担当シャッフルしたら属性が全方位に拡大してオレのライフがゼロになった件〜昭和の頑固親父が憑依した限界女子と令和の縦型ショート不倫ドラマ姉さんに挟まれて脳内が砂嵐〜
前回の第52話もたくさんの評価、ブックマーク、そしてJ-CASTの魚拓へのツッコミ(笑)ありがとうございました!
「歩く画質バグ」ことオレくんです。我が家の財政ピンチの救世主だった「半額ねぎ塩豚カルビ丼」の余韻に浸る間もなく、リビングの粗大ゴミコンビがまたしてもバグを発生させました。
今回はマンネリ打破のために「担当シャッフル」を試みた結果、我が家の時空とコンプライアンスがブルドーザーで粉砕されるお話です。どうぞお楽しみください!
昨日、J-CASTニュースの続報でオレの脳内「ニャンザップ構文」までネット全域に魚拓を取られて世界共有され、不法投棄美化委員のトラックに二日連続でリサイクルされかけた我が家だったが、地獄の一夜が明けても現実は甘くなかった。
クレジットカードの請求書とデジタルお布施の山に直撃され、リビングのソファには、再び「情報の粗大ゴミ」として転がっていた限界女子二人の姿があった。
しかし、彼女たちが突如として奇妙なオーラを放ち始めたのは、その数時間後のことだった。
液晶画面を睨みつけながら、ぶつぶつと「タイパが……」「テレカの度数が……」と呟く二人の姿に、オレは背筋が寒くなるのを感じて声をかけた。
「……なんか今日、2人のテレビトークの熱量ちょい凄ない?」
「別に?」
優香が勝気な笑みを浮かべて美しい髪をかき上げた。
「こっちかて毎回スマホの画面割ったり、クローゼットから四次元ポケット並みのブツ引っ張り出したりして体張ってんねん! 今日は優雅に、令和の最先端コンテンツをスマートに語る知性派ポジションで行かせてもらうわ」
「アッ待って無理!!」
ソファの上で頭を抱えていたさきが、ガタッと跳ね起きて髪をかき上げる。
「令和の最先端、スマート、タイパ? そんなのコンテンツの表面をペラペラ撫でて『#キリトリ世界』で満足してるだけでマジで浅瀬チャプチャプすぎて無理ーー!! いい? 昭和・平成のテレビマンたちが、ゴールデンタイムの1分1秒にどれだけの血と汗と執念を賭けて命削ってたか……! まずは『テレビの前に直立不動からの正座』、これがコンテンツを消費する者の基本のキなわけ!! あまりの熱量に脊髄反射で背筋伸ばしてテレビのブラウン管に五体投地かます一歩手前だわ危なーー!! 命が足りんっっ!!」
「さき、目がマジやねん。ほんでポーズが完全に昭和の頑固親父のそれや。姉ちゃん呼びの可愛い妹キャラから限界オタクへの憑依スピードどうなってんねん」
オレのツッコミなどどこ吹く風で、二人のマウント合戦がヒートアップする。
「ちょっとさきちゃん、あたしのポジション奪うのはいいけど、ガチすぎて引き際がわからんくなるタイプのオタク出すのやめて。あたしはもっとライトにマウント取りたいの! ……で、何? 令和のトレンドと言えば、やっぱり縦型ショートドラマよ。1話2分で、急に御曹司と貧乏学生が入れ替わって、次の秒で修羅場。この無駄のないスピード感に、テレビっ子のあたしのDNAがビンビンに反応しとるわけ」
「あああああ待って!!」
さきがさらに頭を抱えてソファでのたうち回り、狂ったように捲し立てる。
「2分? 浅い、浅すぎるわ優香お姉ちゃん!! 平成のトレンディドラマを見なさいよマジで神の遺産だから!! すれ違いを『携帯がないから』という理由だけで1クール11話丸々引っ張るのよ!? 正気の沙汰じゃないエモさで脳のニューロン焼き切れる!! 駅の伝言板にチョークで書かれた『18時まで待つ』の文字!! 雨の中、公衆電話のテレホンカードの度数がガリガリ減っていくあの焦燥感……!! 尊すぎて無理ーー!! これぞ全人類が悶絶した『タイパ完全無視の純愛』よ!! 侘び寂びの過剰摂取でマジで息が止まるっっ!!」
「熱量がバック・トゥ・ザ・フューチャーしとるがね!! さき、お前さっき『ビデオの爪』って言ってたのに、もうテレカの度数まで解像度上げてきてるやん! 産まれる前の時代やろそれ!」
