異48系統 ファチュー本町〜ファチューの森公園〜ティアマ霊園〜キョクヴー寺
2023年11月22日にカクヨムで公開したものです。
この辺りは大きな公園があったり川が近かったりと、自然豊かなエリアだ。
また、こういう環境が教育に適しているからだろうか、周辺には学校も多い。
明日は祝日ということもあって、今日は学生のお客さんがいつもよりも目立つ。
『次はエクスカリバー学院前。西キョクヴー寺、タチュイ川方面はお乗り換えです』
そんな中、次の停留所にもバスを待つ学生の姿が。
ゆっくりとブレーキを踏んで減速。
停車して扉を開けると、乗り込んできたのは女子高生二人と小学生くらいの男の子。
髪色からして姉弟ではなさそうだし、どういう関係だろうか?
「俺の分は俺が払う」
「君はまだ子供なんだから、そんなこと気にしなくていいのよ。お姉さんに任せなさい」
「この少年は、きっとお嬢様に良い所を見せたいんですよ」
何やら会話をしながら乗り込んできた三人。
「この子の分も一緒に」
「あっ、おい!」
「はい、少々お待ちくださいね……。330ゴールドになります」
男の子が財布を取り出そうとするのを制止して、高校生の少女が彼と合わせて二人分を支払う。
もう一人の少女は自分で運賃を払って、三人は一番後ろの座席へ。
『次は生涯学習センター。ファチュー美術館へはこちらが便利です』
それからしばらくバスを走らせていると、先ほどの三人組の会話が聞こえてきた。
「ワッツお嬢様。あまりその少年とはくっつかない方がいいと思いますよ」
「えっ、どうしてよ?」
「だって少年、時々お嬢様のこと変な目で見てますもん」
「いや、そんなことは断じてない!」
「焦ってるところが怪しいですね〜」
「焦ってなどいない!」
「こらレーヌ、からかわないの。気にしなくていいからね、フォコン君」
あの男の子はフォコンという名前らしい。
二人の女子高生に挟まれて、いいご身分ですね〜。
でもあの男の子、少女たちと同じ制服を着ているから、もしかして飛び級で高校に入学した天才なのかも?
なんて、想像したところで実際のところは分からないけれど。
『次はアシャマーヤ公園。六勇者墓所へはこちらでお降り下さい』
「あっ、次ね。ほらフォコン君、ボタン押していいわよ」
「なぜ俺に押させる?」
「お嬢様の気遣いですよ。いいから早く押してください少年」
『次、停まります。バスが完全に停車するまで、席を立たないで下さい』
「全く、俺は魔王なのだがな……」
「ん? 何か言った、フォコン君?」
「いや何も」
三人組はかつての英雄が眠る墓の最寄りの停留所に着くと、ワイワイ言いながらバスを降りていった。
というか、さっきあの男の子、俺は魔王だって言ったよね?
この世界に過去から転生してきた魔王、何人いるんだ……?




