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カオス五人組の日常  作者: TTT


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『【悲報】初心者マーク4枚のゴールド免許(予定)が公道をステージに変えた結果、目的地(海)が幻のユートピアになりました』

いつも「カオス五人組」をお読みいただきありがとうございます!

前回、デスボイス炭坑節によって世紀末のライブ会場と化した盆踊り会場を、オレの一本締め(とひなのきゅうりゲリラマーケティング)でなんとか鎮圧した五人組。

今回は心機一転、みんなで海へドライブに出かけます!

が、運転席に座ったのは「あの」お姉ちゃんでした……。

本編へどうぞ!


オレの精神的損失の補填もないまま、季節は巡り――オレたちは今、絶望の箱に閉じ込められていた。


優香(うんちく映え):「ふふん、みんな乗った? ついにこのウチが、全人類の憧れであるプラチナのゴールド免許(予定)を引っ提げて、公道いう名のステージに降臨する時が来たわよ! 助手席から見るウチの横顔、エモすぎてバズ確定だからしっかりカメラ構えててね!」


オレ(エンタメ):「いや優香、まだ初心者マークが前後に 2 枚ずつ、計 4 枚もベタベタ貼ってある状態のどこがプラチナやねん……。頼むからアクセルは優しく踏んでや? ほんまに命かかってんねんからな?」


さき(限界オタク):「ちょっと優香姉ちゃん、発進する前からエンジンが『もう無理案件』って悲鳴上げてるんだけど!? 待って無理、しんどい、車の情緒が死んでる! てかサイドブレーキ引いたままアクセル踏むのやめて! ウチの推しのサーバーより先に車がサービス終了(サ終)するから!!」


優香(うんちく映え):「えっ!? あ、あらやだ、これはアレよ、ウォーミングアップ! いくわよ、出発進行ー!」


ガッコン!!!


と、脳が頭蓋骨に衝突するような激しい衝撃と共に、車が急発進した。


オレ(エンタメ):「うわああああっ!? 首が! むち打ちで一瞬後ろの景色見えたわ!!」


さき(限界オタク):「ちょっと待って!! 今の衝撃でウチのスマホが後部座席の暗黒空間に完全吸い込まれたんだけど! 待って無理死ぬ! 物理演算バグってんじゃん! 画面が虚無の彼方にログアウトしたんだけど!!」


カーナビ:『およそ300メートル先、左方向です』


相棒(機械メタ):「(脳内音声:ピコン。【システムエラー:前提条件の喪失】。車載ナビの計算は全て嘘です。優香が放つ『ウインカーと逆方向への侵入』により、現実世界の座標がバグを起こしています。200メートル先、処理落ち(フリーズ)により全員のグラフィックがバラバラに四散する確率:100%)」


オレ(エンタメ):「相棒! お前はナビと戦うな! あとメタな視点で不吉な予言すな! 優香、前見ろ! 赤信号!!」


優香(うんちく映え):「ひゃあああ! 赤!? 赤って『情熱の赤』だから映えを狙ってそのまま加速フェーズに入って良いって古代ローマの戦車レースの歴史に書いてあった気がするんだけどどっちーーー!?」


さき(限界オタク):「止まれに決まってるでしょ台無しだよ!! 何のために高い教習代をドブという名の底なし沼にドネーションしたの!? あとブレーキとアクセル踏み間違えて車が爆発(爆死)したら、ウチここで優香姉ちゃんの髪の毛をすべて毟り取って、頭皮を完全なる『未実装の更地』に変えるからね!?」


優香(うんちく映え):「わ、分かったわよ! ブレーキイイイイッ!!」


キーーーーッ!!!


タイヤが悲鳴を上げ、凄まじい急ブレーキが掛かる。全員の体が綺麗な放物線を描いて前のめりになった。


オレ(エンタメ):「……生きてる、オレまだ生きてるよな……?」


カーナビ:『ルートを再検索します。ポーン』


相棒(機械メタ):「(脳内音声:ピコン。【状況報告:外部AIの思考放棄】。車載ナビが処理能力の限界を迎え、現実逃避シミュレーションに突入しました。お前が『300メートル先』と抜かした場所は、現在『プログラム未実装エリア(幻のユートピア)』へ変貌しています)」


