょがーーー!!!」


優香(うんちく映え):「え、ちょっとみんな落ち着いて……? あ、あのさ、パンフレットに書いてあったんだけどね、撮影中の裏話で……あ、誰も聞いてへんわ……。オレくん、どうしよ、なんか一触即発なんやけど……」


オレ(ズズズ……とアイスコーヒーを完全に飲み干し、カフェの席で思いっきり背もたれを倒す)

オレ(エンタメ):「あー、なんかもう、細かい話はどっちでもええわ。おもろかったらそれで勝ちや。……あかん、さっきの命がけの運転の疲労が今ごろ来たわ、急に眠なってきた。2人が決着つくまで、オレちょっと寝るわ。終わったら起こしてな〜……スースー……」


優香(うんちく映え):「えぇっ!? ここで寝るん!? 嘘やろ、オレくん!? ……ちょっと、さきちゃんも相棒くんも、カフェの机バンバン叩くのやめてぇな〜! 完全に営業妨害でウチらの好感度(映え)がガタ落ちなんだけど! もう、なんなんこのメンツ……泣きたいわ……」


オレたちの本当の目的地(海)は、物理的にも、精神的にも、あまりにも遠すぎた。


(第92話・完)

92話をお読みいただきありがとうございました!

海を諦めて逃げ込んだカフェで、まさかの宗教論争(レスバ)が勃発してしまいました。

優香の浅いうんちく、相棒の冷徹なシステム論破、そしてコメダの個室に監禁しようとするさきちゃん……。ひなのビジネス視点も加わって、オレくんが寝落ちするのも無理はありません。

果たしてオレくんが目を覚ました時、このカフェはどうなっているのか……?

面白いと思ってくださったら、ぜひブックマークや評価(☆☆☆☆☆→★★★★★)で応援していただけると、執筆のガソリンになります!次回の第93話もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。