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異世界ローカル路線バス  作者: 横浜あおば
第一期中期経営計画

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45/202

異42系統 ドフォラッド岬〜トレウジア砂丘〜イノーボザッキ灯台〜ピナリ港

2023年10月11日にカクヨムで公開したものです。

『次はウローレ七番地。地元に愛され40年。厳選されたお肉とこだわりのお惣菜、トルグ精肉店はこちらでお降り下さい』


 すっかり日も暮れて暗くなった、海沿いの別荘街。

 人の気配がほとんど感じられない町中を進んでいくと、ぽつんと明るい光が見えた。バス停のポールだ。


 こんな時間帯に珍しく、バスを待っている人がいる。

 ゆっくりと減速し、停車。

 扉を開けると、乗り込んできたのは可愛らしい少女が二人。八重歯が特徴的な金髪赤目の軍服姿の子と、彼女の付き人なのだろう水色の髪のクール系なメイドさん。


「私は物語を書くのに忙しいんだ! 誰が指揮官なんかに!」

「大人しくしてください」

「おまっ、押すんじゃねぇ!」

「では引っ張って差し上げましょうか?」

「そういう意味じゃねぇ」


 やいやい言い合いながら運賃を支払って、後方の二人掛けの座席に並んで座る。


『発車致します。お掴まり下さい。次はウローレマリーナ入口。お降りの方はブザーでお知らせ下さい』


 それからバスが走り出した後も、二人はずっと会話を続ける。


「うぅ、照明が眩しい……」

「マドイ様、おめでとうございます。これでひきこもり卒業ですね」

「まあ爆死したくはないからな」

「初陣に勝利した暁には、豚レバーでお祝いしましょう」

「ちゃんと加熱してくれよ?」

「もちろんです」


 喧嘩するほど仲が良い、ということだろうか。

 ミラー越しに見る限りでは、最初よりもお互いの表情が柔らかくなっているように感じられる。


「マドイ様、少々緊張なさっていますか? よろしければマッサージして差し上げますよ?」

「そうだな……。じゃあニヴル、ちょっとだけお願い」

「かしこまりました」


 しばらくして、メイドが軍服少女の肩を揉み始めた。

 軍服少女は気持ちよさそうに目を閉じている。


 だが、メイドがマッサージをする手は徐々に下へと移動していき……。


「って。おいお前、どこ触ってんだ!」

「どこと申されましても、ツボとしか言いようが」

「いやいや、バッチリ胸揉んでんだろうがっ!!」


 メイドからセクハラを受けて、大声で喚いた軍服少女。

 車内に響いた怒声に、他のお客さんが一斉に驚いた様子で振り返る。


「お客様、お静かにお願いします」


「すまぬ」

「すみません」


 私が注意すると、二人はすぐに大人しくなった。

 素直に聞き入れてくれて良かった。


『次はイノーボザッキ灯台。お土産に大人気、イノーボザッキ名物ぬれ煎餅本舗へはこちらが便利です』


 バス車内での会話は周りのお客様のご迷惑にならないよう、声の大きさに注意してくださいね。

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