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14話 真面目さとは裏腹に


『ルナはリゼが、セイルはフェイが教育係になる。二人とも、頼んだよ』


………



現在私は、リゼと共に仕事に取り掛かっているわけだが…


「…」


「…」


静かだ。それはもう、とてもじゃないが喋れるような雰囲気でもないほどに。


なんでもやりながら教えるのは苦手だとかで一通り見てから教えるとのこと。余計に私は手持無沙汰だった。

そんな状態で30分が経った頃だろうか。

グッと伸びをして、リゼが口を開いた。


「悪いわね、退屈でしょう」


「いえ…寧ろ私たちのせいで余計な手間を…」


「余計なんかじゃないわ」


きっぱりと言い切るリゼ。その目はどこか…期待と希望に満ち溢れている。

先ほどまで疲れ切ってた目はどこへ!?


「ようやく、ようやくよ!私の後任が出来たんだもの。これで心おきなく生徒会をやめられるから……」


「え、えーっと…」


「…ごめんなさい、少しはしたなかったわ」


ものすごい感情の起伏を見せられたが、とにもかくにも今のが本音らしい。


真面目な人かと思ってたけど…そうでもないのかな?


「さ、続きを…」


「お二人さん仲良くやってる?」


「ひゃぁ!?」


突然、背後からの声と手。私も思わず仰け反った。


「…ミア、何しに来たの?」


声の主はミア。楽しそうにニマニマ笑っている。


「何って…シオンに頼まれたの、リゼちゃんが後輩ちゃんをいじめてないかって」


「あいつめ…」


「…仲悪いんですか?」


「中等部からの腐れ縁よ…気にしないで」


とてつもなく気になるが…仲は悪くはないのだろう。というかあのシオンが人と言い合っている様子が思い浮かばない。


「それでそれで?お仕事の方は順調?」


「今は過去の議事録の整理中。忙しくなるのはこれからでしょう?」


「確かに」


この二人は…まぁ普通?シオンほど憎たらしく感じてないっぽい…


「ルナちゃんはどう?慣れてきた?」


「まぁ、はい」


「…ふーん、リゼちゃん頑張ってんだね?」


「これを最後にしたいからよ」


私の反応でリゼの頑張りが分かるんだ…?もしかして、ほんとはもっと厳しいとか?


「…ま、仲良くやりなよ。じゃね」


ミアは颯爽と部屋を出ていった。私たちになど構うことなく。

嵐のような人だと、思わずにはいられなかった


「変わった子でしょう」


「…ですね」


溜息一つ、仕事を再開するのだった。



 * * *



「あ〜…つっかれたぁ…」


生徒会の業務が終わり、寮へ戻る道すがら。


「あっ、あの…!」


「わっ…えっと…ユノさん、だよね?」


セイルの他、生徒会におけるもう一人の同級生、ユノに話しかけられた。


…前髪で目が隠れてて一瞬誰か分かんなかった…


「はいっ…会計のユノですっ…あの、リゼさんとお仕事したんですよね?大丈夫でしたか?」


「大丈夫って?」


「…あの人、元は私教えてもらってたんですけど、とっても厳しくって…それで、その、ルナさんが心配で!」


あの人、やっぱり厳しい人なんだ…?

というか元はユノを教えてて……でも今ユノは会計で?

……なんとなく、あの人がやめたがってる理由分かってきたかも。


「私は大丈夫…というか、優しかったよ?」


「そうですか…」


ホッと息を吐くユノ。その顔は安堵にまみれている。

本気で、私を心配していたらしい。優しい子……


「心配ありがとね」


「いえ…もう二度と私のような被害者を出すわけにはいかないので」


声色低く、儚げな喋りはどこかへ消えた。

いや、昔何があったの…?怖いんだけど。


聞く勇気もなく、私は話題を逸らした。


「そういえばユノって…えっと、ユノって呼んでいい?」


「あ、はい…」


「もちろん。それで…ユノはどこのクラスなの?」


はっきり言って地味な子。でもクラスで見かけた記憶もないし、学年フロアや図書室、廊下でも見た覚えはない。


それゆえの質問だった。その問に、どこか納得したように頷き…あっさり答えた。


「あぁ…一応、『勇者』クラスです」


「…『勇者』クラス…って何?」


また知らない情報に、ただひたすらに首を傾げた。



 * * *



「勇者クラスは所謂『発現』した勇者候補生のためのクラスだそうです」


「そうなんだ…」


寮の部屋にて、早速私はルリエナを問い質した。またあのバカが黙っていた内容だろうから。


「兄様は軍師殿は発現していないものとして潜入させるつもりだったので、知らせなくても良いと思ったんでしょう」


「はぁー…ったく」


まぁでも、おかげでセイルと知り合い今のクラスにも随分馴染んできた。結果としては悪くはない。


が、裏で何かが進んでいるような気がしてならない。


「軍師殿、生徒会の方はいかがでした?」


「んー…ま、悪くはない、よ。いい人たちばっかりだし」


「そうですか。では…特に任務に滞りなくと兄様にはお伝えしておきます」


「うん、いつもありがとうね」


必要なことを言い終えたルリエナは、部屋に敷いた空間へと消える。


「…生徒会…か」


悪くはない、寧ろ…少し楽しいと思い始めている。

現状じゃまだ判断し切れないが、セイルもいるのだ。尚更…


「せっかくなんだから、楽しまなきゃ!」


明日からも頑張るぞー!!












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