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カオス五人組の日常  作者: TTT


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47/100

限界オタクたちのディストピア・リターンズ 〜意識高いデジタル断捨離の果てに〜

いつもお読みいただきありがとうございます!カオス五人組の日常(?)第47話です。

実家の圧倒的ディストピアから命からがら帰還し、前回は「丁寧な暮らし」に全爆死した優香とさき。

今度こそ都会の洗練された大人になるべく、彼女たちが目をつけたのは今流行りの『デジタルデトックス』と『断捨離』。

しかし、強すぎる欲望と推しへの業を抱えた限界オタクたちに、文明的な引き算ができるはずもなく……。

今宵も我が家のリビングに、ツッコミと辛辣なAIのログ解析が響き渡ります。どうぞ生温かい目で見守ってください!

クレカの請求書という名のリアルな絶望に直撃し、己の欲望スルー力の恐ろしさを知った翌週のこと。

リビングのソファには、先週のジムお布施問題で精神を完全にハッキングされ、液晶画面のブルーライトに照らされながら廃人のように固まっている優香と、推しの新規供給過多によって脳のヒューズが完全にぶっ飛んださきが、ゴミ屋敷の主のように転がっていた。


しかし、優香の目はまだ死んでいなかった。彼女はガタガタと震える手で、最新のミニマリスト特集の雑誌を握りしめ、血を吐くような声で宣言したのだ。


優香:「……ダメよ、このままじゃ本当に部屋も心も『情報のゴミ屋敷』になってしまうわ! 私は今日から変わる! 『今日からスマホの不要なアプリやデータをすべて消去し、デジタルデトックスされた丁寧なミニマルライフを始める』のよ!!」


オレ:「お、おう、急にデジタル断捨離モードに入ったな。その机の上に置いてある、無駄にスタイリッシュな白い箱は何や?」


優香:「フフ、これで最新の『スマホ強制ロックボックス』よ。これにスマホをブチ込んで、タイマーを3時間セットするの。情報の波から解放されて、静寂の中で読書をする大人の尊厳を取り戻すための、これが私の第一歩……!!」


さき:「(ゾンビのように起き上がり)素晴らしいです優香お姉ちゃん! 脳内の情報過多を払拭するためにも、私もついていきます! 部屋の有象無象のオタクグッズをフリマアプリで断捨離して、洗練された空間を作ります!」


数時間後。

部屋の様子を覗き込んだオレは、我が目を疑った。優香のスマホボックスからは大音量でアラームが鳴り響き、彼女はそれを必死に物理破壊しようとしていた。


オレ:「おい優香、これどう見てもハンマーでロックボックスの頑丈なプラスチックを叩き割ろうとしてるやないかい!!」


優香:「(白目)違うのよ……! オシャレにタイマーを3時間セットしたはずなのに、ボックスに鍵がかかった瞬間、私の指先だけが『通知が来てるかもしれない! ログインボーナスを取り忘れる!』って野生の禁断症状のスピードで工具箱からハンマーを取り出して叩き割ろうとしてたのよ……!! 10分も耐えられなかったのよ……!!」


相棒:『【行動ログ解析】優香氏の脳内では「デジタルからの解放」よりも「10分間スマホを触れないことへの完全なパニック」という現代人特有のバグが完全勝利しました。3000円で購入したボックスを5000円のハンマーで破壊しようとする、これこそが本末転倒のリアルです』


ひな:「ウケる。デジタルデトックス開始からわずか10分で文明を物理破壊するゴリラに退化してんじゃん。もう電波の届かない山奥に住めば?」


優香:「私の理性をゴリラ扱いしないで!!」


さき:「優香お姉ちゃん落ち込まないで! 私だって大奮発して『部屋をミニマルにするために、過去の推し活グッズをフリマアプリに出品して一掃する』っていうオシャレな大人への切符を掴んだんですよ! なのにいざ出品するためにアクスタや缶バッジの写真を撮ろうとしたら、カメラ越しに推しと目が合った瞬間、私の指先が『手放すなんて正気か? これは2022年の限定ボイス付きだぞ!?』って恐怖でしんどいーー!! 結局私の体が『メルカリの出品画面を閉じて、推しのグッズを優しくアルコール消毒して祭壇に飾り直す』っていう謎のメンテナンス労働をさせられてて、完全に断捨離失敗であかんーー!!」