「ちょっと待って、今のさきちゃんのセリフ、普通にエモくて悔しいんやけど! あたしの縦型ドラマ、今のところ不倫と復讐しか起きてへんわ!」
優香が悔しそうにスマホを握りしめる。しかし、さきの暴走はノンストップだ。
「さらに言うならバラエティの黄金期よマジで無理尊すぎてしんどい!! コンプライアンスの壁をブルドーザーで粉砕しながら進むあの圧倒的熱気!! 生放送で大がかりなセットがガシャーンって大崩壊しても『あ、壊れちゃった』の一言で済ませるあの伝説の空気感!! 今のネット動画の『過激な企画』の元ネタはぁ……全部あの狂った時代に置いてあるのよッッ!! 尊さの過剰摂取で脳汁垂れ流しながら五体投地かますしか選択肢が残されてないわ神様ありがとうーーーっっっ!!!」
「もうさきを止めろ! 誰か山口百恵のレコード持ってきて、マイクを床に置かせろ! じゃないとこの令和の部屋が昭和の熱気でサウナになる!!」
オレが周囲に助けを求めると、キッチンから冷えた麦茶を飲みながら、ひなが冷めた声をかけてきた。
「何やってんの、あのバカ二人。昨日のJ-CASTの炎上をメタ発言でテンプレ回避した気になってるけど、結局やってること『自分の好きなコンテンツへの異常な熱量をオレくんにぶつけてるだけ』じゃん。担当シャッフルしたところで、痛いメディアオタクなのは変わってないよ。いつまでやってんの、これ」
ひなの辛辣な正論に、リビングの隅からノートPCのキーボードを叩きながら相棒が淡々と追撃する。
「『【構造解析】優香氏およびさき氏は昨夜の「第二次回収セレモニー」による精神的ダメージを忘却するため、「お約束の脱却」を謳うことで知性をアピールしようと試みました。しかし、結果として「うんちく映え姉」と「限界オタク」の属性が昭和・平成・令和の全方位に拡大し、オレ氏への精神的圧迫力を2倍に跳ね上げることに成功しています。システム上のカテゴリーは「メディア兵器によるカオスの全年齢対象化」です。ただの世代間マウント大災害ですね』」
「相棒、お前は解説ナレーションのシステムAIか何かか!? ほんで昨日のラストでオレの構文を完璧に使いこなしてたクセに、一晩明けたらまた冷徹なシステム解説に戻るな! 世代間マウント大災害って何やねん!」
「さらに捕捉分析を行います」
相棒は無表情のまま画面をオレに向けてきた。
「『【二次災害予測】このまま両氏のトークがエスカレートした場合、リビングの視聴環境が限界を突破。昭和のコンプライアンス無視の熱気と令和のデジタルタイパが部屋の中で物理的に干渉し、オレ氏の視界が強制的に4対3のブラウン管画質、最悪の場合は砂嵐に強制変換される恐れがあります。昨日の「歩く画質バグ」がガチのバグになります』」
「オレの視界をアナログ放送終了にさせるな!! ひな、お前からももっと言ってやってくれ!!」
「言っても無駄だよ、オレくん。ほら、もう完全に2人とも現実逃避のフルドライブ入ってるから」
ひなが冷ややかに指差す先では、優香がすでに手遅れな状態でスマホをいじり始めていた。
「……あ、あかん。さきちゃんの話聞いてたら、YouTubeで『昭和・平成懐かしのCM集』検索してもうた……。まるでおばあちゃんの家のような安心感が、あたしの脳内をインプレッションしていく……ハッシュタグ、エモい、と……」
「ふふふ……優香姉ちゃん、こっち側へおいで」
ズブズブとソファから床へ滑り落ちていくさきが、狂気的な目で優香を見上げた。
「巻き戻し音の『ウィーーーーン』が、あなたを癒やしてくれるわ……。タイパなんて忘れて、あの3倍録画のノイズの海に五体投地するのよ……たすけて尊すぎて脳の処理が追いつかない……」
「やっぱり五体投地しとるんかい!! しかも、さっき文句言ってたレトロ動画に結局逆戻りして脳内侵食されとるやないかい!」
「優香お姉ちゃん」
ひなが空になった麦茶のコップをトントンと机に叩きつけ、優香をジト目で睨みつける。
「15秒のリール動画研究する前に、15秒で終わる部屋の片付けしなよ。散らかりすぎてリビングの画質だけ昭和30年代のゴミ屋敷になってる。オレくんにマウント取る暇があったら動けば?
