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異世界ローカル路線バス  作者: 横浜あおば
第一期中期経営計画

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62/202

避難バス第57便 住民避難開始

2024年2月7日にカクヨムで公開したものです。

「まずはワドクリフ一街区にお住まいの方。押し合わずに、順番に乗り込んでください」


 車外放送スピーカー越しに私がそう呼びかけると、停留所に集まっていた住民たちがぞろぞろとバスに乗り込んできた。

 前と後ろの扉、両方から同時に乗せることで普段よりも早く車内は満員となる。


「ただいまのお客様をもちまして、第1便への乗車は締め切らせていただきます。すぐに戻って参りますので、今しばらくお待ちください」


 道路に溢れかえった住民たちに告げて、扉の開閉を操作するレバーを動かした。

 前扉がガシャンと閉まる。


『ブーーーーー』


 しかし、後扉はブザーが鳴り続けるばかりで一向に閉まらない。

 どうやら扉付近に立っている人にセンサーが反応してしまっているらしい。


「ドア付近にお立ちのお客様、床の黄色いエリアには入らないようにお願いします」


 私がアナウンスをすると、車内中程で立っていた人が内側へ詰めてくれたようで、すぐに後扉が閉まった。


「発車します。お近くの吊り革や手すりにお掴まりください」


 ぎゅうぎゅうに人を詰め込んだバスは、ノンストップで王都を駆け抜ける。

 いつもよりもスピードを出しているため、石畳の段差による揺れが激しい。


「右に曲がります」


 車内の様子に気を配りつつ、交差点を右折。


 王都の街は、かなり混乱している模様だ。

 荷物を背負いながら歩いて避難をする若者、行商の馬車に乗せてもらおうと群がる人々、襲い来る魔物に立ち向かうべく残る冒険者たち。

 道の両脇は通行人で溢れかえっている。


 それらを横目にこのバスが向かう先は、王都南門。

 王国騎士団の人曰く魔物の群れは北から迫ってきているとのことなので、王都北側の住民を優先的にバスで南側へと避難させているのだ。


 また、南門には乗合馬車が大量に待機しており、避難した住民はそこで乗り換えてさらに南のピナリ港へ移動する手筈になっている。

 最悪の場合、この都市を放棄する可能性も考慮して。


「王都南門到着です。降車後は騎士団の方の指示に従ってください」


 避難住民を乗せたバスは十数分で王都南門の停留所に辿り着いた。

 レバーを操作して前と後ろの扉を開けると、あっという間に車内は無人になった。


 私は一度運転席から立ち上がり、軽く車内点検を行う。

 異常が無いことを確認し、再びバスを発進させる。



 まだ大勢の住民が恐怖や不安を抱きながらバスを待っている。

 一刻も早く全員を安全な場所へ送り届けなければ。


 私は何度も何度も同じ区間を往復し、ただひたすらにピストン輸送を行い続けた。

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