6 希望の光
「ってわけなんです」
ヴィルテは事情を説明した。
レジの店員が困った顔をした。
「困ったなぁ」
「こまったねぇ」
「……」
ヴィルテは子供を見た。
子供は楽しそうだった。
「親御さん、いないんすか?」
「わからないみたいです」
「何階に住んでるかも?」
「わからないそうです」
「……」
「ふっふっふ」
店員は頭を掻いた。
すると、調理担当が顔を上げた。
「そうだ。注文履歴から名前と住所と電話番号わかるわ」
「……あ」
レジの店員が顔を上げた。
「確認してくる」
「頼んます」
「おう」
調理担当は店の奥へ向かった。
ヴィルテは子供を見た。
子供はスマートフォンを持っている。
さっきから、画面を触っていた。
「ねえ、それ、あなたの?」
「わかんないねぇ」
「……」
ヴィルテは首を傾げた。
わからない。
何がわからないのだろう。
自分のスマートフォンかどうかくらい、わかりそうなものだけれど。
そのときだった。
ぷるるるる。
「あ、電話きた」
ヴィルテは子供のスマートフォンを見た。
「きたねぇ」
「出て」
「どうやるかわかんないねぇ」
「もう、貸して」
「いいよ」
ヴィルテはスマートフォンを受け取った。
画面に表示された通話ボタンを押す。
「もしもし」
『あ、こちらOic Cornerです』
「……」
ヴィルテは黙った。
厨房の奥から声が聞こえる。
『もしもし?』
「……」
馬鹿なのか。
調理担当も。
自分も。
「……あの」
『はい』
「私です」
『……え?』
「店にいる、ヴィルテです」
『……』
しばらく沈黙があった。
『……あ』
「……」
ヴィルテは電話を切った。
子供は笑っていた。
「ふっふっふ」
「……」
ヴィルテはスマートフォンを見つめた。
どうやら、注文履歴に登録されていた電話番号は、この端末のものだったらしい。
保護者にはつながらなかった。
しかし、手がかりは残っている。
連絡先だ。




