一体
ゆっくりと目を開けた。
周りの景色に焦点を合わせるのが難しかった。わかったのは、ベッドに横たわってるということだけだった。
そして……痛み……
体のすべての繊維が悲鳴を上げてるようだった。枕に預けた頭を動かすことさえできなかった。動かそうとするとすぐに痛みが走った。
色が鮮明になり始め、視界がはっきりしてきて、天井が見えた。病室だった。
なぜここにいるのかわからなかった。
できるだけ頭を右に動かそうとすると、目の端に医療機器が見えた。もちろん、患者のバイタルを監視するためのものだ。
患者?
その機械からベッドにケーブルが伸びてて、私の体に取り付けられてるのに気づいた。
反対側に頭を向けると、点滴スタンドがあり、チューブがシーツの下に伸びてた。
明らかだった。私が患者だった。
腕は動かせなかったけど、腕の針の先端をかすかに感じることができた。
誰かを呼びたかった。その時、初めて気づいた。鼻と口を覆うマスクをつけてた。呼吸を助けるためのものだ。
意識を取り戻してから秒が経つごとに、体が外部の刺激を少しずつ感じ始めた。
胸から不快感が湧き上がってくるのを感じた。何度も腕を動かそうとした。布団をどけて、自分に何があるのか見たかった。でも、無理だった。
「胸」という言葉を考えた時、ようやく思い出した……
刺されたんだ。
徐々に蘇る記憶に怖くなった。その時、頭の中にいくつもの考えが浮かんだ。
もう少しで死ぬところだった。
父はどうなった?
叔母さんは無事か?
今度こそ捕まってほしい。
ベッドの左手の近くに、プラスチックの長方形のようなものがあるのに気づいた。手に取ると、ボタンがあるのがわかった。
ナースコールだった。
誰かを呼ぶためのものだ。布団の下から何度も押した。
すぐに誰かが来た。看護師が部屋に入ってきた。いつもの制服を着て。
「目が覚めたの!?」
驚いた看護師が言って、すぐに医者を呼びに行った。
医者が簡単な診察をした。手に持ったカルテの値と機械の値を比較してた。たぶんそういうことなんだろう。医療については無知だから。それに、呼吸に問題がなかったのでマスクを外してくれたけど、鼻孔にチューブを入れて、より多くの空気を送ってくれた。その医者にはどこかで会ったことがあった。でも、どこだったか思い出せなかった。
その間、病院が叔母さんに連絡して、私が目を覚ましたことを伝えた。安心した。叔母さんが無事だということだ。
「アヤメ!!」
叔母さんが衝動的に部屋のドアを開けて言った。
「叔母さん!!」
彼女は私に飛びついて抱きしめ、泣き始めた。
「よかった……無事で……」
涙と嗚咽の間で彼女は言った。
彼女が私の無事を喜んでるのを見て、無意識の衝動のように、私も泣き始めた。
遅れてきた反応のように、あの出来事に反応した。経験したすべてのこと……死の恐怖、父との再会、叔母さんの無事……すべて。あふれ出した。
「ああ、叔母さん……怖かった……」
「わかってる。でも、もう終わったよ」
落ち着いた後、彼女がすべてを説明してくれた。
父は死んだと言った。後になって、彼女が彼を刺した場面を思い出した。それに、私が知らなかったことも教えてくれた。
修学旅行で私がいなかった間に、知らない番号から変な電話が何度かかかってきてた。彼だったに違いない。
それに、私は約一ヶ月昏睡状態だった。もうすぐクリスマスが過ぎた頃だった。
「トントン」
ある時、ドアがノックされた。
「どうぞ」
叔母さんが答えた。
開いたドアから、チカさんとその両親、そしてエウイコさんが現れた。
「ようやく目を覚ましたんだね」
チカさんが、目から溢れる涙を必死にこらえながら言った。
「心配させたんだよ」
今度はエウイコさんが言った。
「私が知らせたんだ。目を覚ましたって連絡があったからね」
叔母さんが言った。
二人の大人が私に近づいてきて、上から下まで見渡した。お母さんが私に近づいて抱きしめた。
「無事でよかった」
「ありがとうございます」
少し照れくさそうに答えた。なぜユウトくんの母親がそんなに心配してるのかわからなかった。
「ユウトくんは!?」
私は大声で叫んだ。今までの出来事で、自分勝手に、彼のことを尋ねてなかった。彼の母親が私を抱きしめてるのを見て、自然に彼のことが頭に浮かんだ。それに、彼だけが来てなかった。
「……どうしてる? 元気? 手術は成功したの?」
私はその場にいる全員に矢継ぎ早に質問し始め、興奮し始めた。息が切れてきた。手術の影響だろう。
「落ち着いて、呼吸して」
叔母さんが心配そうに言った。
ナカガワさんが話し始めた。
「大丈夫だ。彼も元気にしている。彼も自分の部屋にいて、起き上がれないんだ。そうでなければ、来てただろう。手術は成功した」
「本当ですか?」
「ああ」
彼は優しい笑顔で答えた。
終わった。もう最悪の時期は過ぎた。ついに彼の夢が叶う。彼はずっと夢見てた人生を手に入れられる。
「いつになったら彼は起き上がれるんですか? それとも、私がいつ起き上がって、彼の様子を見に行けるんですか?」
「わからない。君の体の反応次第だ」
叔母さんが言った。
面会時間が終わり、みんな家に帰った。叔母さんは、退院するまで毎日来ると言った。みんなが去った時、寂しさを感じた。でも、ユウトくんの手術が成功したという事実が私を幸せにした。その思いだけで、その夜の孤独に耐えられた。
一週目が過ぎた……二週目……三週目……そして、ついに。
