最新アプリの紙吹雪エフェクトと昭和の熱気でカピカピになった物理付箋で脳汁を出していたら、DoS攻撃と熱暴走のダブルパンチで会社ごと強制終了した件
いつもお読みいただきありがとうございます!
前回、ルーター物理大破&取引先全滅という地獄を見た我が社ですが、懲りずにまた新しい宗教戦争が勃発しました。今回は「最新ツールの紙吹雪」vs「昭和の物理付箋」のバトルをお届けします。ひなと相棒の容赦ない現実突きつけにもご注目ください!
我が家が謎のフリーランス集団「カオス合同会社」を名乗り、前回の「ルーター物理大破&取引先全滅」という暗黒のディストピアから奇跡の復活を遂げて数日。
新しく買い直したWi-Fiルーターが眩しいLEDを明滅させる中、我が社のオフィス(リビング)には、またしても新たな宗派対立の血煙が立ち上っていた。
オレはスマホをハンディカメラ風にプロっぽく構え、あえてガイアの夜明け風のトーンで声をかける。
「えー、本日は我が社の二大トップクリエイターに、新プロジェクトに向けた『タスク管理の最適解』について、そのこだわりをインタビューしたいと思います」
優香がすぐに反応し、ふっと鼻で笑いながら最新のMacBookの画面をこちらに向けた。
「ねえ、さきちゃん。さっきから見てたら、なんでそんな机の上に『使い古した付箋』をペタペタ大量に貼り付けてんの? 昭和のハゲ散らかした課長のデスクかと思ったわ。見てるこっちの美意識が死滅するんだけど」
「わかってないなぁ、優香お姉ちゃん」
さきがガタッ!!と椅子から跳ね起き、白目を剥きながら不敵に笑う。
「この、用件が終わった付箋を『ペリィッ!!』って引き剥がして、ゴミ箱に『ポイィッ!!』って投げ捨てた時の物理的な手応えと達成感! これが仕事へのモチベぶち上げて実質タダで命救われるやつやから!! 脳内麻薬がドバドバ出て合法的にキマるからマジで無理ーー!!」
「命救われるって何によ(笑)」
優香が髪をかき上げ、自分の画面をドヤ顔で見せつけてくる。
「今はすべてのタスクを『Notion』と『Trello』にぶち込んで、終わったカードをドラッグ&ドロップした瞬間に画面いっぱいに紙吹雪のエフェクトが舞い散る、あの祝福のデジタル空間の時代よ? ガントチャートの進捗バーが『ヌルッ』と伸びる挙動を見るだけで、脳汁が引き算ビジネスの限界を突破するわ。これぞ大人のスマートワークよ」
「いや、うちから言わせれば、それって全部『無駄なJavaScriptでガワだけピカピカ飾った偽りのエルドラド』やからマジで無理ーー!!」
さきはデスクの上を激しく叩き、狂ったように大熱弁を始める。
「昔の、徹夜明けのオフィスで『これ今日中のタスクな』って、先輩から液晶モニターのフチに直接付箋をベタベタ貼られて、糊が熱でカピカピになって剥がれ落ちるあの哀愁漂う空気感!! 油性マジックで殴り書きされた『至急!!』の文字の、あの世界から置いていかれるようなザラッとした焦燥感に勝てるエフェクトなんて令和のバズワードから跡形もなく抹消されてるから無理しんどいーーー!! 侘び寂びの過剰摂取で脳のニューロン焼き切れるわ神様ありがとうーーーっっっ!!!」
オレ:「(……何これ。さきがアナログ側に回った瞬間、急に昭和のブラック企業の生き残りみたいになってる。液晶のフチの付箋をリアルタイムで見てたのはいつの時代のビジネスマンやねん!)」
オレのツッコミなどどこ吹く風で、優香が悔しそうにマウスを激しくクリックする。
「とにかく! もうその話は強制終了。進捗カードも、タスクのデータベースも、何ひとつ爆発させへんからね」
「でも結局、優香お姉ちゃんが今の『最新アプリの自動化機能に浸って、カフェでドヤ顔しながらタスクを右から左へ動かすリール映え』に、うちが昔の『剥がれ落ちた付箋がルンバに吸い込まれた時の絶望の黄金期』に五体投地してる時点で、結局どっちも別の神から脳汁垂れ流してキマってる同類でしかなくて無理死ぬーーー!! 同じ地獄の沼の底で手ぇ繋いでタップダンス踊ってるだけやん神様ありがとうーーーっっっ!!!(笑)」
