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異世界ローカル路線バス  作者: 横浜あおば
第一期中期経営計画

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50/203

異47系統 ワリュスク公営住宅〜ナリエ総合病院〜ファチュー卸売市場〜ファチュー本町

2023年11月15日にカクヨムで公開したものです。

 住宅街を走る路線。

 昼間はやはりお年寄りの方の利用が多い。

 通院や買い物など、日頃から外出の足として使ってくれている。


『次はワリュスク公営住宅東通り。バスのすぐ前や後ろの横断は非常に危険です。バスの発車後、左右をよく見て横断しましょう』


 次の停留所が近づいてくると、待っている人の姿が見えた。

 杖をついた高齢の女性。毎週、いつもこの時間帯のバスに乗る人だ。


「ファチュー本町行きです」


 車外放送スピーカーでアナウンスしつつ、前扉を開ける。


「よいしょっと。はい、よろしくねぇ」

「ありがとうございます」


 お婆さんはゆっくりとした足取りでバスに乗り込むと、シルバー割引料金の110ゴールドを運賃箱に投入。再び杖をつきながら歩いて、優先席へと向かっていく。

 しかし、その途中で。


「あららっ……!」


 足がどこかに引っかかってしまったらしい。

 お婆さんが転倒しそうになる。


「あっ!」


 私は慌てて運転席から立ち上がった。

 だが間に合わない。


 危ないっ……!


 お婆さんが床に頭を打ち付ける寸前。


「大丈夫、おばあちゃん?」


 そんな声と共に、一人の少女がお婆さんのそばへと駆け寄った。

 見ると、お婆さんの身体はふわりと宙に浮いていて、まるで誰かに支え止められたかのようだ。


「ありがとうねぇ」

「いえ、怪我が無くて良かった」


 手すりに掴まりながら立ち上がるお婆さんの感謝の言葉に、無表情のまま頷いた少女。

 彼女はそのままお婆さんの身体を支えると、空いていた優先席に座らせてあげた。


「席、ここで平気?」

「ええ、どうも」


「よし。御者のお姉さん、大丈夫だよ」

「すみません、ありがとうございます」


 真顔でさらりと言って颯爽と元いた席に戻っていく少女にお礼を告げて、私も急ぎ運転席へ。


「お待たせしました、発車します」

『次はエデグラ公園前。……次、停まります。バスが完全に停車するまで、席を立たないで下さい』


 こんな光景を、私は一度目撃したことがある。

 あれは人や物を宙に浮かすことが出来る、浮遊魔法。


 そうだ、あの少女は。

 以前、二人乗りベビーカーを乗せるのを手伝ってくれた子だ。

 無愛想に見えるが、本当はとても心優しい女の子なのだと、改めて思った。

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