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異世界ローカル路線バス  作者: 横浜あおば
第二期中期経営計画

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86/202

異75系統 シャンジーク関所西口〜東シャンジーク〜ニュケ弁天〜ミアキエ坂

2024年7月24日にカクヨムで公開したものです。

『このバスはニュケ弁天、王国女子医大経由、ミアキエ坂行きです。この先、交差点を右に曲がりますので、ご注意下さい。次は東シャンジークでございます。ウォーレド線、副王都線はお乗り換えです』


 次の停留所が近づいてくると、待っているお客さんの姿が見えた。

 ゆっくりと減速して停車。前扉を開けると、のこのこと乗り込んできたのは鹿のツノのようなものが頭に生えた少女だ。


 それ、他の乗客に刺さりそうで怖いな……。


 ツノをじろじろと眺めていたら、鹿の少女はしかめ面になって言った。


「私のツノに何か文句ある?」

「い、いえ。そのままご乗車されると、ちょっと危ないかなぁ〜、と……」


 周囲に危険が及ばない、何がしかの対策があるといいのだけれど。

 私の遠回しかつ遠慮がちな指摘に、鹿の少女は自信満々に胸を張った。

 

「それは大丈夫! そこまでバカじゃないですよ!」


 そういう問題じゃなくて、帽子とか何か無いの?


「ですが、しかし……」


 やっぱり、その状態でバスに乗るのは危ない。

 彼女のツノを『適切に梱包されていない刃物』と判断して、乗車を拒否した方が良いだろうか。


 どうしたものかと対応を悩んでいると、不意に鹿の少女の目のハイライトが消えた。


「ねぇ御者のお姉さん。同じヒト型なのに、馬とかスライムが良くて鹿がダメな理由って何? 正当な理由なく乗車拒否しちゃいけないんだよ?」


 鹿の少女は運送引受義務を持ち出して、やんわりと叱ってくる。

 そう言われてしまっては、こちらは何も言い返せない。


「すみませんでした。ど、どうぞ……」


 私は仕方なく、鹿の少女を乗せてあげることにした。



 かくかくしかじか。

 後日のミーティングで鹿の少女の件について話し、所長たちと道路運送法13条に照らし合わせてみたところ。運送の引受を拒絶する正当理由には微妙に該当しなかった。


 結局、鹿の少女は乗せてあげるしかなかったらしい。

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