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異世界ローカル路線バス  作者: 横浜あおば
第一期中期経営計画

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66/202

異61系統 市民広場〜オージェイム五街区〜ツキカゲ百貨店前〜王都西門

2024年3月6日にカクヨムで公開したものです。

『次はロースティア三街区。バスのすぐ前や後ろの横断は非常に危険です。バスの発車後、左右をよく見て横断しましょう。……次、停まります。バスが完全に停車するまで、席を立たないで下さい』


 先日の魔物襲来騒動以降、バスの利用者が若干増えたような気がする。

 その理由は恐らく、バスという乗り物の快適さや便利さをより多くの人に知ってもらえたからだろう。


 この世界で路線バスの運行を始めてからずっと、突如として現れた謎の乗り物に警戒、敬遠する層が一定数いることは何となくだが把握していた。

 そういう今まで一度もバスを利用していなかった住民が、避難時に騎士団からの指示で半ば強制的にではあるがバスに乗車することとなった。

 そこでバスが乗合馬車よりも速達性、快適性、利便性に優れていると感じてもらえたことが、今の利用者増加に繋がった。

 これが私の見立てである。


 百聞は一見に如かず。

 どんなにバスの魅力をアピールしたところで伝わらない人には伝わらない。結局のところ、実際に乗ってみてもらうのが手っ取り早いのだ。


 まあ、魔物から避難するためというのは、だいぶ物騒且つ不本意な形ではあるが。


 次の停留所が見えてきたので、ブレーキを踏んでゆっくりと減速する。

 停車して後扉を開けると、優先席に座っていた年配の男性が立ち上がった。


「御者さん、どうもありがとう」


 そんな感謝の言葉を口にしつつ、バスを降りていく。


「はい。ご利用ありがとうございました」


 お爺さんには見えていないだろうけれど、私も笑顔で応じる。

 最近は乗客の運転手への態度も、心なしか優しくなったように思う。


『次はツキカゲ百貨店前。バスのすぐ前や後ろの横断は非常に危険です。バスの発車後、左右をよく見て横断しましょう』


 それでもまだ、クレーマーや迷惑客がゼロになった訳ではない。

 カスタマーハラスメントとの戦いは、残念ながら未だに続いているのである。

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