↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私は逃げてみせます。国からも。儀式からも。  作者: まるねこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
9/28

9 病気…?

翌日。いつものようにラニャが部屋にやってきた。


「ラニャ、おはようございます」

ラニャは一瞬驚いたように見えたが、いつものように笑顔で「ミルロアお嬢様、おはようございます」と返してくれる。


「食事の準備はできていますか?」

「もちろんです。すぐに食堂へ向かいますか?」

「そうします」


私はワンピースに着替え、食堂へとやってきた。


夜中にクッキーは食べたけれど、いつもよりお腹がぺっこぺこなのよね。


「テーブルに置いてあったクッキーは召し上がられたのですね」

「ええ、お腹が空いて起きたら置いてあったので食べてしまいました」

「よかったです。お腹が減ると思っておりましたから」

「?」


私はその言葉を不思議に思ったけれど、よく考えれば昨日の夜は寝てしまって食事を摂っていなかったことを思い出し、納得する。


「ミルロア、おはよう。体調はどう?」

「お父様、お母様、おはようございます。いっぱい寝てましたし、問題ありません」

「そう、良かったわ」

「ミルロア、今日は学校へ行くのか?」

「はい。問題なければ登校しようと思っております」

「……そうか。あまり無理はしないようにな」

「はい、お父様」


静かに食事が始まる。

久々の食事のような感覚。


お腹は減っているのに胃が小さくなっているのかあまり食べることができない。


今更だけど、父たちは後から弟と食事を摂るのか飲み物だけを飲んでいる。


ゆっくり時間をかけて朝食を食べ、学校へ登校する。


「ミルロア様、おはようございます」

「皆様、おはようございます」


私はいつものように挨拶をし、クラスへと入っていく。するとクラスメイトの一人が心配した様子で声を掛けてきた。


「ミルロア様、もう病気は大丈夫なのですか?」

「? ご心配をおかけしました」

「よかったです」


病気……?

なんのこと……?


不思議に思いながらもクラスメイトに返事をする。私の返事を聞いた彼と後ろにいた人たちはとても心配してくれているような雰囲気だ。


先日まで骨折で休んでいたことを今頃心配していると言いたかったの? おかしな人たち。って思っていたのも束の間――。


いつものように教師が部屋へ入ってきた、が驚いた。


今日は火曜日で歴史の授業だったはずなのに文学の先生が教壇に立っている。


戸惑いを隠せないでいる私に先生が声を掛けてきた。


「ミルロア嬢、体調が悪そうですが大丈夫ですか?」

「い、いえっ。問題ありません」

「具合が悪くなったらすぐに手を挙げて知らせて下さいね」

「はい。わかりました」


私は慌てる素振りを見せないように鞄からそっと文学の教科書を取り出し、授業を受け始めた。


一つの視線が私を観察しているのにも気づかずに。


確か、文学の授業が一時限目って木曜日の授業よね。さっきのクラスメイトの言葉。


……もしかして私は二日間眠っていた?


やっぱり私は病気なのかしら。


でも、そんな病気なんて聞いたことがない。それに両親は私を過保護なくらい大事にしてくれているのに、お医者様が呼ばれることなんて熱とか大きな怪我でもない限りない。我が家はそこそこ裕福なはずなのに。それともお医者様は超高額なのかしら。


全然っ分からない。とにかく、私は何をするにも知識がなさすぎる。


誰かに聞こうにも今まで人形のように接していたから親しい友人もいないし。むしろみんなから少し距離を置かれているようにも感じている。


この状況を家族やペリト様、クラスメイトやラニャに聞きたいけれど、聞けない。


だってもしかして私って変なの? とか私って病気なんですか? って聞いて頭がおかしいと思われない?


それに、何か、言葉にするのが難しいんだけど、ほんの少し違和感がある。


もしかして、もしかしなくても私に知識を与えないようにしていた……?


でも、どうして?

聞いたとしても、誰も答えてくれない気がする。


もし、そうだとしたら聞くことは反対にまずいんじゃないの?


あの過保護さ。

そのまま監禁とかもあり得そうだし。


とにかく今は黙々と知識を詰め込んでいくしかない。


私はそう考え、以前と変わらぬ人形のような行動をしつつ、授業終わりに図書室に足を運んだ。


今まで恋愛小説などの本を読んでいたけれど、次は何にしよう。突然貴族について本を漁り出したら怪しまれるかもしれない。


私は冒険譚と、「いちばんやさしい古代語」という本を手に取った。


「お嬢様、あまり見ない本ですか?」

「ええ。古代語の本です。先生の言葉が全くわからないので、先生から本を教えてもらったんです」

「そうでしたか」


傍にいたラニャは先生の名前を挙げると、それ以上は何も言ってくることはなかった。


やっぱりラニャは私を監視している、の?


私はそう考えると、いくら家族であっても不信感が募っていく。でも、でも、これが彼らの優しさであってほしいとさえ思う。


それに決定的なものは何もないんだもの。


ただ自分が勝手に感じているだけ。その違和感も前世を引きずっているからだけなのかもしれないし。慎重にならないと。


こうして週末までは毎日図書室で過ごした。


もちろん知識なんかは一日、二日でつくわけもなく、毎日簡単なものから取り組んでいくしかない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。