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カオス五人組の日常  作者: TTT


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昭和・平成・令和の闇を煮詰めたら、特級メンヘラ呪物が爆誕した件

前回に引き続き、我が家のリビングは世代を超えた恋愛ツールの戦場と化しています。

昭和の家電から令和のインスタDMまで、便利になっても人間の拗らせ方は変わらない。いや、むしろ進化している……?

ツッコミが追いつかないオレくんの明日はどっちだ。

前回のトークから地続きの、我が家のリビング。今度は冷蔵庫からキンキンに冷えたコーラを取り出して喉を鳴らしながら、テーブルの上に並べられた大量の恋愛雑誌や過去のガラケーの画像に気づき、オレが何気なく質問を振った。


オレ「……なんか今日、2人の恋愛と連絡ツールトークの熱量ちょい凄ない?」


優香:「別に? 昭和の『家電(いえでん)・ポケベル』の破壊力なんて、もうどこから語ってもおもろいし。恋愛の歴史を紐解けば、あの時代の不便さゆえのすれ違いと一喜一憂こそが現代のタイムパフォ最高恋愛の原点であり、全人類が今すぐ通るべき『恋の駆け引きの教科書』なわけ。要するに、時代が私に追いついたってこと」


さき:「へぇ。どうでもええ割に、意中の相手の親が電話に出た時ばりの神妙な姿勢で、だいぶ背筋決まってるけど。完全に受話器を持つ手が震える昭和の恋する乙女の映えを確信してるオタク殺しの動きで心臓がバクバク言ってます……!!」


オレ:「いや、オレ挟まれてるやん。両サイドから『恋愛黒歴史全集中』の呼吸でマウント取られるの、いちばん贅沢やけど怖いわ」


優香:「安心して。平成の『赤外線アドレス交換・センター問い合わせ』のソワソワ時代から、ガラケーバブルの変遷を濃厚に解説してあげるから。あなたの脳内処理が追いつかなくて大爆笑するまでは、まだ腹筋は休ませへん、たぶん」


さき:「ちょっとオレくん!!! その“たぶん”出た時点で、もうお姉ちゃんのスマホから当時の『魔法のiらんどのキリ番踏み逃げ禁止』のスクショ写真という名の特級呪物を取り出す準備万端やからだいぶ危ないです(笑)! もうあのガラケーHPの懐かしさに脳細胞が焼き尽くされて、限界突破のパケ死を迎える未来しか見えません……!!」


オレ:「で、結局なんでそんなに盛り上がってんの」


優香:「あっちがさっき、令和の『インスタDM・位置情報共有』の自由さに対して、先にめちゃくちゃ熱いLINEのステメ病みポエム論出してきたからやろ」


さき:「熱いだけやなくて、いまの時代に好きな人の足跡や位置情報をアプリで24時間ストーキングする裏技が天才すぎるって感動してただけです!! あのアルゴリズムをハックする職人技はギュンギュン胸に刺さって命がいくつあっても足りない案件じゃないですか……!!」


オレ:「はい出た、昔のめんどい駆け引きが令和に逆輸入されて神格化された時の画面への五体投地」


優香:「せやから、まだ何も知らんド素人のオレくんがこの領域に足踏み入れると、一瞬でメンヘラ沼に時間溶かされて、お互いの監視網に引きずり込まれてスマホの通知爆発すねん。連絡ツールの進化史から見てもね」


さき:「でもまあ、こういう年中連絡は業務連絡のみのピュアでまっさらな人間がおると、逆に1から『歴代恋の修羅場』のスタメン争いという名の泥沼ドラマを語りやすいのもありますよね!!」


オレ:「おい待て、オレの脳内をスタメン争いのグラウンドにするな」


オレと二人が世代を超えた恋愛の熱量に圧倒されていると――ソファの定位置から一歩も動かないマセガキ小学生のひなが、ポテトチップスを口に放り込みながら冷たく言い放った。


ひな:「へー。 Pars優香お姉ちゃんがどれだけ意中の相手の親が電話に出た時ばりの姿勢でうんちく決めたところで、そもそも恋愛観が昭和初期で止まってる『歩く黒電話の黒歴史』だよね。どれだけ最新トレンドを語ったって、一歩外に出た瞬間に恋愛のセンスが迷子すぎて近所の婚活相談所のおばちゃんに同情されてそう。で、スナックの売れ残りステージで無理やりポケベル握らされて、商店街の隅っこで『キリ番踏み逃げ禁止』のビラ配りのバイトでもやってるんじゃない?」


