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異世界ローカル路線バス  作者: 横浜あおば
第一期中期経営計画

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46/202

異43系統 トラハリ植物園〜ホーブリオ丘陵〜ニコラック村〜タグジム山麓

2023年10月18日にカクヨムで公開したものです。

『次はホーブリオ丘陵。ララ川大橋、アヴァカネ関所東口方面はお乗り換えです』


 街道が交わる丘の上。交差点手前の停留所に一人のお客さんの姿が見えた。

 ブレーキを踏み、ゆっくりとバスを停める。


「タグジム行きです」


 車外放送スピーカーでアナウンスしながら扉を開けると、バスを待っていたのは全身黒い服に身を包んだ少年だ。

 彼は乗り込んでくると同時に、私に何かを差し出しながら言った。


「あの〜、これ。バス停のベンチに落ちてたんだけど」

「ああ、落とし物ですかね?」


 受け取ってみると、それは淡いピンク色のパスケースだった。

 中にはPASMOが入っている。記名式だ。書いてある名前は……。


【チマ ソナエ】


 もしかすると、持ち主は以前に乗せたことのある、バス特のバスチケットを使った女性かもしれない。


「わざわざ拾っていただいてありがとうございます」

「いえ、たまたま見つけただけなんで」


 私が感謝の言葉を述べるも、彼は気にした風もなくコインを運賃箱に投入して一人掛けの座席へと向かっていった。


 というか今の少年も、昔どこかで乗せたような……?


『次はサラネ塚。バスのすぐ前や後ろの横断は非常に危険です。バスの発車後、左右をよく見て横断しましょう。……次、停まります。バスが完全に停車するまで、席を立たないで下さい』



 営業所に戻った後、預かったPASMOは拾得物として一定期間保管されることになった。


 無事に返却できるといいけど……。


 チャージが出来ない異世界では、残高が無ければICカードはただのプラスチックの板でしかない。だから取りに来ない可能性も十分に考えられる。

 それでも私は、どんな落とし物であれ持ち主の元に戻ってほしいと願っている。


 誰かにとっては大切な思い出かもしれない物を、処分なんてしたくないから。

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