「よし、退院できます」
医者が言った。昏睡から覚めた時から私を診てくれてた医者、つまりユウトくんの叔父さんだ。確かにどこかで見たことがあると思った。一度しか会ったことがなかったから、よく覚えてなかったんだ。
「本当ですか?」
その日も見舞いに来てた叔母さんが、信じられない様子で言った。
「はい。まだ完全に安静にしているように言ってください。手術に合併症はなく、傷も治っています」
退院の準備をした。ゆっくりと準備をし、服を着替えながら、またしても傷跡に目が留まった。まだ包帯とガーゼがあったけど、交換する時に清潔なものを当てる際、胸の心臓の高さにある傷の大きさを見ることができた。かなり大きくて、胸の左側全体に及んでた。
病院を出て、出口の近くで、私は衝動的に尋ねた。
「叔母さん、ユウトくんはまだ病院にいるの?」
そう、この間ずっと、彼に一度も会ってなかった。彼に関する最後の記憶は手術の前日で、その後は何もない。目覚めてからの数週間、他のみんなは頻繁に面会に来てくれた。
彼の様子を尋ねるたびに、みんな「元気だよ」とか「もうすぐ退院するよ」とか「念のためにもう少し様子を見るために退院を延ばした」と言ってた。
どれも曖昧な情報だった。誰も彼の正確な状況を教えてくれなかった。
外にはチカさんがいた。見つけて挨拶した。
彼女は一緒に来てほしいと言った。私は従った。
彼女の車に乗り込み、知らない目的地に向かって走り出した。何度も尋ねた。でも、彼女は答えなかった。いや、一言も話さなかった。
ついに目的地に着いた。そして、そこに着いた時、私は奈落の底に突き落とされた。
墓地だった……ユウトくんの墓の前に。
足の力が抜けて、その場に跪いた。下から見上げるように、虚ろな表情で彼女を見た。
「な……何? どうして彼の名前の墓があるの? 冗談だよね? お願いだ、冗談だと言って!」
「違う……これは全部本当なんだ」
「でも……みんな彼は元気だって言った。手術は成功したって言った。成功したんだ!」
「いいえ、すぐに最初の合併症が起きたの」
「嫌だ、お願いだ、お願いだから悪い夢だと言って」
涙が溢れ始めた。ユウトくんの墓標に顔を向けて尋ねた。
「どうして今まで教えてくれなかったの!?」
チカさんは、泣きながら無駄に涙を拭う私のそばにしゃがみ込んだ。
「手術のことよ。あの刺し傷であなたの心臓は大きなダメージを受けた。あなたを救う唯一の方法は、新しい心臓を移植することだった。感情的な反応を考えて、前もって言えなかったの。心臓がどうなるかわからなかったから。あなたの胸で今、鼓動してる心臓が誰のものか分かる? ユウトのよ」
「?」
「あなたが病院に運ばれた時、叔母さんと一緒に担架に乗せられてるのを見た。すぐに手術室に入った。ユウトくんにはもう手の施しようがなかった。医者が心臓が必要だと判断した時、すぐに要請した。でも、あなたの血液型に合うものはなかった。一つを除いては……ユウトくんの心臓。両親があなたに心臓を提供することを決めたの。私の弟の心臓を」
身の毛もよだつ話だった。何も言えなかった。ただそこに座って、涙が流れるままにした。その時は、驚きよりも、彼がもう……いないのだと自分に言い聞かせようとしてた。
「はい」
彼女が手紙を差し出した。
「手術の日に彼が書いたの。あなたに渡してほしいって」
それを受け取ったけど、すぐには開けなかった。その時溢れ出る涙がすべて枯れるのを待った。
準備ができて、開けようとした。
「待って。離れるわ」
「読まなくていいの?」
「ううん。それはあなただけのものだから。車で待ってる」
彼女が離れた後、ためらわずに封を開けて、心の中で読み始めた。
「アヤメへ
この手紙を読んでるということは、もう俺はこの世にいないってことだな。でも、今この言葉を書いてる間も、直接お前にこの気持ちを伝えられるようにと祈ってる。
お前が俺の人生に入ってきてくれたことに、感謝してもしきれない。助けてくれて、一番必要な時に支えてくれて。最初は変な女の子だと思ったけど、その後、お前の戦士のような一面を見て、魅了された。
この病気になったという不運の中で、お前に出会えたという幸運があった。もしそうでなければ、お前の隣の家に住むこともなかった。お前と一緒にいることで、強くなろうとした。できるだけ強く、少しでもお前に近づくために。
俺が作った『やりたいことリスト』の、消されてた項目が何だったか覚えてるか? 馬鹿げたことかもしれないけど、一度でいいからやってみたかったことは——恋をすることだ。幸運なことに、それは叶った。そして、俺の心の中にはお前がいる。
ただ一つだけ後悔がある。退院祝いの即席パーティーとか、買い物とか、夜遅くまでビデオゲームをしたりとか、そんな時間をもう一緒に過ごせないことだ。手術が終わった後にも、もう一度やりたかった。この手紙を書くのにどれだけ苦しんでるか、お前にはわからないだろう。自分の気持ちをうまく伝えられない。
ただ一つ、お前に伝えられることは——愛してる。そして、手術室に入る前にお前にそれを伝えられることを願ってる。
死ぬのが怖かった。今も死ぬのが怖い。でも、もし病気になってなければ、お前に出会うことはなかった。そして今は、それが俺の恐怖になってる。ある意味、俺の幸運は、不運だったことだと言えるかもしれない。」
私の涙は再び止められなくなった。墓地のどこからでも聞こえるほどの悲しみの叫びが、私から溢れ出た。




