カップル
朝食は……最悪だった。
部屋を出て荷物を整理した後——京都見学の後は東京に戻る予定だった——一階の食堂に向かい、クラスのみんなと朝食をとった。
各クラスに長いテーブルが一つずつと、学校関係者以外のための小さなテーブルがあった。もちろん、ホテルには私たち学生だけが泊まってるわけじゃなかった。
私のクラスの長いテーブルはほとんど空いてた。準備に手間取ったのと、初めての二日酔いのせいで、いつもより時間がかかっちゃった。
朝食は洋食で、ビュッフェ形式だった。私はラスクとジャムを取って、胃を満たそうとした。食欲はあまりなかったけど……
言うまでもなく、私の疲労の原因は、昨夜のキスのことを考え続けてたからだ。
問題は、これが私の引きこもり思春期生活における、また新たな未開拓の領域だってことだ。こんな時、どうすればいいんだ?
ユウトくんが部屋にいた時、彼が昨夜のことを話そうとするのを、私は無理に遮った。後になって考えてみると、なぜあんな行動をとったのか、答えは明らかだった……怖かったんだ。
もしこの出来事が私たちの友情を壊してしまったら?
もし私が「拒絶」したことで、彼に嫌われたら?
もし気まずくなって、もう友達でいられなくなったら?
少しだけ食べた食べ物が、緊張で胃の中で変な感じになってた。
「おい!」
隣から声がして、我に返った。ユウトくんだった。考え事に夢中で、彼が来たのに気づかなかった。
彼も同じ理由で遅れたんだろう。
さあ、どうする?
何をするつもり?
さっきの話を続けたいんだろうか?
ためらうことなく、彼は何事もなかったかのように隣に座り、自分の朝食を食べ始めた。彼もラスクだった。
その態度に、私はますます混乱した。
まだ二十四時間も経ってないのに、あの奇妙な状況の後で、彼は何事もなかったかのように振る舞ってた。
彼はただそこに座って、いつものリラックスした表情で朝食を楽しんでた。彼のことを知ってるからわかる。彼はあまり物事を気にしないタイプだ。でも、これはやりすぎだ……
彼の無邪気な表情を見ると、イライラした。私が悶々としながら無数の疑問を抱えてるのに。何か言いたかったけど、言葉が出てこなかった。喉の奥に閉じ込められてた。
結局、彼は朝食を終えた。二人とも一言も口を開かなかった。それに比べれば、パントマイムの会話の方がよっぽど盛り上がってただろう。その時——
「まださっきのこと、気にしてるのか?」
待ち望んでいたと同時に、期待してた質問だった。何とかこの状況から抜け出さなきゃならなかった。家に帰るまで一日中無言でいるわけにはいかなかった。
「ちょっとね……」
「大丈夫だよ。むしろ、謝るよ。アルコールのせいだ。あの雰囲気で……まあ、そういうこともあるさ」
「そうだね。アルコールのせいだ。二人とも初めて飲んだし」
「そういうこと。だから、リラックスできるだろ。それに、俺たちはただの友達だ。いきなり何かが始まるとは思えないし」
「そうだね」
そして、二人とも少し無理やりな笑顔を浮かべた。
「じゃあ、部屋の片付けを終わらせてくる。もうすぐバスに乗らないとな」
「そうだね。後でね」
彼は食堂の出口に向かって歩いていった。
よかった。
すべては偶然で、私たちの間には何も変わってない。そう思うと安心した。私たちは今まで通りの関係を続けていく。それがずっと私が望んでたことだ。それなのに……なんで満足できないんだろう?
デリケートな問題を最善の方法で解決したはずなのに、何かがおかしかった。物事はこうあるべきじゃない気がした。たとえそれが、おそらく最も論理的で正しい選択だったとしても。
こうして、荷物をバスの荷物棚に置き、席に座ると、私たちは再び京都へ向けて出発した。
訪れた場所は、有名な伏見稲荷大社。稲荷山の麓に位置してる。
この神社は、稲と商売の神様である稲荷大神を祀ってる。
午前もかなり進んでから出発し、約四十五分で到着した。
バスは入り口の近くに停まった。そこから遠くに入り口が見えた。
近づくにつれて、参拝に訪れた人々や観光客の大きな往来が見えてきた。
実際の入り口に到着すると、大きな楼門が見えた。そこに到達するには、大きな鳥居をくぐらなきゃならなかった。
小さな階段が入り口に続いており、階段の両側には石の台座があり、その上に狼の像が置かれてた。狼は稲荷大神の使いとされてる。彼らの口に鍵がくわえられてるのが特徴的だ。それは米倉の鍵を表してる。
それをくぐると、ようやく人々が祈りやお供えをする実際の神社を拝むことができた。
普通の神社と変わらない。ただ、その後ろに隠されてるものを除けば——山の中腹には、何千もの鳥居で構成された、山頂まで続く小道がある。
自由に探索できたので、私とユウトくんは頂上への登山を開始した。
日没時に楼門に再集合し、バスに戻って東京に向かうことになってた。
歩き始めてから約一時間が経った。私たちは自分の体力と探検意欲に誇りを感じてた。
鳥居の下をくぐり、緑に囲まれた。その純粋で汚れのない空気が私たちを酔わせ、清々しさを与えてくれた。まるで混沌とした日常の汚れから魂が浄化されるかのようだった。でも、その一時間で十分だった……
「はあっ!」
「ふうっ!」
……もう息が切れて、限界だった。体力を温存するために、話すことさえ避けた。二人ともできるだけ高いところまで登りたかったからだ。
