17話 盗撮犯は反省しない
「…何これ?」
翌朝。広報が張り出されている掲示板、その中央に今朝方貼られたであろう1つの見出し。
『新たなる生徒会メンバー!!』
その下には、正面から撮られているキリッとした顔のセイル。そして…
明らかに意識せず撮られたであろう、私の満面の笑顔。
「どういうこと!?」
私は放課後、あのあっけらかんとしている先輩を問い詰める決意を固めた。
* * *
「なんなんですか!これ!」
広報の1枚を頬に押し付けながら、勢いよく尋ねる。
「明らかに盗撮ですよね?ミア先輩いつの間に……」
「ごめん!ごめんってば!あんまりよく撮れてたからつい……」
てへっ、と舌を出して謝るミア。普通に怒りがブーストしそうだった。
「…せめて話は通してくださいよ」
「いやー…それには深い事情が」
「失礼します」
まさにその事情を訪ねようとしたその時。控えめなノックと共に、広報室へまた1人現れる。
「ミア先輩っ!あの写真使わないって…んむっ!?」
ユノだった。恐らくは私の知りたかったことを喋ろうとしていたし、そうはさせまいとミアが瞬間的に近付いて口を押さえ込んだ。
「ユノっちぃ……言っちゃダメなこともあるよねぇ?」
「────!?」
もはやこのやり取りで大体察せる。
あらかた弱気な後輩に頼んであの時に写真を撮らせたのだ。そうに違いない。
ほらもう、涙目でユノが訴えてきてるし…
「ミア先輩?」
「あはは、ルナちゃんさ、言ったじゃん!これには深い深い事情が…」
「問答無用です」
悪い先輩には、お仕置をってね。
……
「いだだだっ!いだいっいだいよルナちゃん!!耳引っ張らないでぇぇぇ!!!」
「ほら、謝ってください。純粋な後輩を騙してごめんなさいって」
「ごめんなさいぃぃぃ!!!」
* * *
たんとお仕置した後、私たちは予定通り生徒会室へと向かった。
「さて、会長以外揃ったからそろそろ学園祭に向けての会議を始めたいんだけど……ミアは大丈夫かい?」
「うぇぇぇぇん……だいじょぶ」
「……そう、じゃあ続けるよ」
シオンが取り仕切り、会議が始まる。今日から待ちに待った学園祭に向けての打ち合わせが始まる。
本格的に、仕事が始まるということだ。
ある意味楽しみだし、ある意味不安でもある。
「皆知っての通り、2週間後に学園祭が行われる。そして我々は生徒会として、無事行事が遂行出来るよう動かなければならない。これは上に立つものとして当然だ。ここまではいいね?」
「去年のやつね」
「承知しています」
「長々といいんだよ。もっと分かりやすく行こうぜ?」
先輩方はこの堅苦しい挨拶を聞いたことがあるらしい。
まぁ確かに……シオンらしからぬ物言いだとは思ったけども。
「全く君達は…ま、今日は会長もいないし自由にやろうか」
溜息をつきつつも楽しそうに彼は微笑んだ。
「とりあえず、例年通りの動きでいこう。ルナとセイルはリゼとフェイに教えて貰って。ユノは1人……には出来ないだろうから僕が付く。不都合があればまた会議だ。それでいいね?」
「「はいっ」」
返事を終えると、すぐさまリゼが立ち上がった。私も後を追うように立ち上がる。
「あのー……私は?」
「広報を作ったら後は自由に」
「なんか適当じゃない?ねぇ?」
「……そんなことないよ」
やっぱりあの二人、仲悪いんだろうな。
* * *
「学園祭で書記って…何やるんですか?」
「いつも通りね。議事録作って、それ用の資料も作る。ただ頻繁に打ち合わせをするからその度に作らなきゃなの」
現在進行形でリゼは、先程の内容を上手い具合にまとめている。
とはいえ、ほとんど書く内容は無いわけだが。
「スケジュールの管理も……そうね。それと、業務終了時間になったら1度生徒会室に戻ること。いい?」
「はいっ!」
やはり持つべきは頼りになる先輩だ。さて……真面目に頑張りますか────────
……
「終わったんですけど」
「まぁ、そうよね」
私でさえ何となく察してた。リゼが分からないわけがない。今日のあの内容で書くことがあるわけが無いのだ。
「これからどうするんですか?」
「……庶務の手伝いよ。嫌ね」
「庶務ってことは、セイル達の?」
しばらく二人の時間を取れなかったしちょっと嬉しいかも。
「そんな顔するのね……セイルが好きなの?」
「へ!?」
いやいやいや、急に何を仰って……
セイルは確かに友達だしその中じゃ1番好き……友達として!好きではあるけどそうじゃなくて…
「はぁ……顔に出すぎよ。気を付けなさい」
思わず顔を覆う。確かに頬に熱を感じた。
あれ〜?違う、よね?友達としてっだもんね?
「はい…えっと、行ってきていいんですよね?」
「えぇ。ただその代わり、仕事はきっちり覚えて。1回で」
そんなの楽勝だ。
リゼの教え方は上手いし、メモリア家の仕事に近いものがある。現に今までの仕事はスムーズに覚えて……なんなら引き継ぎまでされている。
「じゃ、じゃあ行ってきます!」
「はいはい、行ってらっしゃい」
リゼの表情はどこか、柔らかくなっている気がした。