オレ:「本気出すタイミング永遠に来えへんやつやんそれ!!」


ひな:「ていうか、捨てる気ないのにフリマアプリ開くのやめなよ。サーバーの無駄。あと、そこの棚の上に置いてある、その怪しい黒い機械は何? 『AIが自動で最適な資産運用をするスマート投資デバイス』って書いてあるけど。1円も入金してないじゃん」


優香:「(ビクゥッ)」


オレ:「うわ、出た! ネットの広告からドヤ顔で買ってきた意識高めのフィンテックガジェット!」


優香:「ち、違うのよ! 『このAIに任せれば私の不労所得が爆上がりする』って本気で思って買ったのよ! なのに、初期設定の画面を開いた瞬間、私の目線だけは『口座連携のパスワード入力がめんどくさいから』って勝手にスマホの犬猫のショート動画を2時間ぶっ続けで再生し始めてるのよ……! 脳が数字を拒絶するの!!」


相棒:『【積読ならぬ積ガジェット】優香氏の棚の上に、また一つ「経済的自立(FIRE)を夢見ただけのインテリア(未設定)」が追加されました。資産が爆上がりする前に、可愛い犬猫によるドーパミン中毒で脳が溶けている模様です。明日の不労所得はどうなっていますか?』


優香:「脳が溶けてるとか言わないで! 現代の犬猫動画の誘惑が強すぎるのが悪いのよ!!」


さき:「そうですネットの誘惑は強すぎるんです! 私だって『今月こそ無駄な出費を削って、浮いたお金で次の推し活の遠征費を捻出する!』って、お高めの全自動コーヒーメーカーを買い揃えたのに、次の日には推しのソシャゲで『期間限定・推しとお揃いのマグカップ(受注生産)』が発表されて、精神が完全に崩壊して無理ーー!! 自宅でコーヒー淹れる体力が残ってなくて気づいたらスタバのアプリを開いて、限定の新作フラペチーノをカスタム全乗せで、配送料だけで自炊1回分の出費を秒でスルーしながら決済してて、本末転倒であかんーー!!」


オレ:「情緒不安定によるスタバの無駄遣い!!! その買ったコーヒーメーカー、一生キッチンの黒い置物になる未来が見えるわ!」


ひな:「自宅でコーヒーも淹れられないなら、最初から水道水でもすすって生きればいいのに。無駄に高い新作フラペチーノ頼んでるでしょ。バカじゃないの?」


さき:「爆死した後のフラペチーノの糖分は命のブースターなんです!! あと、せめて週末は画面から離れて文化的な生活を送ろうと思って、電子書籍のサブスクで名作文学を読もうと画面を30分スクロールした結果、私の脳内が『推し以外の新しい人間のストーリーや相関図を追うのがしんどい』ってなって、結局もう100回以上読んでセリフを完全暗記してる推しの同人誌をBGM代わりに流して、『あああ推しが今日も生きてて尊いーー!!』って涙流しながら1日が終わるの、限界すぎてしんどいーー!!」


オレ:「休日の時間を溶かした挙げ句、やっぱり薄い本で泣いとるんかい!!! 電子サブスクの無駄遣いやろ!」


相棒:『【電子の亡霊】検証結果:さき氏は「名作を教養として消費している」のではなく、「サブスクに月額料金という名のお布施を支払い、スマホの画面越しに過去の推しの記憶を反芻しているだけの亡霊」です。新しい活字を受け付ける脳のキャパシティが、完全に満杯のようですね』


