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異世界ローカル路線バス  作者: 横浜あおば
第一期中期経営計画

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67/202

第62ルート(王都コミュニティバス) 王都南門〜トトリナ庭園〜ヨジュカ聖堂東〜王城西入口

2024年3月13日にカクヨムで公開したものです。

『次はトトリナ庭園。地域に愛されて三十年、グーダック酒店前でございます』


 小型のバスでもギリギリの幅の道を進んだ先、次の停留所が見えてきた。

 一見誰も居なさそうだが、物陰に人が立っているのをこころは見逃さなかった。

 ブレーキを掛けてバスを停める。


 前扉を開けると、乗り込んできたのは杖を突いたお婆さんだ。

 毎週、いつもこの時間にバスを利用している常連客。

 こころは慣れた手つきで運賃箱を操作し、シルバー割引に設定を変更する。


 お婆さんはゆっくりとした足取りでバスに乗り込むと、財布からお金を取り出した。

 硬貨投入口にじゃらじゃらと110ゴールドを入れる。


「ありがとうございます、なのです」


 『ピンポーン』と支払い完了の電子音が鳴ったのと同時にこころが告げると、お婆さんがふと顔を上げた。


「このバス、三月で無くなっちゃうのかい?」


 投げかけられた質問に、こころは小さく頷く。


「そう、なのです。三月末でこの路線は廃線になるのです」


 運転手の人手不足や利用者の低迷などが理由で、近年は都市部でもコミュニティバスの廃線や減便が相次いでいる。

 それは異世界で事業を行っている我々も同じ。


「ご不便をおかけして、大変申し訳ないのです。四月からは表通りの路線を使って欲しいのです」

「そうかい。ちょっと距離があるけど、そこまで歩くしかないねぇ……」

「はい。本当にすみません、なのです」


 心苦しいが、ただただ謝ることしか出来ない。


 お婆さんが席に座ったのを確認し、こころはバスを発進させる。


『次はトトリナ中央通り。インプラント、ホワイトニングのシーラ審美歯科へはこちらが便利です』


 異世界営業所管内では四月から路線の再編が行われる。

 そこでこの路線は、廃線となることが決定してしまったのである。


 コミュニティバスは採算を取るのが難しい。

 その現実を、改めて突きつけられる形となった。

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