異51系統 王都南門〜王城前〜ロースティア五街区〜王都北門
2023年12月20日にカクヨムで公開したものです。
今日はクリスマスイヴ。
日が暮れた王都はイルミネーションやクリスマスツリーで鮮やかに彩られ、街行く人やバスに揺られる乗客はみんなどこか浮かれた様子だ。
『次は冒険者ギルド前。あなたもギルドで働きませんか? 冒険者ギルドでは受付嬢を随時募集しています。興味のある方はお気軽にご応募下さい』
次の停留所が近づいてくると、バスを待っている人の姿が見えた。
停車して前扉を開ける。
乗り込んできたのは、剣や鎧を装備した強そうな男性六人組。
おそらく冒険者のパーティーだろう。
わざわざこんな日のこんな時間からモンスターを狩りに行くなんて、偉い人たちだなぁ。
彼らは運賃箱の硬貨投入口にコインを入れると、後方の二人掛けの席に別れて座った。
全員が着席したのを確認し、扉を閉めてバスを発進させる。
『このバスは異51系統、王都北門行きです。次はハルスキア通り。お降りの方はブザーでお知らせ下さい』
それからしばらくして、冒険者たちの会話が耳に届く。
「よし、今のうちに今夜の戦いの確認をしておくぞ。討伐するモンスターの名前はヘイスティ・ザ・サンタクロース。だが、こいつ自体はそこまで危険じゃない」
「そうそう。厄介なのは取り巻きのレッドノーズ・レインディアの方なんだよな」
「ああ。基本的な攻撃パターンは突進。頭突きをまともに喰らうと鋭利なツノによって大きなダメージを受ける」
「分かった。じゃあまずはそのレインディアとやらを倒せばいいんだな? 俺たちなら楽勝だろ」
「いや、奴らを甘く見るべきではない」
「何でだよ? ただ突進してくるだけなんだろ?」
「それはそうなんだけどな。レインディアは9体ポップするんだよ」
「9も!? 多すぎやしねぇか!?」
「だからくれぐれも戦闘中に気を抜かないように」
彼らは一体、何を倒そうとしているんだ……?
私のリスニングが正しければ、慌てん坊のサンタクロースと赤鼻のトナカイって聞こえた気がするんだけど。
そして、翌日の朝。
再びバスに乗り込んできた男性冒険者六人は、両手に抱え切れないほどの大量の箱や袋を持っていた。しかもそのどれもが、リボンや紙などで可愛くラッピングされていて。
「……発車します」
私はそれ以上、深く考えるのをやめた。