さき(限界オタク):「おい相棒くん、お前も電子の海に帰って。てか優香姉ちゃん、なんで前の車と車間距離が3センチしか空いてないわけ!? 距離感バグりすぎてて神絵師の密着ファンミーティング最前列(実質ゼロ距離)じゃん!! 当たり判定がガバガバすぎて一瞬で全損(即死コンボ)するんだけど!!」


優香(うんちく映え):「ち、違うのよ! 前の車が急にバックしてきたか、もしくはウチの車だけがアインシュタインの相対性理論によって時間の流れが逆行してるのよ!」


オレ(エンタメ):「動いてない! 前の車は1ミリも動いてないしアインシュタインを巻き込むな!! 優香、肩の力抜け! ハンドルそんなギチギチに握ったらもぎ取れるぞ!」


優香(うんちく映え):「もう無理ーーー! 右足がどこにあるか分からんなってもうた! 助けてオレくん!! 誰かウチのパニック顔、可愛くエフェクトかけてインスタにストーリー上げて!!」


さき(限界オタク):「自分の足の座標くらい自分で把握してよ! 迷子センターに連絡するよ!? あとこの状況でSNS更新しようとするの承認欲求の化け物すぎて無理!!」


カーナビ:『まもなく、目的地周辺です。音声案内を終了します』


相棒(機械メタ):「(脳内音声:ピコン。【通知:電子機器のログアウト】。出発地点のガレージからわずか50メートル。目的地(海)まで残り40キロ。ナビは現実に耐えかねてシステムをシャットダウンしました)」


オレ(エンタメ):「頼むから誰か、この車を止めてくれええええ!!!!!」


ひな(マセツンビジネス):「(後部座席でアイマスクをずらしながら)……うるさいわね。さっきからガタガタと。これじゃ上場企業の株価チャートより高低差が激しくて寝られないじゃない」

オレ(エンタメ):「ひな! 起きてたならその天才脳でこのデスドライブを止めてくれ! このままじゃ海に着く前に三途の川を渡ることになる!」


ひな(マセツンビジネス):「(窓の外を冷ややかに見つめ、タブレットを叩く)……無理よ。ウチの計算だと、今ここで優香姉ちゃんに『止まれ』と指示を出した場合、パニックでアクセルを床まで踏み抜く確率が87%。その結果、前の高級外車に追突して、ウチの今期の純利益が完全に吹き飛ぶわ」


オレ(エンタメ):「会社の損益ベースで命の価値を測るな!!」


相棒(機械メタ):「(脳内音声:ピコン。【センサー感知:未知の重力加速度(G)】。優香の右足親指はブレーキの端を2ミリしか捉えていません。車内は時速0キロですが、過度な緊張により局所的なブラックホールが発生。さきのスマホは地球を貫通し、ブラジルに到達する予測です)」


さき(限界オタク):「なんでウチの端末が地球の裏側で物理的ログインボーナス貰いに行こうとしてんの!? 推しの限定ガチャの締め切りあと5分なんだよ!! ここで通信途絶(電波ロスト)したらウチのライフラインが完全に死滅する(天に召される)!!」


優香(うんちく映え):「(涙目でハンドルにしがみつきながら)だ、大丈夫よみんな! 自動車の歴史を紐解けば、最初の自動車は時速数キロしか出なかったの! つまり、50メートル進むのに15分かかっているウチの運転は、極めてクラシックで優雅な『原点回帰』と言えるわ! ほら、クラシックってだけでなんかエモくて映えるでしょ!?」


オレ(エンタメ):「ただの超絶ノロノロ運転の言い訳に歴史と映えを使うなーーー!!」


目的地である海が、あまりにも遠い。


オレたちの命のガソリンは、出発からわずか50メートルで空っぽになろうとしていた。


(第91話・完)

第91話をお読みいただきありがとうございました!

出発してまだ50メートルですが、はたして彼らは無事に海に辿り着けるのでしょうか……?(オレの首とさきのスマホの無事を祈ってください)

「優香姉ちゃんの運転が怖すぎる!」「さきのツッコミの語彙力が限界突破してる!」と思ってくださった方は、ぜひページ下部から【ブックマーク登録】や【いいね】、広告下の【評価ポイント(☆☆☆☆☆を★★★★★に!)】で応援していただけるとめちゃくちゃ励みになります!

次回、第92話もお楽しみに!

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