異50系統 ウィンタリナー街道〜ロラ遊園〜サツグット広場〜ラフォク新市街BT
2023年12月13日にカクヨムで公開したものです。
季節はすっかり冬。
お客さんの服装もコートやマフラーなど、ほとんどの人が厚着をしている。
『次はロラ遊園。土日祝日も診療の、エディル内科医院へはこちらが便利です』
次の停留所が近づいてくると、待っている人の姿が見えた。
ブレーキを踏んでゆっくりと減速し、停車。
前扉を開けると、乗り込んできたのは頭にうさ耳が生えた少女だ。
「うぅ〜、今日は一段と冷えますね」
独り言を呟きながらコインを運賃箱に入れて、一人掛けの座席へ。
「発車します」
私は一言アナウンスしてから、バスを発進させた。
『次はヘーテベッヒ銀行前。……次、停まります。バスが完全に停車するまで、席を立たないで下さい』
数百メートル走ったところで、交差点の手前で一時停止。
荷車を引いた行商人が通り過ぎるまでの間、ちらりとミラーに視線を向ける。
先ほど乗り込んできた兎の少女は、寒そうに両手を擦り合わせている。
時折はぁっと息を吐いて、少しでも手を温めようと試みている様子。
「…………」
私は無言でそんな彼女を眺めていた。
これ以上暖房を強くしたら逆に暑くなりそうなのでしないが、相当寒いんだろうなと思う。
だって。
あの子、肩出しのトップスとミニスカートの上にタキシード風の上着を羽織ってるだけなんだもん。
「うぅ、寒いです……」
お洒落に我慢はつきものってことなのか、はたまた種族としての風習か何かなのか。
ともかく。
頑張って、雪兎のバニーガールさん。
アクセルを踏んで再発進させつつ、私は心の中でそっとエールを送った。