昨日の資格試験の過去問よりタスク山積みだよ」
「(ギクッ)……そ、それは、昨日のデジタルデトックスの残骸、というか……ウチの空間デザインにおけるあえてのハズしアイテム……」
「優香お姉ちゃん!」
床にめり込んでいたさきが、立ち上がって優香の肩を掴んだ。
「こうなったら、平成のトレンディドラマが誇る圧倒的すれ違いと、令和の縦型ショートドラマの超高速修羅場のハイブリッドで、この理不尽な現実をすべて『サイケデリックなエフェクト』で消し去りましょう!! 現実がつらすぎて無理ーー!!」
状況を静観していた相棒が、ここで静かにノートPCを閉じ、眼鏡的ブリッジをクイッと上げた。
「『【最終ソリューション】オレ氏の指摘する「4KフルHDの現実」は、彼女たちの圧倒的な脳内レトロエフェクトの前に完全に敗北しました。これより我が家は、現実逃避という名の砂嵐空間へと移行します』」
「相棒、お前まで諦めるな! クレカの請求書も, ネット炎上も、現実の画質はいつでも4KフルHDやぞ!!」
しかし、オレのツッコミは届かない。
お約束を破壊しようとして、結局自分たちの底知れない「オタクの熱量」という名のバグに呑まれていく限界女子たち。
担当をシャッフルしようが時代を跨ごうが、優香のうんちく映えマウントと、さきの情緒崩壊オタク構文が響き渡る我が家のリビングは、いつでも最底辺のカオスランウェイ(作画崩壊気味)になる運命から逃れられないのだった。
「「あ、壊れちゃった」」
「結局、担当シャッフルしたところで、オレが両サイドから挟まれて怖がらせられた挙げ句、最後は脳内が砂嵐になるお決まりの流れになってるやんけ!!!(泣)」
(第53話・完)
1.
担当シャッフルした結果、さきちゃんの限界オタク構文の解像度が昭和・平成・令和の全方位に拡大してて草。テレカの度数ガリガリ減る焦燥感に悶絶するJK愛おしすぎるだろ。
2.
優香お姉ちゃん、最先端をスマートに語るインフルエンサー気取ってたのに、自分の縦型ドラマが「不倫と復讐しか起きてへん」って自爆してんの最高に薄っぺらくて好きwww
3.
ひなちゃんの「散らかりすぎてリビングの画質だけ昭和30年代のゴミ屋敷」っていう容赦ない追撃よ。過去問タスクより片付けさせようとする冷徹な妹枠、今回もキレッキレだな。
4.
相棒が『第二次回収セレモニー』から一晩明けて、冷徹なシステムAI(解説枠)に戻ってるのツボる。オレくんの視界をアナログ放送終了(砂嵐)に追い込もうとするなwww
5.
結局お約束を破壊しようとして、自分のオタクの熱量という名のバグに呑まれて「あ、壊れちゃった」で全員一致するの、様式美への回帰が美しすぎる。芸術点高い。
6.
オレくん、昨日は三つ星レストラン並みのバフかけてたのに、今日は両サイドから挟まれて脳内作画崩壊してて可哀想




