↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ローカル路線バス  作者: 横浜あおば
第一期中期経営計画

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
47/203

第44ルート(王都コミュニティバス) 王城西入口〜商業ギルド前〜ガルガード北通り〜王都東門

2023年10月25日にカクヨムで公開したものです。

 王城西入口停留所から百メートルほど離れた場所にある、バス転回場。

 そこに小型のバスを停めたこころは、前扉を開けて運転席から立ち上がった。


 バスを降りると同時、タイミングを見計らったように物陰から人影が現れた。


「こんにちは。人見こころ」

「こんにちは、なのです……」


 見遣った先、歩み寄ってくるのは修道服姿の女性だ。

 しかし、彼女が纏う雰囲気は修道女らしからぬ冷徹さで、本来聖職者が持つべき慈愛はまるで感じられない。


 異様な緊張感に包まれる中、修道女が口を開く。


「あなたのおかげで、無事に対象の強制処分を執行することが出来た。協力感謝するわ」

「はい、なのです」


 こころはこくりと頷く。

 すると、修道女は胸元からおもむろに何かを取り出して、こちらにすっと差し出した。


「で、これがお礼ね」

「ありがと、なのです……」


 彼女から手渡されたのは、そこそこ重量のある手のひらサイズの麻袋。


 確認するまでもなく、中身は数十枚の金貨。

 協力に対する報酬だ。


 でも、いつもより量がちょっと多いように感じるのです……。


 首を傾げていると、修道女は背を向けながら言った。


「千万《ちま》そなえの家を調べてみたら、大量の金貨が隠されていたのよ。だからその分上乗せ」

「…………」


 老後の資金にでもするつもりだったのだろうか。

 こころが居場所を密告した異世界人は相当な額を貯金していたらしい。


「じゃあ最後に、次の対象を伝えるわ」


 それから、ぴたりと立ち止まって振り向いた修道女は、有無を言わせぬ態度で一方的に告げる。


「次の強制処分の執行対象者は、月夜野《つきよの》かける。闇の組織を率いる少年よ」


 見つけ次第通報よろしくと、写真を渡される。


「分かりました、なのです」


 受け取った写真に目を落としたところで、彼女は不意に修道服のスリットの中に手を入れた。

 直後、発砲音。


 顔を上げたこころの、左耳のすぐ横を弾丸が通過した。


 驚き目を見張るこころに、右手に拳銃を持った修道女が呆れた様子で一言。


「やっぱり当たらないのね。どういう仕掛け?」

「……よく見てるだけ、なのです」

「よく見てたって、普通は避けられるものじゃないわ。はぁ、まあいいけど」


 ため息を吐きながら拳銃を太ももに取り付けていたホルスターに戻すと、修道女はそのままどこかへと去って行ってしまった。


「私も仕事に、戻らないとなのです……」


 と、そんなやり取りをしているうちに、発車時刻が迫ってきている。

 急いでバスに乗り込んだこころは、エンジンをかけて始発の停留所へ向けて発進させた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。