8 食品加工工場で…?
「ししょー」
「なんだい」
「なんか知ってるなら教えてくださいよ」
「そうですよ。記者さんが可哀想です」
ゲーミングヨハンナは、Rowena 5を横向きに持ったまま、口元を緩めた。
「ふっふっふ……」
「地下室に監禁してるんすか?」
「あ……」
ヴィルテは呟いた。
わかってしまったのだ。
カラディシアの食事が、なぜあんなにも安いのか。
蕎麦も、プラントミートも、あれほど安価に提供できる理由。
そして、行方不明になった記者。
「まさか……」ヴィルテは呟いた。
「ふっふっふ」
「記者さんは、他の記者さんたちと一緒に、食品工場で……」
ごくり、と、ウィルヴェルが唾を飲んだ。「食品にされてる……?」
「え……?」
ヴィルテはウィルヴェルを見た。
「食品に……?」
「あ、違った?」
「いえ、わたしはただ、鎖で繋がれて働かされてるんじゃないかとか……」
「あ、そうだよね。うん、わたしも一緒だよ」
「えー?」
ヴィルテは疑わしげな目でウィルヴェルを見つめた。
そして、少し離れた。
「ちょっとヴィルテちゃん、そんな目で見ないでよー。友達じゃん」
「友達ですけど、それはそれ」
「いや、今のはちょっと言い間違えただけで……」
「食品にされてるって言いましたよね」
「言ったけど」
「……」
「いや、だから違うんだって」
ヴィルテは、もう少し離れた。
「ちょっとー」
「ふっふっふ……」
ヨハンナは笑っていた。
端末の画面では、味方のチャンピオンが敵陣へ突っ込んでいる。
「君たち、わたしをなんだと思ってるんだい」
「だって何も言ってくんないじゃないっすかー」
「そうですよ。何か知ってるなら教えてくださいよ。ウィルヴェルさんにだけでも」
「ふっふっふ。しょうがないなぁ」
ヨハンナは画面を一度タップした。
それから、二人を見た。
「じゃあ、ちょっとそこ座りなよ」
「もう座ってるっす」
「そうだったねぇ」
ヨハンナは頷いた。
ヴィルテとウィルヴェルは顔を見合わせた。
ようやく何か教えてもらえるらしい。
ヨハンナは、もう一度端末に目を落とした。
「……」
「……」
「……ししょー?」
「ちょっと待ってねぇ」
画面の中で、集団戦が始まっていた。




