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12話 知りたがりの生徒会長


書庫…って、昨日のあそこ?あれ書庫なんだ?


ってそうじゃないっ…明らかに怪しんでる目をしてるし…


「何の話…でしょうか」


「御託はいい。貴様が他の生徒と同じ『勇者』では無いことも、検討が付いている」


バレてる!?!?


「…その話、誰かに…」


「言ってない。取引、したいのだろう?」


昨日のあの会話でそこまで察したらしい。

いや、出来ればもう関わりたくなかったけどなぁ…


改めて腹を括り、ため息をひとつ。


「そもそもあんな場所があったこと自体、私は知らなかった。そっちこそ夜中に何を?」


「…調べ物だ」


その言い方だと、どうやらあれが初めてという訳じゃないらしい。

ふーん…生徒会長様が、『禁書庫』にねぇ…


「あれは『禁書庫』というのか?」


「!?」


パッと、口元を抑える。

今の…口に出てた?


「雑音はあるが聞こえはするのか…興味深い」


「なんっ…え?え?」


「さて、話を戻そう。取引だ」


ちょっと!?今のは何!?


「…お前は自身の素性を、引いては例の力を隠したい。そうだな?」


「…なんで知ってっ」


「検討が付いているだけだ」


マジで?嘘でしょ?ヴェルトの隠蔽は完璧だと思うんだけど…


「何、俺は貴様が何を企んでいるか等どうだっていい。俺にはただ…目的がある。そのためにあの禁書庫とやらを日々訪れている」


「はぁ…」


「ここからが取引だ。ルナ・メモリア」


やっと名前呼んだね…

貴様とか、なんだとか、ちょっと偉そうでイライラするぅぅ…


「なんでしょう…」


「…俺の目的に手を貸せ、代わりに秘匿しておいてやる」


「どうして私…!」


こんな人のことだ。協力してもらおうと思えば幾らでも募ることが出来そうなのに…

なんで私を頼る必要があるのか分からない。


…お互いに秘密を守りましょうで終わりたいのにぃ…


「初めてだ」


「…?」


「禁書庫が、何かしらの動きを見せたのは」


え…?あれがいつものことじゃないの?まるで手慣れたように防いでたけど…


「俺は、あそこに隠されたものを知りたい。それだけなんだ」


「…それだけ…」


やっと、話が見えてきた。私に頼む理由も、それによるこのレインという男の目的も。


「それを知ってどうするの?」


「分からない、でも…知りたいんだ」


見覚えのある、決して折れない意志を持っている人の目だった。


そう、戦争中幾度となく宣言し、忠誠を誓って進軍に加わった仲間たち。彼らと同じのそれ。


揺れる。心が揺れている。

正直なところ、持ち帰ってヴェルトに相談しようかとも思っていたが…その、強い意志を見て、この人が本当のことしか言っていないことを確信したから。


「…私の秘密、守るんだよね?」


「無論」


「…なら、分かった」


一つ息を吐いてから、言った。


「この学園生活中は、協力するよ」


じっくり考え、決断した。ただ…もう引き下がれない。

…そう思ったらやっぱりやめたくなってきた…


「そうか、では…今日からルナ・メモリア、貴様を生徒会書記に任命する」


「…………はい!?」



 * * *



『理由としては二つ。一つは俺の小間使いとして使われやすい立場に置きたい。そして二つ目は…互いの監視のためだ。この関係は秘密の厳守で成り立つ。そうだろう?』




「理由が真っ当過ぎて断れなかったぁ…」


「災難でしたね。軍師殿…ひゃっ!?」


ベッドに座っているルリエナの膝枕に、顔を埋める。

驚いてるけど…今だけは許して…


「…ヴェルトになんて言えばいい?任務は失敗、正体バレそうって…ヤバくない?」


「まだ、バレていないのでしょう?」


「気付かれてそうだけど…断言しない辺りまだ確定はしてないと、思うけどぉ…でもぉ…」


「ならば問題ありません」


言い切るルリエナ。

いやね?確かにレインと私だけの問題だしそうなんだけども。


「その男、少し妙ですね。兄様に調べさせておきます」


「うん、是非そうして……はぁ」


もう嫌になってくる。明日セイルに会った時なんて言えばいいんだ。


私も生徒会に入るよー!とか?いやいや、あそこまで興味無さそうにしてたのに?それに自分は手伝いからだったのに私は飛び級だし…


セイルなら、あんまり気にしないかも。


「気が重いぃぃ…」


「軍師殿、顔を埋めるのは…」


「いいじゃんよー、せっかくの同室の仲だし…うっ」


鼻に匂いがダイレクト。こいつはとんでもねぇ死臭をプンプン漂わせてる。


「昨日ちょうど足技で|()ったので…」


「こわっ」


この柔らかいのでさえ凶器として扱っているという事実に驚きを隠せない。

ごめんやっぱ同室の仲とか築けるわけないわ。そもそもヴェルトと縁が出来るのも嫌だし。


「ま、とにかく。明日から生徒会として動かないとだから…『本物の勇者』について調べるの、遅くなるかも」


「構いません…それは私が引き継ぎます。そして、軍師殿には別でやってもらいたいことが」


1つの、水色の石を机に置いて告げる。


「近日開かれる学園祭の最中で、こちらの『魔石』を人に見つからぬ場所へ仕掛けて欲しいそうです」


「学園祭…?」


この学園、ちゃんとそういうのあるんだ…









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