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異世界ローカル路線バス  作者: 横浜あおば
第一期中期経営計画

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41/202

異39系統 テルダリオ自然公園〜トラハリ植物園〜ララ川新橋〜王都北門

2023年9月13日にカクヨムで公開したものです。

 自然が豊かな郊外の道路。

 夕暮れ時で、辺りは段々と暗くなってきた。

 ヘッドライトをハイビームにして、しっかりと前を照らして進む。


 だが、どれだけ注意して走行していても、木陰から突然飛び出されると反応するのは難しい。


「きゃっ!」


 いきなり木立の中から現れた何かを見て、私は慌ててブレーキを踏んだ。

 しかし距離が近すぎて間に合わなかった。


 ドスン。衝撃と共にバスが停まる。


「う〜ん、やったな……」


 確実に何か轢いた。恐らく人ではなく動物の類い。


 現在は始発のバス停に向けて回送中で、お客さんを乗せていなかったのが不幸中の幸いだ。


 前扉を開け、運転席から出てバスを降りる。

 片手には会社支給の業務用携帯。

 営業所に電話を掛けながら車の前方に回り込む。

 電話が繋がった。


『どした、はこびちゃん。何かトラブった?』

「もしもし所長。すみません、動物を轢いてしまったみたいで……」

『おっと、なかなかヘビーな事案。それ、お客さんは大丈夫なの?』

「回送中だったので、はい」

『はこびちゃんは? 怪我してない?』

「大丈夫です」


 バスの前には、死骸が転がっている。

 四つ足で、全身毛むくじゃらで、見た目的にはオオカミっぽい。


「そうだ。警察と道路緊急ダイヤルに連絡しないとですよね?」


 動物を轢いてしまった場合、それは交通事故に該当するため警察に電話をしなければならない。加えて、その動物が何度も車に轢かれることのないように、国土交通省の道路緊急ダイヤル(#9110)に電話をして、処理してもらう必要がある。


『まあ日本ならそうだけど、ここ異世界だからねぇ。連絡するなら騎士団かな』

「ああ、そうでしたね。動揺しすぎてここが異世界なの忘れてました」

『バスは動かせそう?』

「はい。少し前がへこんだくらいで、エンジンとかには問題無さそうです。このまま予定表通り運行しようと思います」

『了解。騎士団にはこっちが連絡しとくから、はこびちゃんはそのままバス停に向かって』

「分かりました、ありがとうございます。失礼します」



 その後、死骸の回収に来た騎士達は驚いた。

 道路に転がっていたのが、超強力で凶暴な魔物であるマーダーウルフだったからだ。

 普通なら冒険者十人がかりで倒せるかどうかの魔物が、こんなにあっさりと倒されている。

 騎士達はバスという存在と、バスを操る運転手についての意識を改めることになった。


 もちろんそんな話になっているとは、この時私は微塵も知らない。

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