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異世界ローカル路線バス  作者: 横浜あおば
第二期中期経営計画

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74/202

ベヒモスエクスプレス65便 王城前(メー王国首都)〜クアミコーチ(シンス連邦)

2024年5月1日にカクヨムで公開したものです。

 春の大型連休。

 行楽地へと向かう高速バスの乗り場は、朝から観光客で溢れかえっていた。


 はやては停留所にバスを停めると、乗車扉とトランクを開けてからバスを降りる。

 列の整理を手伝ってくれていた新人のマルメラーダと協力して、チケットの確認と大きい荷物の預かりを行っていく。


「このバッグ、結構大きいんですけど。大丈夫ですか?」


 最初にやって来た若い女性が手にしているのは、大容量のボストンバッグ。

 マルメラーダはサイズを目測して、こくりと頷く。


「はい、問題ありませんよぉ。お預かりさせて頂きますぅ」

「良かった。お願いします」


 よいしょっと、重たそうにしながらバッグを手渡す女性。どうやら中身もパンパンに詰まっているようだ。


 しかしマルメラーダはそれを平気な顔で受け取ると、軽々と運んでトランクに積み込んだ。

 あの子、意外と力持ちやな。

 

「これ、券です」

「はい、終点までですね〜。山登りですか?」


 女性が見せてきたチケットは終点までのものだった。


 このバスの行き先は山間部にある景勝地で、登山基地にもなっている場所だ。

 だから山登りが目的なのではないか。荷物の量や服装も見た上で、はやてはそう推測したのだが。


 女性は手をひらひらと振りながら、「違いますよ」と笑う。


「私、これからキャンプに行くんです」


 ああ、キャンパーさんやったか。

 つまりあのバッグの中身は、テントやらカトラリーやらのキャンプ用品ってことやな。


「お客さん一人でされるんですか?」

「はい」

「ほほう、『ぼっち・ざ・きゃんぷ』やな。いいですね〜。ほな、7番のA席にお座りください」

「ありがとうございます」


 女性がバスに乗り込むのを見送っていると、はやての隣にマルメラーダが近寄ってきた。

 冷めた目をこちらに向けて、ぽつりと呟く。


「『ぼっち・ざ・きゃんぷ』って何ですか、はやて先輩? それを言うならソロキャンじゃないですかぁ?」


 あっ、確かにせやな。

 マルメラーダの言う通りである。


「う〜ん。まあ、別にどっちでもええやん。意味は一緒やろ。はい、次の方どうぞ〜」

「あっ、先輩逃げましたね?」


 新人に間違いを指摘されて恥ずかしくなったはやては、誤魔化すように次のお客さんを呼んだのだった。

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