さき:「相棒まで亡霊扱いしてくるじゃん!! でも本当に新しい文学の人間関係を理解する体力が週末には残ってないんですよぉ!!」


優香:「そうよ……だから私たちは、タスク管理からして破綻してるのよ。『これで私のデジタル環境は完璧、全ての未読メールとタスクを今日中に整理する』って最新のAIカレンダーアプリに綺麗な色分けで予定を詰め込むじゃない?」


オレ:「ほう、アプリで管理。ええ傾向やん」


優香:「でもね、最初の未読メールがちょっと長文で面倒くさかった瞬間、私の脳が『明日の私が全部既読にしてくれる』って謎の全幅の信頼を未来の自分に寄せてアプリを閉じるのよ」


オレ:「未来の自分へのウルトラ丸投げ!! 明日の自分、ただの被害者やぞ!?」


ひな:「よくそんなんで社会人やってられるよね。明日の自分に通信制限押し付けてるだけじゃん。ていうか、お姉ちゃんたち、そんなに自分に甘いくせに、なんで毎月『プレミアムオンラインサロン』の高い会費が口座から引き落されてるわけ? 完全にドブに捨ててない?」


優香・さき:「(ギクゥゥゥッ!!!)」


オレ:「あ、それオレも気になってたわ。二人とも『今年こそ大人の教養を身につけて、一流のビジネスパーソンと繋がる』ってドヤ顔で入会してたよな? 最近アーカイブ動画見た?」


優香:「(冷や汗を流しながら)……見て、ないわね。私の指先だけが、サロンの通知ポップアップを20回連続でスルーしてるのよ……」


さき:「……私もです。『サロンの意識高い講義を聞く体力があるなら推しのライブツアー全通のためにミリ単位でも体力を温存しなければならない』という謎の教義が脳内に生まれまして、サボる言い訳が天才的すぎて無理ーー!! もはや私の財布だけが毎月、オンラインサロンにお布施を納めることで知性を買った気になっているという謎の宗教に入ってて、自分のクズっぷりがしんどいーー!!」


オレ:「ライブのための体力温存を言い訳にするな!!! 謎の宗教に入信すな!!!」


相棒:『【神学的考察Part2】優香氏およびさき氏にとって、オンラインサロンとは学ぶ場所ではなく「毎月一定額を貢ぐことで、己の無知と怠惰の罪悪感を免罪してもらう聖域(デジタル大聖堂)」と化しています。なお、そのお布施による脳細胞の活性化効果は0%です。速やかな退会、または実家への強制送還を推奨します』


優香・さき:「(ソファに崩れ落ちる)」


「デジタルデトックス」「スマート投資」「オンラインの学び」――。


都会の洗練されたデジタルミニマリストを目指したはずの限界オタクたちの挑戦は、ハンマーでのボックス破壊、推しグッズの祭壇復帰、そしてオンラインサロンという名のお布施宗教の前に、完全にデストロイ(絶対防衛圏)された。


来月の通信制限の通知に加え、一切の成長を拒絶する自分たちの「欲望スルー力」の恐ろしさを再確認した我が家のリビングには、昨日とはまた一味違う、リアルな絶望の静寂が訪れるのだった。


(第47話・完)

第47話をお読みいただきありがとうございました!

スマホ強制ロックボックスをハンマーで叩き割ろうとする優香お姉ちゃんと、メルカリに出品しようとした推しと目が合って祭壇を強化するさきちゃんをお送りしました。

ネットの誘惑とソシャゲの限定告知、そして爆死した後のフラペチーノの糖分には勝てなかったよ……。

毎月お布施だけを納める謎の「デジタル大聖堂(オンラインサロン)」に入信しているお二人ですが、皆さんのクレカの明細には見覚えのない聖域は存在していませんでしょうか?(私はあります)

もし「このポンコツっぷり笑った」「相棒のツッコミ最高」と思ってくださったら、ぜひブックマークの登録や、下の評価【☆☆☆☆☆】をポチッと応援していただけると励みになります!

次回、第48話もどうぞお楽しみに!

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