回送(回想) 国王就任式後、王城にて
2024年7月17日にカクヨムで公開したものです。
就任式を終えて、王城に戻ってきたスピカ。
執務室の椅子に腰掛けると、猫のようにぐぐっと伸びをした。
「ほわぁ〜、疲れた疲れたっ。でもでも、みんなから注目されるのは、やっぱり気持ちいいね☆」
日本でアイドルをやっていた頃の、アリーナ公演に匹敵するほどの観衆を前にしての就任演説は、大盛況のうちに幕を閉じた。
ライブ後にも似た高揚感と疲労感を感じながら、スピカは執務机の上の調度品を見回す。
「う〜ん、こういうのも私がやるのか……」
メー王国は絶対君主制だ。
そのため、国王には強力な権限がある反面、やらなければいけないことも多い。
スピカはそれが、ひどく面倒だった。
「どうしようかなぁ。……あっ、そうだ☆」
いいこと思いついちゃった。
「ねぇセトちゃん。ちょっとこっち来て」
「? わたくしに何か御用ですか?」
ちょうど良いところに通りかかったセトを呼び止めて、おいでおいでと手招きする。
一礼してから執務室に入ったセトは、スピカの前に立つなり謝罪を口にした。
「申し訳ございません。退居の支度なら本日中に完了致しますので」
「いやいや、それはゆっくりでいいよ。そんなことよりさ、セトちゃんに大事なお願いがあるんだよね☆」
「お願い、ですか?」
「どのようなものでしょう?」と首を傾けるセトに、スピカはキラキラのアイドルスマイルで言う。
「セトちゃんさ。官房長官やってくれない?」
「かんぼうちょうかん、とは?」
「ん〜、なんて言うのかなぁ? 要するに、私の代わりに事務とか調整とか議会進行をする人☆」
そうしてスピカは、その後も次々と前国王の側近や有能な貴族らに声を掛けていき。
その結果、セト官房長官やオーブ財務大臣を中心とした、疑似的な内閣が組織された。




