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カオス五人組の日常  作者: TTT


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90/98

モッシュピット・ラプソディ

いつもお読みいただきありがとうございます!

前回、相棒の気まぐれ(?)なハッキングによって、平和な地元の夏祭りが突如としてヘヴィメタル会場に変貌してしまいました。

盆踊り会場が完全に大暴れ地帯(モッシュピット)と化す中、オレたちはこのカオスを生き残ることができるのか――!?

記念すべき第90話、お祭りの狂騒曲をそのままの勢いでお届けします!

オレのツッコミも虚しく、境内のスピーカーからは歪んだ重低音のデスボイスが響き渡り続けていた。

『ドコドコドコドコ……!!(高速ツーバス)』

『アァァァアアア! 掘ってぇぇぇ! 掘ってぇぇぇ!! また掘ってぇぇぇエエエ!!!(デスボイス炭坑節)』


オレ(エンタメ):「キャンセル間に合ってへんやんけ!!! 盆踊り会場がモッシュピット(大暴れ地帯)になる前に早く元に戻せーーー!!!」


相棒(機械メタ):「(脳内音声:ピコン。誠に遺憾ながら、現在のハッキング解除プロセス(アンインストール)には約3分を要します。それまで皆様、良きメタルライフを)」


オレ(エンタメ):「優雅に案内しとる場合か! 3分もあったら神社が崩壊するわ!」


しかし、オレの心配をよそに、境内に異変が起き始めていた。


中央の櫓(やぐら)を囲んでいた地元のじいちゃんばあちゃん達が、一瞬だけ顔を見合わせた後、おもむろに腰を落としたのだ。


近所の頑固じいさん:「……ほう、今年の音頭は随分と骨太(ハードコア)じゃねえか。血が滾るわい!」


次の瞬間、じいちゃんがキレッキレのヘッドバンギングを開始。それに呼応するように、周囲の大人たち、さらにはさっきのチャラ男たちまでが謎の熱狂に包まれ、互いの肩をぶつけ合うサークルモッシュが発生し始めた。


優香(うんちく映え):「(興奮気味に)ちょっとオレくん見てよ! 盆踊りの起源である『踊り念仏』も、元々は集団トランス状態で狂ったように踊り狂うのが正解なんです! つまり、歴史の系譜としてはこれが完全なる『正しい姿(ジャスティス)』ですよ!」


オレ(エンタメ):「どんな歴史解釈やねん! 美貌うんちくキャラがデスボイスで覚醒すな!」


さき(限界オタク):「(カバンからサイリウム(神社のお守り)を取り出し、猛烈な勢いでオタ芸を打ちながら)限界突破ァァァ!!! 神社が完全に幕張メッセになったーーー! 尊い! 尊さの過剰摂取でうちのライフラインが完全にライン越えしとるーーー!!!」


オレ(エンタメ):「お守りでロマンス打つな! バチ当たりやろ!」


カオスがカオスを呼び、境内が完全に世紀末のライブ会場と化す中、冷やしきゅうりを片手にしたひなが、ビジネス脳のパッシブスキルを発動させて目をギラつかせた。


ひな(マセツンビジネス):「(冷やしきゅうりをマイクのように握りしめ)……ちょっと待って。この集客力、そして全員が軽いトランス状態。今ここにウチの『在庫(冷やしきゅうり一本200円)』を投入すれば……購買意欲のインフレが起きて利益率が通常の400%を超えるわ……! これが令和のゲリラマーケティングよ!」


オレ(エンタメ):「火事場泥棒の損益計算書を組み立てるな!! 誰もきゅうり持ってモッシュせえへんわ!」


その時、相棒の画面がピキーンと怪しく点滅した。


相棒(機械メタ):「(脳内音声:ピコン。オレのスーパーAIが弾き出した計算によると、この熱狂のボルテージを強制シャットダウンするには、主役(エンタメ)であるオレが櫓の頂上に登り、男らしく『お手を拝借』と一本締めで割り込むしかありません)」


オレ(エンタメ):「はぁ!? なんでオレがそんな大役を――」


言いかける前に、相棒が遠隔でオレのスマホの音響システムをジャック。境内全体に響き渡る大音量の『ドン!!(和太鼓)』の音を鳴らした。

一瞬にして、ヘッドバンギングをしていた数百人の視線が、オレ一人に集中する。


近所の頑固じいさん:「おお……! 櫓の上に、新しいフロントマン(主役)が立ったぞ!」


オレ(エンタメ):「(相棒に向かって小声で)お前仕組んだなァァァ!!! 覚悟決めるしかないやんけ!!」


引くに引けなくなったオレは、ヤケクソで櫓の階段を駆け上がり、全校生徒……いや、全地域住民の視線を一身に浴びながら、両手を大きく広げた。


オレ(エンタメ):「(腹の底から声を張り上げ)ーーーよーーーお!!!(ポンッ!)」


カンッ……!!!


オレの一本締めが境内に鳴り響いたその瞬間、相棒のアンインストールがぴったり『0秒』を指し、スピーカーの重低音がブツッと切れて、完全なる静寂が戻ってきた。


あまりの静けさに、虫の鳴き声だけが虚しく響く。

櫓の上で、手を合わせたまま固まるオレ。


ひな(マセツンビジネス):「(タブレットの損益計算書をタップしながら)……お疲れ様オレ。熱狂した客たちが水分補給を求めた結果、きゅうり、完売(目標達成)よ」


オレ(エンタメ):「(櫓の上から涙目で)オレの精神的損失の補填、誰がしてくれるんやァァァ!!!」


(第90話・完)

第90話をお読みいただきありがとうございました!

オレの男気(強制)の一本締めにより、なんとか神社の平和は守られました(オレの精神は崩壊しましたが)。そしてちゃっかり大儲けしているひな、さすがです。

ついに大台の90話まで来ることができました!ここまで来られたのも、いつも応援してくださる読者の皆様のおかげです。

100話の大台に向けて、カオス五人組はさらに加速していきますので、これからも応援よろしくお願いします!

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