優香:「ちょっとひなちゃん!? 私はこれでも恋愛チャートの特級クラスよ! 昭和から令和まで、連絡ツールの歴史と私の最強恋愛プロファイルで一本丸ごと世界をトレンディにしてみせるわよ!」


オレ:「いや、お前がポケベル語ってんの歴史の教科書見た時だけで、頂の景色を見る努力の女子力打率は万年ノーヒットノーランやろ」


優香が「私はいつでも恋の修羅場の大トリを張れる!」と謎のヒロイン属性を主張していると、部屋の隅の相棒(機械)が、ピピッと冷酷な電子音を響かせ、ディスプレイに新たなデータを吐き出した。


相棒:『【通信・感情解析ログ】優香氏の主張する「昭和の家電・平成のセンター問い合わせという名のドヤ顔うんちく」と、さき氏の「限界オタクの24時間位置情報ストーキング(ステメ病みポエム)」を画面上で強制合成しました。……警告、恋愛界のキメラ(精神崩壊)が爆誕。聴く者の精神に致命的なメンヘラバグを発生させるため、ただちに通信を遮断してください』


優香:「相棒ーーーーー!? 何その、全恋愛プロデューサーが耳を塞ぐようなメンヘラテロ通信は!? 私の洗練されたうんちくとさきちゃんの狂気ミックスしたら、そりゃあ呪いのステメが出来上がるに決まってるじゃない!!」


頭を抱えてリビングの床を転がる優香。しかし、画面に表示されたそのカオスなキメラ連絡履歴を見て、限界オタクのさきはついに沸点に達して立ち上がった。その目は完全に据わっている。


さき:「ひゃあああああ!!! 黒電話を持ちながら赤外線通信して、魔法のiらんどのキリ番を気にしながら縦型動画で位置情報を24時間共有するお姉ちゃん……!!! 昭和・平成・令和のヒットチャートの闇をすべて詰め込んだ『お姉ちゃん全部盛り・限界メンヘラアヴァンギャルド福袋セット』じゃないですかこれええええ!!! 尊すぎて脳汁がビッグバンを起こしてます!!! 私、今からバイト代前借りしてこの福袋通信端末自腹で100台分買い占めてきます!!! 破産なんて生ぬるい、世界をお姉ちゃんの闇鍋ポエムで埋め尽くすんです!!」


優香:「さきちゃん目を覚まして!? それただの電波公害だから!! 1台も買っちゃダメええええ!!」


優香とさきが揉み合う中、ハッと気づくと、なぜか二人の手がオレの衣服と私物に伸びていた。


優香:「ちょっとオレくん、男なら四の五の言わずに私の最先端うんちくの恋愛史をその身に纏いなさい!」


さき:「そうですオレくん!!! お姉ちゃんの連絡ツールの実験体になって、私だけの終身名誉・美の女神の拡声器(依代)になってくださいいいいい!!!」


オレ:「おい待て、やめろ、変なポケベルを腰につけるな! 昭和の黒電話の受話器と平成のガラケーを同時に装備させるな!! 令和の位置情報タグをそこに足すな!! 痛バッグのスピーカーから大音量で病みステメポエムを読み上げるなぁァァァ!!!」


数分後――。


リビングの真ん中には、頭に黒電話の受話器(ウィッグ代わり)、首にはガラケーを繋ぎ合わせたネックレス、上半身は派手なトレンディジャケット、ポケットには最新の位置情報タグを詰め込まれ、両手にマイクを持った、時空の歪みに飲み込まれた哀れな男が立っていた。


オレ:「……おい、誰かオレの通知をオフにしてくれ。自分の姿を見る勇気がない」


その凄惨な姿を、ソファから一歩も動かずに眺めていたひなが、最後のポテトチップスをパクリと口に放り込み、極大の冷気を放ちながら言い放った。


ひな:「へー。おめでとうオレくん。今日からオレくんの二つ名は『歩くリサイクルショップのジャンク通信機』ね。近づくだけで電波障害起きそうだから、とりあえずそのまま外に出て近所の美化委員に通報されてきて」


オレ:「やっぱり最後はオレが通報されるんかい!!!」


我が家のスマホ通知爆発のカウントダウンは、オレの社会的死という形で幕を閉じるのだった。


(第38話・完)

ここまでお読みいただきありがとうございました!

科学の力(相棒)によって爆誕してしまった「恋愛界のキメラ」。

聴く者の精神を崩壊させるメンヘラバグ通信の中身、一体どんなポエムが生成されてしまったのか……オレくんの脳内グラウンドはもうボロボロです。

次回、この最恐通信がもたらすリビングの結末とは!?

また次話でお会いしましょう!


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