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異世界ローカル路線バス  作者: 横浜あおば
第二期中期経営計画

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80/202

第70ルート(王都コミュニティバス) 王都東門〜ガルガード北通り〜サラビア薬局前〜市民広場

2024年6月12日にカクヨムで公開したものです。

『次はガルガード北通り。お互い様の国づくり、孤立解消大作戦実施中。ご近所で気がかりな高齢者にお気付きなら、お近くの騎士団詰所へご連絡ください。皆様のちょっとした気遣いが、国民の絆を強めます。王国騎士団でした』


 しとしとと雨が降る王都の街路。

 ミニバスを運転しているマルメラーダは、視界の悪さも気にせずにアクセルを踏み込む。


 マルメラーダ的には、この程度の雨はなんてことありません。

 だってマルメラーダは、先輩と一緒に日(・)本(・)で(・)普(・)通(・)免(・)許(・)を(・)取(・)り(・)ま(・)し(・)た(・)からね。


 まるきり運転初心者のトランセとは違うんですよと、自信満々にハンドルを握るマルメラーダ。


 次のバス停が近づいてくると、傘を差して待つ人の姿が見えた。

 ゆっくりと減速し、ぴたりと停車。


 前扉を開けると、その人が傘を閉じて乗り込んでくる。

 見慣れた修道服姿の、整った顔立ちの美しい女性。


 横目で一瞬見ただけで分かる。

 マルメラーダの大好きな先輩、クシーディだ。


「先輩!」と呼びかけそうになって、開きかけた口をすぐに噤む。

 今はバス運転手の仕事中であり執行人としての潜入任務中。とても話しかけていい状況ではなかった。


 クシーディは運賃箱の硬貨投入口にコインを入れると同時に、ひらりと一枚の紙切れを運転席側に落とした。

 周囲の乗客にバレないよう、目線で合図を送ってくる。


《これ、あなたにも共有しておくわ。確認しておいて》

《先輩、何か重要な情報が手に入ったんですね? あとで読んでおきますぅ》


 マルメラーダも目線だけで返事をして、何事もなかったかのようにバスを発進させる。


『次はオージェイム五街区交差点北。ツキカゲ百貨店前、王都西門方面はお乗り換えです』



 終点に着いて乗客を全員降ろした後、無人の車内でマルメラーダは紙切れを開く。

 そこには先輩の可愛らしくも読みやすい文字で、こう書かれていた。


【国王選が行われるとの噂あり。6月20日告示、7月7日投開票。立候補予定者は現状2名、第一王女セトと第一王子キヨス。第二王子オーブは態度を明らかにせず。なお、教祖様の意向により、ザカリ正教はセトの支援を行う】

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