↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ローカル路線バス  作者: 横浜あおば
第二期中期経営計画

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
79/202

異69系統 アヴァカネ関所東口〜オーウィ町〜東クワーナ川〜シャクリャギ町

2024年6月5日にカクヨムで公開したものです。

 梅雨の季節がやって来た。

 今日も朝から雨が降り続いている。


「車間距離を縮めすぎない、視界を確保する……」


 営業所から始発の停留所へと向かいながら、新人のトランセは先輩のはこびからの教えを復唱していた。

 ハンドルを握る手にも、無意識に力が入る。


 雨の日は路面が滑りやすくなり、晴れの日と比べてブレーキが効きにくいらしい。

 だからいつも以上に慎重な運転をしようと心掛ける。


「…………」


 静寂に包まれた車内に、ワイパーの作動音だけが響く。

 それがトランセに逆にプレッシャーを与えてくる。


「静かすぎるってのも、なんか嫌だよなぁ」


 トランセとしては、回送の無人状態よりもお客さんを乗せていた方が落ち着いて運転できる気がする。


 と、その時。


「うぉっ、危ねっ!」


 路地から何かが飛び出してきて、トランセは慌ててブレーキを踏んだ。

 しかし、思ったよりもブレーキが効かない。


「やべぇやべぇやべぇ……!」


 ようやくバスが停止する。

 どうにか飛び出してきた何かとの衝突は回避したようだ。


 ホッとしつつ前を見ると、トコトコと狸型の魔物が走り去っていった。


「あ〜、焦った。あとちょっとでロードキラーになるところだったぜ」


 先輩のはこびは過去に凶暴な魔物であるマーダーウルフをロードキルしてしまい、それ以来一部の冒険者から『ロードキラーのはこび』と呼ばれている。


 冒険者側は敬称のつもりで言っているようだが、運転手の立場からしたら物損事故をいつまでも掘り返されたくはない。


 先輩と同じ轍を踏まなくて良かったと、トランセは再びバスを発進させた。



 同時刻、営業所。


「はくしょんっ!」


 はこびが大きなくしゃみをすると、はやてがそれに反応した。


「なんやはこび。風邪なら移さんといてくれよ?」

「いや、大丈夫。ちょっとムズッとしただけ」

「ったく。体調管理には気をつけるんやで、ロードキラーのはこびさん?」

「っ! その二つ名は忘れたいんだから、呼ばないでって言ってるじゃん! もうやだよぉ……」


 はこびが顔を覆ってうずくまると、はやては面白そうに笑っていた。

 なにわろてんねん。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。