オレ:「(会話の熱量が凄すぎて、オレが一言も挟めへん……)」
オレが二人の熱量に圧倒されていると、キッチンから冷えたプロテインをシェイクしながら、ひなが冷徹な視線を投げかけてきた。
「本当、Notionの進捗バーを無駄に往復させてる時間と、机の上の付箋を色のグラデーション順に並び替えてる時間で、とっくに今日のクライアントへの納品データ作れたよね。その手厚い福利厚生とやら、1ミリの生産性向上にもなってないんだけど」
ひなのコストカット正論が突き刺さる中、相棒が無表情のままノートPCのエンターキーを静かにターン!と叩いた。
「『【業務効率査定】優香氏の紙吹雪エフェクトを凝視する虚無セッション、およびさき氏の付箋引き剥がしによる脳内ブラック企業接続を計算した結果、我が社の本日午前中の売上は純減150%を記録しました。システム上のカテゴリーは「タスク迷子による進捗破産」です。完全にツールの演出に脳をハッキングされていますね』」
「相棒、また急にガチの経営コンサルタントみたいな辛辣な資産査定するな! 進捗破産って何やねん!」
「さらに深刻なバグを報告します」
相棒は無表情のまま、真っ黒な画面に緑色で「FATAL ERROR」と書かれた画面をオレに向けてきた。
「『【システムクラッシュ】さき氏が付箋の「物理的な手応え」を限界まで追求しようと、我が社の最新Wi-Fiルーターの通気口を大量の付箋で完全に塞いで密閉した結果、熱がこもって内部基盤が爆発大破。同時に優香氏が、タスクの自動化設定をミスって取引先に「タスクを完了してください」という催促メールを1秒間に300通誤送信(DoS攻撃)した結果、出禁になり、すべての案件が強制終了(失注)しました』」
「ルーター熱暴走爆発と取引先出禁のダブルパンチきとるやないかい!!」
オレの絶叫がリビングにこだまする。優香とさきは「ギクッ」と同時に凍りついた。Wi-Fiのランプは完全に消灯し、優香のスマホには取引先からの激怒の電話が鳴り響く。
「優香お姉ちゃん……」
さきがガタッ!!と震えながら優香の肩を掴んだ。
「こうなったら、ネットの繋がらないNotionと、誰もいなくなったTrelloのハイブリッドで、この理不尽な現実をすべて『黒板とチョークのエフェクト』で壁一面に書き殴りましょう!! 現実のタスクから逃げられすぎて無理ーー!!」
優香もヤケクソ気味に引き出しからチョークを取り出す。
「そうよ! デジタルがダメなら、このリビングの壁というキャンバスに『納期厳守』を100回書き殴る超アナログなスマートワークよ!」
「もうやめろ! 完全にただの現実逃避やろがい!!」
システムをアナログにしようが最新にしようが、優香のスマート気取りなUIマウントと、さきのシステム管理者限界オタク構文が響き渡る我が社のリビングは、結局仕事が1ミリも進まないまま、物理的にもデジタル的にも作業環境が崩壊していく運命から逃れられないのだった。
「「あ、フリーズしちゃった(ルーターも会社も)」」
「結局、ネタを変えたところで、オレがツールマニアの両サイドから挟されて仕事の邪魔された挙げ句、最後は会社のシステムごと強制終了するお決まりの流れになってるやんけ!!!(泣)」
(第56話・完)
第56話もお読みいただきありがとうございました!
最新アプリの演出に脳をハッキングされた結果、まさかの自動化ミスによるDoS攻撃(取引先出禁)と、物理的な熱暴走(ルーター爆発)のダブルパンチで終了したカオス合同会社。リビングの壁がチョークまみれになる前に、オレはまた新しいルーターを買いに走ります……。
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