: 『【カオス五人組・前日譚】完璧な入口から始まる滑り芸。オチに辿り着く前に場の空気が凍結した件。』
これは、オレたち「カオス五人組」が結成される少し前。
始まりだけは完璧なのに、中身が追いつかない。ここぞの見せ場で声が裏返る。そしてオチに行く前に、場の温度が絶対零度まで急降下する……。
渾身のトークが不発に終わり、孤独な戦いを繰り広げていたオレの切なすぎる空振りあるある記録。未来の仲間(?)たちの限界ツッコミと共におくる、全人類共感の日常ショートギャグ短編!
これは、オレたち「カオス五人組」が結成される少し前。
オレが放った渾身の一言が、静寂の彼方へと消え去っていった、哀しき滑り芸の記録である。
1. いい感じの入口だけ作る
オレ、始まりだけは完璧やのに、中身が追いつかんまま空気に置いてかれる。
「あーーッ! 最初だけ大物オーラ出して、3秒後には迷子になってるオレくん尊い!! その『え、次どうしよ…』って泳いでる目元、超至高の美だからそのままフリーズして!!」(さき/限界オタク)
「導入部のハッタリだけは一丁前ね。でも、中身が伴わないプレゼンはただのノイズよ。次からはちゃんと構成案を作ってから喋りなさい?」(優香/うんちく姉ちゃん)
2. 言い切った瞬間に不安になる
オレ、強気で言うたのに、自分だけあとから「大丈夫やったかな…」ってなる。
「なによそれ、ダッサ! さっきまで偉そうにふんぞり返ってたのに、急に仔犬みたいにビクビクしちゃってさ。メンタル豆腐どころかゼリーじゃん」(ひな/マセガキ小学生)
『【バグ報告】オレの意思決定システムにおいて、過剰なドヤ顔ログを検出。直後に「猛烈な自己嫌悪プロトコル」が強制起動しました。処理落ちにご注意ください』(相棒/機械メタ)
3. 効いたと思ったのに誰も動かない
オレ、今の一言で流れ変わる予定やってんけど、現実はびくともしてへん。
「アカンアカン! 渾身のキラーフレーズが、ただの微風になって通り過ぎてったがな! 場の空気を変えるどころか、オレの存在感が透明になってまうわ!」(オレ/エンタメきどり)
「誰も動かないんじゃない、みんなオレくんの放った尊い覇気に圧倒されて動けないの! いわば『静寂のスタン状態』ね……私には見える、見えるよ……!(さき/限界オタク)
4. 見せ場でだけ声が裏返る
オレ、ここぞで決めるつもりやったのに、喉だけ先に裏切ってくる。
『【音響警告】メインスピーカー(喉)の出力調整に失敗。決めのセリフにおいて、想定外の超高音が発声されました。ただちに音程を再起動します』(相棒/機械メタ)
「あはは! 一番かっこいいところで声ひっくり返ってやんの! ウケる、それ狙ってやってるなら100点だけど、ガチなら一生イジられるやつだよ?」(ひな/マセガキ小学生)
5. ちゃんと笑わせる気はある
オレ、ふざけてるわけちゃうのに、結果だけ見るとただの空振り芸人や。
「お笑い芸人を目指すなら、打率(ウケる確率)を計算すべきね。今の空振りは完全に『大気圏外』までバットが回ってるわ。少しは笑いのマーケティングを勉強しなさい」(優香/うんちく姉ちゃん)
「アカンアカン! 本気で真面目に喋れば喋るほど、ただのスベリ芸人としてのクオリティが上がっていくの何でや! オレのエンタメの神様、仕事放棄すな!」(オレ/エンタメきどり)
6. 反応を待つ時間が長すぎる
オレ、ウケたか確認する前に、気まずさのほうが先に育っていく。
「ウケたかな……? って、みんなの顔をチラチラ覗き込んでるオレくんのあの数秒間……! 気まずさに耐えかねて耳まで真っ赤になってるの、国宝に指定したい!」(さき/限界オタク)
「あの気まずい沈黙の3秒間、完全に放送事故じゃん。見てるこっちが恥ずかしくなるから、次からは自分で『チャンチャン♪』って効果音入れときなよ」(ひな/マセガキ小学生)
7. 自分で自分を追い込む
オレ、もう引き返せへんとこまで言うてもうて、最後は勢いだけで押し切ろうとしてる。
「アカンアカン! 完全に退路が断たれたがな! 崖っぷちでブレーキ踏めずに、そのままアクセル全開でダイブしてどうすんねん! 誰かオレを止めてえええ!」(オレ/エンタメきどり)
「引き返せないなら突き進む。その猪突猛進な姿勢、SNSの炎上案件としては満点ね。でも、そのまま壁に激突して砕け散る前に、私のカメラに収まりなさい」(優香/うんちく姉ちゃん)
8. オチまで行く前に空気が終わる
オレ、ちゃんと落とすつもりやったのに、オチる前に場の温度が先に落ちてた。
『【演算終了】周囲の室温が急激に低下(マイナス40度)。オチに到達する前に、空間全体の凍結を確認しました。オレのメンタルシールド、耐久値ゼロです』(相棒/機械メタ)
「ゲームオーバーすな! 難易度インフェルノの『滑り芸デスゲーム』で一人だけ強制ログアウトさせんな! オチが行き場を失って空中分解しとるわあああ!」(オレ/エンタメきどり)
――こうして、渾身のトークが不発に終わり、絶対零度の空気の中で一人震えていたオレの前に、後にこの「冷え切った空気」を熱狂と混沌で燃やし尽くすカオスな4人が現れるのは、もう少しだけ先の話である。
(3話完)
最後までお読みいただきありがとうございました!
空気が凍りついたオレくんですが、このあと最強に騒がしい仲間たちと出会うことで、毎日が違う意味でのデスゲームへと突入します(笑)。
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