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異世界ローカル路線バス  作者: 横浜あおば
第一期中期経営計画

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48/202

異45系統 異世界車庫〜闘技場前〜御用邸外苑〜王都西門

2023年11月1日にカクヨムで公開したものです。

 まだ町が動き出す前、日の出も迎えていない早朝。営業所の仮眠室。

 スマホのアラームで目を覚ました私は、あくびをしつつベッドから身体を起こした。


 今日は始発の担当だ。シャキッとしないと。


 顔を洗って髪を整えて、いつも通りのナチュラルメイク。

 制服に袖を通し制帽を被ると、鏡の前で笑顔を作った。


「よし。今日も一日、安全運転で頑張ろう」



「おはようございます」

「おはよ〜、はこびちゃん」


 とても眠そうにしている所長にまずは挨拶。


 タイムカードを押してから点呼簿に押印し、今日運転する車両を確認。

 それからアルコール検査を行って、帳票を出力した。


「所長。問題無かったです」


 結果の報告に向かうと、運行管理者である所長は帳票を受け取りながら呟いた。


「いやぁ、もう11月かぁ。早いね〜」

「そうですね。しかも11月は30日までしかないですから。すぐに12月になっちゃいますよ」


 気が付けば、あっという間に今年も残り二ヶ月。

 時が過ぎるのは本当に早い。


「あぁ、確かにそうだわ。西向く侍だ」

「侍、士を分解すると十一になるっていうのも、なかなか強引ですよね」

「ね。……にしてもさ、何で運転士って士の文字使うんだろ? はこびちゃんも侍なの?」

「いやいや、侍じゃないです」


 どんな質問だよ。

 でも、言われてみればそうだ。どうして運転士の文字はこの士を使うのだろう?


「はこびちゃん、最近何か斬った?」

「う〜ん。あっ、ハンドルは切りましたよ。あとエンジンも」

「じゃあ最近刺したものは?」

「エンジンキーなら挿しましたね」

「必殺技は?」

「必殺技、ですか? え〜っと……」


 なぜか急に大喜利始まったんだが。

 いや、始めたのは自分か。


「回数券、定期券、一日乗車券!」

「それソードの剣じゃなくてチケットの券だし。はこびちゃん、何ずっとバカなこと言ってんの?」

「私は馬鹿じゃないですよ!」


 こんな朝っぱらから所長とコントをやってどうする。


 と、二人で騒がしくしていたら、同じく仮眠室で休んでいたこころがやって来た。


「おはようございます、なのです」


「おはよう、こころちゃん」

「おはよ〜」


 私達にぺこりとお辞儀をして、タイムカードを押しに向かったこころは、打刻を済ませたところでぽつりと呟く。


「士の文字の本来の意味は〈事を処理する才能のある者〉、なのです。そのことから専門の技術を修めた者を言うようになって、職業名にも付けられるようになったのです」


「おお、流石は物知りのこころちゃん」

「さすここ」


 どうやらこころは私と所長の話を割と早めのタイミングから聞いていたらしい。

 おかしな方向に脱線していた疑問に、的確で完璧な答えを示してくれた。


 無事、謎も解けたということで。


「さて、はこびちゃん。今日も一日よろしく」

「はい。行ってきます」


 最後に所長からカギや携帯電話などを受け取った私は、営業所の建物を出て今日運転するバス車両へと向かった。

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