救いだったのは、小道が最初から最後まで完全に閉ざされてるわけじゃなかったことだ。途中には小さな広場があり、ベンチで休憩したり、息を整えたりできた。中には飲み物の自動販売機がある場所もあった。
結局、午後も遅くなって、私たちは白旗を上げることにした。時間内に頂上に着くのは不可能だった。最後の休憩を、小さな広場の一つで取ることにした。
自動販売機でそれぞれフルーツジュースを買い、街を見下ろすベンチに座った。街を上から眺めるのに十分な高さだった。
「ああ、しまった。時間内に着けなかったな」
彼は疲れ果てて言った。
「でも、景色は悪くないね。疲れが報われるよ」
景色を眺めてる時、朝食の時に聞くべきだった質問を思い出した。すっかり頭から飛んでた。
「ねえ、ルームメイトの子、何か言った? 部屋に戻らなかったことについて」
「ああ、早く寝たって言ってたから、ずっと寝てたんだって。今朝会った時は、早起きしたって言っておいた」
「ラッキーだったね」
まだ景色を楽しみながら、それを記憶に刻もうとしてると、彼が言った。
「さっきのは嘘だ……」
「?」
何のことを言ってるのかわからなかった。
「どういう意味?」
景色に向けられてた彼の視線が、私に向けられた……
「お前をキスしたのは、酒のせいだけじゃない」
そう言いながら、彼はどんどん近づいてきた。昨夜のように。その時も、間違いなく私たちはキスをしてたんだろう。
「好きだ」
「好きだ」という言葉に、一瞬ぼんやりとした。胸に蝶が舞い込んだような気がした。その言葉を聞けて嬉しかった。今まで誰も、私にそんなロマンチックな愛情を示してくれたことはなかったから。
でも……
「待って」
……私は手を彼と自分の間に置いて、彼を止めた。私たちの顔は数センチの距離にあった。お互いの呼吸が、相手の肌に感じられた。
「ねえ、本当に大丈夫なの? もし全部台無しにしたらどうするの? あなたは私の人生で一番大切な人の一人になった。ただの友達から何かもっとに変わることで、全部を壊したくない。もし、いつか何かの理由でうまくいかなくなって、今までの関係に戻れなくなったらどうしよう」
「もしうまくいったら? なんで最初から悪い方に考えるんだ? これは俺たち二人のことだ。だから、俺たち次第でしかない。たとえうまくいかなくても、お前から離れるとは思えない。どんな形でも、お前といると落ち着くんだ。友達でも、そうじゃなくても。それに、友達だからこそ、もっと楽しいと思うんだ。友達みたいに喧嘩して、恋人同士で仲直りするんだよ」
太陽が沈みかけてる中、私たちはその言葉をキスで確かめ合った。
一日中ずっとまとわりついてたあの嫌な不満感が消えた。
これが私たちの関係の新しい章の始まりだった。そのすべてを——良い面も悪い面も——知るのが待ちきれなかった。
これこそが、誰かと恋人同士になるってことじゃないだろうか?
結局、日没が来たことに気づき、それが戻る合図だったので、私たちは慌てて山のふもとまで駆け下りた。
その時も遅刻して、先生にこっぴどく叱られた。私たちだけ点呼に欠けてたからだ。
東京に戻った。でも、前よりも絆が深まってた。
ー ユウトくん視点 ー
家に帰ると、アヤメさんは自分の家に入り、俺は自分の家に入った。
「姉貴、ただいま!」
中に入って叫んだ。
「ユウト、おかえり。旅行はどうだった?」
「最高だったよ。あのさ、アヤメさんと付き合うことになった」
玄関先で靴を脱ぎながら言った。
「わあ、おめでとう!」
姉貴はその知らせに喜んでるのがわかったけど、顔に少し曇りがあるのも見えた。
「姉貴、どうしたんだ?」
「言わなきゃいけないことがあるの。手術の日が早まったの。来週よ」
その言葉を聞いて、俺の脳は完全に停止したように感じた。
何も考えられなくなった。ただ一言だけ言った。
「そうか……」
その一言だけ残して、俺はチカを背に、自分の部屋に向かった。
ベッドにうつ伏せに倒れ込んだ。
ついにその時が来た。十二月の初めに決まったと聞いた時ですら不安だったのに、それが早まって、もう目前に迫ってる。どう振る舞えばいいのかわからない。
怖い……
怖いんだ!
死にたくない……
涙が滝のように溢れ出した。声に出して、自分に言い聞かせた。
「俺も、他の人みたいに生きたい。普通の人生が欲しい」
強くならなきゃならなかった。まさにこれから直面することを乗り越えれば、望むものを手に入れられるんだから。
それでも、スマホを手に取り、アヤメさんにメッセージを送った。彼女は、混乱した俺の人生の中で、唯一の拠り所だった。
あまりの感情の高ぶりに手が震え、スマホの画面のキーを打つのが難しかった。
ゆっくりと、苦労しながら、変更を知らせるメッセージを打った。
送信して数秒後、既読はついた。でも返事はなかった。返事が来るはずもなかった。彼女に何と言えばいいのか、わかるはずがない。
結局、スマホを枕元に置き、俺たちのチャット画面を開いたまま、涙を浮かべて眠りについた。いつか返事が来るのを待ちながら。
言葉である必要はなかった。一言でも、絵文字でも、何でもいい。どんな返事でもよかった。なぜなら、俺自身、自分に答えを出せなくなってたから。




