15話 歓迎会のお誘い
翌日、昼休み。私はセイルと互いの状況を共有していた。
「昨日はどうだった?ルナ」
「リゼ先輩がとっても仕事が出来てすごいなぁって。セイルは…って、もともと手伝いはしてたんだっけ」
「そうだけど、今までのは本当に手伝いだけだったんだって思ったよ。フェイ先輩、軽い感じでいくつも問題の解決に動いてるんだ」
「…すごいね…」
あの人、見た感じから困ってる人を置いていけない雰囲気あるから庶務に向いてるんだろうな。
それを言うならセイルも…その気質はあるし、いつかはあんな感じになるのかも。
「着いていけそう?」
「なんとかね」
「そう……よかった」
あれだけ日々頑張って、念願の生徒会役員だ。努力が報われたみたいで何より。
今度、改めて祝ってあげなきゃ!
* * *
ミアが、魔道具をこちらに向けた。今日は明日の広報に向けての宣材写真を撮らせて欲しいと頼まれたのだ。
「はいはいこっち向いて笑って!」
えっと…パシャリッ。うわまぶっ…
「ちょっとちょっと!ルナちゃん目瞑っちゃダメでしょ!」
「すみません…どうも写真の魔道具は苦手で…」
「そーれーでーもー!撮らなきゃ終わらないよ!せっかく時間取ってるんだから」
そう言われましても……
どうしても難しい。なんでも写真機の光と言っても魔力の光だ。そのせいで攻撃だと身体が反応して目を瞑ってしまう。
「はい、パシャリ…むむぅ…だめかぁ」
「だめ、ですか」
「これじゃ明日の広報に間に合わないよぉー!!」
頭を抱えながら、ごろごろと寝転びながら床を右往左往。はっきり言ってはしたない。
「あの、魔道具壊れますよー…?」
「だってぇ!」
「……私、席外していいですか?」
「うわぁぁぁん!!!」
変わり者、からこの先輩の評価は一転し面倒臭い人へ変わった。
* * *
「ってことがありまして…」
「逃げてきて正解ね。そうなったミアは…私でも手が付けられないから」
「何があったんですか…」
昨日、かなりの時間一緒に仕事をしていたこともありリゼとはそれなりに話せるようにはなってきた。
彼女的にはとにかく仕事を早く覚えさせたいだけなのかもしれないけど。
「その話はやめましょう。とにかく今日は…ん?」
コンコンと、個室の扉をノックする音。
まさかミア先輩が私を連れ戻しに…?
「…私が出るわ」
リゼが仕事の手を止め、扉の方へ。そして慎重に、ノブを回し引いた。
「あの…今、大丈夫ですか?」
「ユノ…?何か用?」
尋ねてきたのはユノ。彼女は若干…いやかなり怯えつつも、リゼに要件を述べていった。
「えっと、用があるのはリゼ先輩じゃなくて…!ルナさんは居ますか?」
「…私?」
私の顔を見るや否や、すぐさまこちらへ駆け寄ってくる。よっぽどリゼが怖いらしい。
「大丈夫?」
「うぅ…すみません…」
「なんで謝るのさ」
リゼも自分が嫌われていると分かっているからか、しれっと退室している。
全く…初めて来た時は皆仲良さそうに見えたのに、そうでもないんだなぁ…
などと考えていると、ようやく落ち着いたユノが本題を切り出した。
「あのあのっ、今日の就労後お時間ありますか?」
「えっ」
「フェイ先輩が、歓迎を兼ねて食事でもって!」
つまりは歓迎会。多分、いやなんとなくだけど生徒会はそういうのがないと思っていたし、無いはずだ。
きっとあの先輩が気を使ってくれたのだろう。なら…
こんなに心躍る誘いがあるだろうか。
皆と仲を深めるチャンス!
「空いてる!私も行きたいかな」
「ほんとう?なら、フェイ先輩に伝えとくね」
返事を聞いた彼女は、まるで嵐のように去っていった。
…リゼ先輩…
「ま、厳しいけど教え上手なんだよね。あの人は」
私には特に甘いし。それに厳しい人って最近じゃ貴重なんだよねー。
* * *
メンバーは私、セイル、ユノ、ミア、フェイの5人。
ほかの面々は色々と理由があるらしく断られたようだ。
大体察しはつくけど…まぁ、触れないでおこう。
「仕事終わりに悪いな、しかもこんな所で」
店に入り、席へ着く。既にフェイが色々と手配していたらしい。
連れてこられたのはいかにも普通な感じのレストラン。
高級そうでもなく、かと言って荒れている訳でもない。客目線で綺麗に整えられて、かつ庶民的な飲食店だった。
……こういう所、魔族領にもあったけど行ったことないんだよね。ちょっと楽しみかも。
「いえいえ、寧ろ有難いですよ!」
「そうです!」
セイルの言葉に全力で同意。するとフェイは嬉しそうにニカッと笑ってから、張りのいい声で調子よく注文を始めた。
「おっちゃん!エールと、食べ盛りディナーセット5つ!」
「あいよ!」
ノリが酒場過ぎない?と思いつつも店主は腕まくりしながら調理場へ。
「さてな、改まってこういう場を作った訳だが……ま、気楽に楽しんでくれよ?」
「「はいっ!!」」
……セイルとハモっちゃった。少し照れくさい。
「仲良いんだな、お前ら」
「えーっと……」
肯定はするもののどういう仲かを深堀されると……少し答えづらい。
「そうですね……確かにルナと会わない日は無いかも」
という、私の悩みなど構わずセイルが答えて……?
「えっ、それって休みの日も!?」
会話に混ざる機を伺っていたミアも口を挟んだ。
「お待たせしましたァ!食べ盛りディナーセット5つ!!」
待ってバカでかいお肉が────────
楽しい楽しい歓迎会が始まったとさ。




