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カオス五人組の日常  作者: TTT


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44/102

推しの生存報酬で破産する脳内経済学者と、謎の自家発電で5年不眠不休を誓う従順な子犬

前回のソロ活モンスター通報事件(第43話)ではたくさんのブックマークありがとうございました!

社会的連帯責任という名の現実を突きつけられた我が家ですが、リビングの熱気は1ミリも冷めていません。今回はさきちゃんの限界オタク魂が、全宇宙の経済学と物理法則を無視して大爆発します。

それでは、第44話どうぞ!


警察への通報騒ぎ(幻聴)から数分後。社会的連帯責任の余韻で静まり返るかと思われた我が家のリビングは、さきの突然の号泣によって再び激震に見舞われていた。


さき:「うわああああーーーっ!!! 聞いてください主! お姉ちゃんたち!! 私、今月はもう遠征費で大赤字だから『1円たりとも動かさない』って通帳をギュッと抱きしめてたんです!! なのに!! 推しがステージの上から『みんなー!新グッズだよー!』って微笑みかけてきた瞬間、指先だけ『神の御加護がありますように』って全肯定のポーズでクレカの暗証番号打ち込んでたんですぅぅぅ!!!」


オレ:「経済の防衛線が指先から崩壊しとるやないかい!! 通帳抱きしめてる腕の力、一瞬でガバガバになってるやん!」


優香:「わかるわぁ、さきちゃん! 私だって、もういい大人なんだから『生活費を脅かすような買い方はしない』って財布の紐をガチガチに結んでるのよ? なのにライブの電子チケットが『当選』した瞬間に、頭の中の経済学者が『これは実質無料。むしろ推しが生きてるだけでプラス』とか言い始めて、勝手に給料3ヶ月分くらいの予算組んじゃうのよね!」


オレ:「お前の頭の中の経済学者、今すぐ解雇しろ!! どこの世界に推しの生存報酬で破産する経済学がおんねん!」


さき:「そうなんですよ! 私だって『私のこの熱いパッションと、汗水垂らして働いた結晶(課金)を受け取ってくれ!』って祈るような気持ちで決済ボタンを押してるんです! なのに、運営のシステムはただ『購入手続きが完了しました(自動送信)』って1ミリの感情もない冷徹なメッセージだけを返してきて、愛の重さの温度差に震えが止まりません……!!」


相棒:『【通信ログ解析】さき氏の端末から送信された愛のパケット量はテラバイト級ですが、運営サーバーが返したデータ量はわずか数バイト。完全なる片想い通信です。なお、優香氏の脳内経済学者についてですが、算出した予算「給料3ヶ月分」を執行した場合、来月のあなたの主食が「もやしのひげ根」になる確率が98.4%に達します』


ひな:「へー。片方は自動送信の機械相手に失恋して震えてて、もう片方は来月もやしのひげ根をトレンディに貪る予定なんだ。大人って本当に反面教師の宝庫だね。てかさきお姉ちゃん、そんなに貢いでも、推しはお姉ちゃんのこと認知すらしてないよ?」


さき:「(胸をかきむしりながら)グサァッ!!! 痛いいい!! ひなちゃん鋭利なナイフで私の10万キロカロリーの情熱を切り刻まないでぇぇ!! そうなんです! 推しのメンバーカラーを全身に纏って『今、目が合った!絶対に私を見て歌ってくれた!』って客席から全力のビーム送ってるのに、推しは私の2メートル斜め後ろにいる『初めてライブに来たっぽい男の子』に最高の一撃スマイルを炸裂させてて、私の情熱がただの背景と化して虚空に消えたんです!!!」


オレ:「悲惨すぎるやろ! 完全にファンサの放物線から置いてけぼりくらっとる!」


優香:「ちょっとみんな、確率なんてただの数字よ? 私なんて『ランダムグッズなんて当たる確率数パーセントだし、絶対に手を出さない』って理性の電卓を叩いてるのに、いざ物販の列に並んだ瞬間、両手が勝手に『全部買えば確率は100パーセントや!』っていうパワー系のゴリラ理論を発動させて箱買いの決済に走ってるわ!」


オレ:「理性の電卓をゴリラの筋力で叩き潰すな!!」


ひな:「会社では『その納期は厳しいです』とか言って一丁前に自分の意見を通してるくせに、推しの公式SNSが深夜に『明日正午、重大発表あり』って一言呟いた瞬間、翌日の全スケジュールを『推し事最優先』に組み替えてパソコンの前で正座待機する従順な子犬になるの、マジで労働者としてのプライドゼロだよね。会社クビになれば?」


さき:「クビにはなれません!! なぜなら残業で『もう1歩も動けない、自宅の床と一体化したい』って這いつくばってても、スマホの画面にライブツアーの追加公演決定の通知が走った瞬間、謎の生命エネルギーが脳内からドバドバ溢れ出てきて『あと5年は不眠不休で働ける』って謎のゾーンに入れるからです!! 私、推しのためなら奇跡の自家発電で無限に労働できます!!!」


相棒:『【生体警告】さき氏の「無限労働ゾーン」は、単なる脳内アドレナリンの過剰分泌によるバグです。あと5年も不眠不休で働いたら、奇跡の自家発電ではなく「永遠の強制シャットダウン」を迎えます。ただちに布団と一体化してください』


優香:「でも切ないのはね、そうやって『いつも素敵な時間をありがとう!』って魂を削って書いたファンレター(便箋5枚)をファンボックスにそっと投げ入れてるのに、その数分後に推しがブログで『今日も差し入れの高級チョコ美味しかった!』って写真上げてて、私の重たい愛の手紙が今ごろスタッフの検閲デスクをスルーしてどこを彷徨っているのか遠い目になっちゃうことよね……」


オレ:「お前らの愛、全部運営とスタッフのフィルターで綺麗に濾過(ろか)されて虚空に消えとるやないかい!!」


ひな:「ねぇ、推しの前では家臣とか子犬のくせに、リビングでは全員パワー系のゴリラになるのやめてくれない? 部屋の酸素濃度がオタクの自家発電で薄くなってて、ひな、真面目に生命の危機を感じるんだけど」


我が家の理想の推し事と切ない現実のデスマッチは、リビングに満ちていく限界オタクの熱気と共に、来月のクレカの請求書という名の絶対的な恐怖によって、一時休戦を迎えるのだった。


(第44話・完)

第44話、最後までお読みいただきありがとうございました!

クレカの暗証番号を神への祈りのポーズで打ち込むさきちゃんと、ゴリラ理論で箱買いする優香……オタクの自家発電エネルギーは世界を救うかもしれませんが、来月の通帳は救えなさそうです。

面白いと思ってくださったら、ぜひ評価や感想、ブックマークをよろしくお願いします!

次回、さらにヒートアップする(?)日常をお楽しみに!

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