9 外務大臣は歩きたい
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「ここは?」
「京都だねぇ」
「へえ、なんか良いですね」
ヴィルテは京都エリアにいた。
先ほどまで歩いていたヴィリニュスの街並みとは、まるで違う。
古風で雅な町中を、小川が流れていた。
木造の建物が軒を連ね、格子窓の向こうには柔らかな明かりが灯っている。店先には暖簾が掛かり、道端には竹垣が続いていた。
北欧系の観光客たちは、みんな和服を着て、下駄を履いていた。
かぱ、かぱ。
硬い底が石畳を踏む音が、心地良い。
静かなエリアだった。
少し離れたところから、水の流れる音が聞こえてくる。
「京都はねぇ、風流を楽しみたいときに行くのさ」
「へえ、風流ってなんですか」
哲学ヨハンナは、鼻で深く息を吸った。
「やってご覧、いい香りがするよ」
「……」
ヴィルテも真似をした。
冷たい空気を吸い込むと、どこからかお香の香りが漂ってきた。
木の匂いも混じっている。
「良いですね」
「そうだろう」
「それで、風流ってなんですか」
「それでねぇ、あっちには某コンビニがあるのさ」
「風流ってなんですか」
哲学ヨハンナは、通りの向こうを指さした。
古い町家の並ぶ一角に、明るい店があった。
ガラス張りの入口。
色鮮やかな看板。
店内には、見慣れたような、見慣れないような商品が並んでいる。
「ふっふっふ、行ってみようか」
「ええ」
二人は店に入った。




