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異世界ローカル路線バス  作者: 横浜あおば
第一期中期経営計画

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57/202

ドライアド号53便 エイトーヘン通り(セイ連合王国)〜王城前(メー王国王都)

2024年1月3日にカクヨムで公開したものです。

 帰省からのUターンラッシュがピークを迎えた1月3日。

 現在、遠町《とおまち》はやてが運転している夜行バスは、予約開始とほぼ同時にチケット完売となり、おかげさまで満席だ。


 地元に戻って楽しんで疲れてしまったのだろうお客さん達の寝息を聞きながら、深夜の交易路をひた走る。


 それにしても、今日はえらい雪が強いなぁ。

 風もあるために吹雪のようになっていて、前方がかなり見通しにくい。


 馬車専用道路である交易路とはいえ、速度を出し過ぎるのは危険だ。

 安全第一、慎重に運転をする。



 それからしばらく走行を続けた、4日の未明。

 交易路沿いにある食堂兼宿泊所(いわゆるサービスエリア的な施設)に、休憩のため立ち寄る。


 バスが停車したことで、お客さんの少女が目を覚ました。

 扉を開けると、その少女が席を立つ。

 どうやらお手洗いに行くらしい。


 だがそこで、私はフロントガラス越しに嫌な気配を感じた。


「お嬢ちゃんちょい待ち!」

「えっ?」


 バスを降りようとする少女を慌てて制止する。

 吹雪でよく見えないが、正面の雑木林の中に二つの小さな光が確認できる。恐らく動物の目。


「もしかしたら熊かもしれへん。あいつが居なくなるまで出えへん方がええで」


 最近はアーバンベアと呼ばれる、市街地周辺に棲息する熊が増えていて。人が襲われるケースも多い。


 少女に忠告しつつ、私は一度扉を閉めようとしたのだが。


「大丈夫。あんなの雑魚よ」

「ちょっ、何してるん! 戻ってきぃ!」


 なんと少女はバスを降りて、雪の中へと一人歩いて行ってしまう。

 まだ小学生くらいの女の子だ。いくら魔法や剣に自信があったとしても、流石にリスクが高すぎる。


「ほら危ないでぇ!」


 はやてが運転席から飛び出して、連れ戻そうとしたと同時。

 雪が少し弱まって、動物の正体がはっきりと視認出来た。


「ほら。やっぱり雑魚だったじゃない」

「あっ、ホンマや……」


 可愛らしい顔と、頭に生えたツノ。


 結果。

 シカでした。

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