表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
55/56

54話 不屈の『守護者』


完全無欠の『守護者』。それが、レオナード・ガーディルに与えられた称号であり、異能だった。


レオナードの家系は王国王家を守る騎士の家系。それを継ぐものとして、レオナードは育てられてきた。


「誰よりも強く、誰よりも高く、誰よりも折れない。そんな守護者になりなさい。レオナード」


先の人魔大戦で重症を負い、今や言葉を交わすことさえ難しい父。そんな父がよく言っていた言葉。


レオナードは、そうなれると、信じて疑わなかった。疑うはずもなかった。


同級生よりも体躯は大きく、剣の腕も鍛えられているから負けることもなかった。自分が一番なのだと、思っていた。あの時までは。



……………………



勇者学園に入学してから二度目のクラス内対抗戦。


一度目である、高等部へ進級した時はレオナードが圧倒的な一位だった。


クラスのどいつでも、自分の『守護』を破られることは無かった。


しかし、二度目。ユノ・セルディアという、バケモノが編入してきた時のこと。


「ゆ、ユノ、シェルディアでしゅっ!!」


自己紹介で盛大に噛み、顔を真っ赤にさせていたチビ。それが、彼女に対する初めの印象だった。



……………………



対抗戦が始まって一時間。突然、教師からの放送があった。


『残り二名!』


前回よりも早い決着。レオナードは自身の勝利を信じて止まなかった。


お互いに逃げていては始まらないということで、レオナードは堂々と大広間に立ち、待ち構えた。


「どっからでも……は?」


一瞬。ほんの一瞬、気を緩めて、瞬きをした。


それだけの間で、目の前に魔力の塊がずらりと並んでいたのだ!


「んだよ、これ…」


だが、見たところただの魔弾。こんなもの…と、受けようとした。


「づぅ…!」


一斉に放たれる魔弾。一つ一つに加算術式が織り込まれており、尋常じゃない火力を持つ。


当時のレオナードでは、到底受けきれるわけもなかった。



「ぐはっぁ!!」


衝撃によって、仰向けに倒れる。しかし、負けるわけにはいかない。レオナードはすぐに立ち上がり…再び、絶望を目にした。


先の規模を超えた、魔力の横隊。その中心に立っていたのは、編入生である少女、ユノ・セルディア。


頭が、理解を拒んだ。絶対に違うと、言い切りたかった。でも…


ユノが無慈悲に手を振り下ろし、一斉に動きだした魔力を見て嫌でも理解させられる。


「俺の防御は絶対だ!絶対っ、なんだよぉぉぉぉぉ!!!!」


立ち上がって、受けて、倒れて。嫌になるほど繰り返した末に、レオナードは敗北した。




……………………



今でも鮮明に思い出せる記憶。

でも、その挫折があったからこそレオナードは強くあれる。強く、なれた。


「皮肉なもんだ…」


1年前と同じ相手、ユノ・セルディア。彼女が初めて、焦りを顔に出している。


この1年、レオナードは強くなるために研鑽を積んだ。強くなるために、プライドも何もかもを投げ捨てた。


その甲斐あって、父から次期当主に選ばれ、卒業後は騎士団に入ることが決まった。


「オイオイオイッ!!どうしたァ!」


無数の魔弾。圧倒的質量攻撃。


一つ一つ、丁寧に魔力を込めて弾き返す。


「ふぅー…………」


息を整えつつ、恐らくは次の策を考えているんだろうユノを見据える。


「何度ッでも来いや。全部、正面から打ち砕いってェやらァ!」


吠える。円陣にブレは無く、調子も過去最高に良い。

今なら勝てる。1年前の雪辱を、晴らせる。


「……量じゃない。視認の有無でもないなら……威力?」


ブツブツと、思考が漏れて聞こえてくる。


……正解だった。レオナードの『円陣』の仕組みは許容上限以内までの攻撃に対する自動反撃。


経ったの数回のやり取りで、ここまで理解する。やはりユノ・セルディアはバケモノなのだと、レオナードは再三思い知る。


「…やってみろよ」


「…いいの?」


分かっている。勝ち方は選びたくない。勝てばいい。わざわざ乗る必要なんて無い。


でも……でも……やっぱり、改めてユノを前にするとダメだ。


こいつは、レオナードを負かせたこいつだけは、正面から叩き潰さないと気が済まない。


「さっさと、こいやぁぁぁ!!!」


「…………分かった」


ユノが一瞬目を瞑り、何かを唱える─────


「なっ…」


無数の魔弾。その中に一際輝く、光の槍。

ユノが手を振りかざせば、それらは意志を持って動き出した。



真っ先に飛んできたのは光の槍。恐らくはこれが本命と理解し、こいつだけはと、剣で弾く。


その隙に魔弾が着弾するものの、グルグルと回転しながら魔力をぶつけて壊していく。


何度も、何度も、何度も、何度も、何度も何度も。


槍を弾き、魔弾を壊し。削られて。


繰り返す。血反吐を吐きそうになるのを堪えて、正面から超える為に─────


「今っ」


ユノの声が、レオナードのすぐ後ろで聞こえた。

レオナードはすぐさま振り返り、防御をしようと構える。


「あ……?」


が…………ユノは、何もしていなかった。魔術も、魔力も、異能も。何も使わず、ただそこで立っていた。


「『光の聖槍セイント・ライトニング』…………『闇の破響音(ダーク・レゾナンス)』!」


光の槍が背後から、前方からは禍々しい魔力の弾丸が迫る。膨大な魔力量に呼応し、レオナードの身体は勝手に振り向いて防御態勢に移る。


ユノの最高火力を誇る魔術と、レオナードの完全たる防御が、ぶつかって─────






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