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異世界ローカル路線バス  作者: 横浜あおば
第一期中期経営計画

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40/202

異38系統 ラフォク新市街BT〜(直行)〜ウェセー女学園前

2023年9月6日にカクヨムで公開したものです。

 学校の夏休みが明けるとどうなる?

 そう。一ヶ月ぶりに朝の通学ラッシュが戻ってくるのだ。


「お待たせいたしました。ウェセー女学園行きです」


 始発の停留所。

 車外放送スピーカーでアナウンスしつつ、前扉を開ける。

 

 するとぞろぞろと学生さん達が乗り込んできた。

 女学園に通っている生徒なだけあって、みんな上品で清楚な子だ。


「ごきげんよう」


 運賃箱にコインを投入する時に、一人ひとりが挨拶をしてくれる。

 私はそれが嬉しい。

 だからこちらも挨拶を返す。


「はい。ごきげんよう」


 ごきげんようなんて日本に居た頃には言ったことがない。

 異世界のお嬢様は本当に言うんですね。ちょっとびっくり。



 発車時刻寸前。

 最後の学生さんが慌てて乗り込んできた。

 息を切らしている様子からして、どうやら走ってきたらしい。


「はぁ、はぁっ……。ご、ごきげんよう……」

「はい。ごきげんよう」


 彼女は学生鞄から財布を取り出して中を確認する。

 直後、青ざめた顔で私を見つめた。


「どうかされました?」


 訊くと、女子生徒は絶望したような口調で一言。


「お金が、ありませんわ……」


 なるほど、お財布に220ゴールドが入っていなかったと。

 このバスに乗れなければ遅刻確定だし、そりゃあそんな顔にもなるよね。


 私は笑顔で、優しく声を掛ける。


「分かりました、大丈夫ですよ。今はとりあえず構いませんので、次にご利用される際に今回の乗車分もお支払いください」

「えっ、本当によろしいのですか……?」

「はい。よろしいですわ」


 あっ、私までお嬢様言葉になっちゃった。恥ずかし。


「御者のお姉様、深く感謝いたします。このご恩、絶対に忘れませんわ」


 忘れないでほしいのはお金なんですけどね。


『発車致します。お掴まり下さい。本日も埼京交通バスをご利用いただき、誠にありがとうございます。この車は、異38系統ウェセー女学園前行きです。このバスは終点まで直行です。途中の停留所には停まりません』



 彼女は後日、忘れた分の運賃をきちんと払ってくれました。


 バスの運転手はお客様とそういう約束をしたらしっかり覚えていますので、くれぐれも踏み倒そうなどと考えないでくださいね!

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